見出し画像

今後の自治体職員(VOL.1)

前回「今後の都道府県の方向性」について、県内市町村、民間と対話で信頼関係を築き、協働することとまとめました。
今回は、これを踏まえ、「今後の自治体職員」をまとめていきたいと思っています。項目は以下のとおりを予定しています。

(1)自治体職員として大切にしたいこと(VOL.1)
(2)採用から職場運営まで一貫した制度(VOL.2)
(3)自治体職員の自主研究活動や地域活動(VOL.3)

(1) 自治体職員として大切にしたいこと

「今後の都道府県の方向性」を踏まえ、昨年、新任職員研修でお話したことが、一層、大切なことと再認識しましたので、皆さまからの学びを加えて、ご紹介したいと思います。
私が、今年の研修の最後にお話しするベースは、以下の5つです。

⓪誠実

県民(相手)の気持ちを考えて、「誠実」に仕事に取り組むことが、何よりも大切です。
言うまでもなく、自分の手柄を得るために仕事をしたり、自分の考えに固執するのは論外です。相手の話を傾聴し、意見を受け止めることが基本です。
後は、常にアンテナを張って、情報を入手し、今何が起こっているのか、事実(データや県民ニーズ)をつかむことです。
最後に、その事実に基づいて、自分の考えをまとめ、関係する人と傾聴を基本とした対話により信頼関係を築き、意見が合わない時は話し合い〝納得解“を探り、仕事を進めていくことができれば、言うことなしです。

<あさご未来会議>
朝来市は、総合計画を「あさご未来会議」での対話をもとに策定。職員研修としての位置づけもある同会議は、職員が「⓪誠実」を学ぶ場として、また、この他のさまざまな面で、各自治体の参考になる取組だと思います。
令和元年度あさご未来会議(最終回)


以下、その上で、身につけたいことが4つあります。

①現場主義

まず、「現場」に入って、五感で体感し、話を聞くことが大切です。そうすれば、〝わが事“として説明もできます。
例えば、国交省が提案したコンパクト化は、その地域で急峻な地形などを体感することで、正論であることを実感しましたが、一方で、そこに住み続けたいという県民の声、それを受けて最後の一人まで行政サービスをすべきと言われた市職員の声も感じることができました。ここから住民主導のコンパクト+ネットワークという"納得解"を自分なりに見出し、自信を持って施策議論ができました。
なお、オンラインも発達した今日、現場に行くことが全てではないでしょう。あくまで県民目線に立つことが目的です。アンテナを張って、生の情報を入手することもまた現場主義の一つの形だと思います。

<自主研究活動での現場体験を仕事にフィードバックした例>
行政、民間問わず多様な参加者からなる「自主研究活動」で、ある集落の実態を体感し、一人残っている方のお話を伺い、その後のグループワークで、これについて対話し、関西広域連合で担当した関西圏域の展望研究でのコンパクト➕ネットワーク議論に活かしました。
一人の町民が残って住まれている集落


②バランスと柔軟性(→相乗効果)

「バランスと柔軟性」は、対話を進める資質だと思います。
まず、二つのこと(仕事と生活、仕事と地域活動、国と地方、医療と経済、リアルとバーチャル、やる側とやらされる側、地域に飛び出す側と飛び出さない側、安定と変化など)を対立でなく、バランスで考えること、さらに相乗効果で見ることが大切だと思います。

また、変化の時代は目標達成にこだわりすぎるのはよくないと思います。
東京大学の玄田教授の講演でお聞きしたことですが、宇宙飛行士の最終面積試験では、桃太郎と浦島太郎のどちらがいいと思いますか?と質問するらしいです。普通は桃太郎です。鬼退治という明確な目標を立て、家来を集め、チームワークで仕事を成し遂げるからです。一方、浦島太郎は、ほいほい竜宮城に行って、帰って来たら約束を破って玉手箱を開けてしまうからです。ところが、浦島太郎と答えた人を採用するらしいです。ええーって感じですが、よく考えると浦島太郎のよさが見えてきます。カメがいじめられてると即座に助ける。玉手箱を開けても後悔しない。

今のように、この先どうなっていくかわからない、何が正解かわかりにくい時代においては、柔軟性が大切です。桃太郎のようなヒーローだけをロールモデルにすると、ある時、ぽきっと、心が折れてしまう恐れがあるからです。

<地方公務員の新しいキャリアデザイン(小紫生駒市長著)>
二項対立でなく、相乗効果で考えることはじめ「これからの公務員に求められるもの」を網羅した「バイブル」とも言える本です。
実は、本だけを読んだ段階では、あまりに前向きな公務員像に少しばかり落ち込んだのですが、ABD読書会で、小紫市長自身、現実とのはざまで悩みながら職員と対話を進められているお姿に感銘を受けました。
本だけではわからない小紫市長の思いを書いたグラレコをご参照ください。

ABD読書会でまとめたグラレコ①
ABD読書会でまとめたグラレコ②

以上、長くなりましたので、三つ目、四つ目は、次にさせていただきます。


<冒頭写真(ホッと一息)VOL.8>新高湯温泉(山形)
標高1126mにあるポツンと一軒家新高湯温泉「吾妻屋旅館」は、五つの絶景露天風呂を有する南山形の秘湯です。相当な悪路の果てに姿を現す宿ではありますが、それだけの価値がある絶景は、朝日とともに入浴するのがお勧めの至福の秘湯です。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?