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今後の自治体職員(VOL.5の参考)

(その1)財政のキホン

前回、仕事の進め方について、主に、政策、人事、財政と言った内部調整のとりまとめ部局の視点で書きましたが、その中で、現課においても、とりまとめ部局が、多様な意見を全体最適を図りながら、とりまとめる大変さを理解することが大切と書きました。

ここで、もう少しこの問題を掘り下げてみると、例えば、どうして財政課は、行革を力説し、現課がやろうとしていることに、文句ばかり言ってくると、現課は、思ってしまうのでしょうか。まずは、「財政のキホン」を少し理解したいと思います。
私は、財政部局に身を置いたことのないので、福岡市の元財政担当課長の今村さんの本で学んだことの一部を抜粋する形で紹介します。

わが県でも、昨年度も大きなニュースになりましたが、どうして行革が必要なのでしょう?どうして財政健全化が必要なのでしょう?
財政部局に配属されたことのない職員は、案外疑問に思っているのではないでしょうか?

まず、収入です、支出は収入の範囲でしか編成できません。
そして、収入の見込みはあまり表には出ませんが、財政担当課が作成していて、収入は一般財源と特定財源からなります。一般財源がどれだけあるかが重要ですが、一般財源は地方交付税と言う調整機能があるため、あまり変動しないと言うことが重要です。

一方で、支出は、目的別と性質別と言う区分があります。特に性質別の、公債費、扶助費、人件費が重要です。
①公債費は、過去の社会資本投資の返済が長期に渡り高止まりしています。
②扶助費は、高齢化など上がる一方です。
③人件費は行革で削減されこれ以上は厳しいレベルです。
④加えて、公共施設の維持管理は今後一層増加します。
このため、過去の政策決定の維持管理のランニングコストたる経常的経費を見直さないと、新たな政策に必要な経費は捻出できません。

では、新たな政策は、どうして必要なのか。総合計画など住民との約束だから必要と言う理解です。このため、財政健全化は目的でなく手段と言う意識が重要で、ビルド&スクラップということになるのだと思います。
先に述べてきたように一般財源には限りがあるので、必要な額を稼ぐ発想が重要になるのはこのためです。

(その2)政策のキホン

先に、「政策」と言う言葉、「ビルド&スクラップ」と言う言葉が出てきましたが、そもそも「政策」とは何でしょう?そして、「ビルド&スクラップ」とはどういうことでしょう?

「政策」とは、理想と現状との差、これは課題といえますが、この差を埋めるもの、少し言い換えれば、課題解決策です。そして、通常この政策をまとめたものが「総合計画」です。そして、これこそが住民との約束であり、予算編成のビルド部分のベースとなるものです。
先にご紹介した朝来市では、だからこそ、「あさご未来会議」という、住民との対話の場を最大限活用しています。

繰り返しますが、大切なのは、住民との対話で作り上げた「政策」を実施していくことで、このために予算を編成し、財源が不足すれば、既存事業を見直してスクラップしなければならないということです。

<自治体の台所事情「財政が厳しいってどういうこと?」>
財政出前講座で全国を飛び回る福岡市の元財政担当課長の今村氏の本。財政の基本のみならず、政策の基本にも渡り、対話の重要性を説いています。


<冒頭写真(ホッと一息)VOL.11>ふけの湯(秋田)
八幡平最古の秘湯・母なる天空の温泉「蒸ノ湯温泉(ふけの湯)」。400年も前からこんこんと湧き出る効能豊かな源泉は、日本の原風景、東北の秘湯の風情を残す至福の温泉です。


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