世界中の磁石が 不規則に 動いている 出会ったふたりの 磁力が 強まり弱まりをして その日を迎えたとき 磁石が壊れてしまった 雨の日に 虹のアーチがかかる 悲しみの連…
夜会 階段を 君が 登っていく 灯のついた 家が見える さっきまで 酒を飲んだ 名残り 私は 見つめている 見るよりも 強く 親しく 君は 一歩 一歩登る 君が振り返る …
最後の叫び 春には 皆とうたを歌い 夏には 波のうねりを 聴いた 秋には 人を眺めて 冬には 雪化粧をした ひとり またひとり 仲間が旅立っていき 樹木の親と 仲間の思…
街灯 快晴の日に さよならをした 昏い一日の瞼に ハンカチを当てる 小さな子供のように 街灯が私を静かにあたためた
瞳のコード 少年の目が 錆びぬよう せかいは 豊かな場所となれ 少女の目が 真っ直ぐに 恋できるよう 戦争を停止させよ 私たちは いつだって 生活者であるように 夢見る…
あなたが 一番きれいだった日 私はそこに不在だった たしか雪が詩を編むような日だった あなたが 一番きれいだった時 私はつなぐ手を探しあぐねて きれいでない物語を紡…
秘密の話を あなたにします あなたが 寝れない深夜に ずっと 秘密の話を あなたにします あなたが 苦しい昼間に そっと 秘密の話を あなたにします あなたが 不安な全…
夜はあたたかくして寝なさい 夜にあなたを責めるのは あなただけだから 夜はあたたかくして寝なさい 不安や心配の服を脱いで 毛布と布団を羽織って寝なさい あなたが泣い…
喫茶店でぼくは 詩を書いている さっき通り過ぎて行った女は 何人目の女だっただろう ぼくはまた 駅で待ちぼうけすることになる 女は遠い 時間どおりやってくるとも …
紫陽花の速度で 人生が進んでいく 6月の 透明な水滴の中に 忽然とあらわれた 球形の華やぎに 重ねあわせる 紫陽花の温度で 肌が火照っている 雨粒の中 傘一つ 人間ふた…
空が破れて 大男から 涙が零れ落ちた 空高く 突き上がる鉄塔の 螺旋階段を登って 風が吹く 匂いがする 日暮れの囁き 鉄塔の窓辺に 老婆が 鼻をくっつけている 息子が…
悲しみの洋服を捨て 新しい旅に出るの プーケットの 深いあおいろを 肌に染み込ませ 九份の猥雑な雑踏で skirtをひらめかせる 爆発音を聴くと 日常が思い出される 戦地 …
淡々と1日が 終わっていく 病室の窓からは 凪の海が見える 夕暮れの砂浜に 麦わら帽子の女 あの向こうにも あの向こうにも 島が続いている 女の視線の先 岬には 青い…
草原 夢の中で 草原の列車に 乗った 時刻表 12時丁度に 駅を発つ列車に 乗客は 疎らに居て 皆俯いていた 15時には 分岐点が現れて 17時に止まった 窓を開けると…
がらんどうの家で 本を読んでいる だんだんと 空の色彩が 変わっていく 化粧をするように 家には 老いぼれた猫がいる 自分を忘れたかのように たまに欠伸をする 8年前…
休日 河川敷に 親子が歩いている 小さな歩幅で 小さなマスクをつけて 手を引いて どこまでも歩く 風の通り道 可視化できる質感 犬にボールを投げる 白髪の老人 ボー…
Andy
2020年7月24日 16:37
世界中の磁石が不規則に動いている 出会ったふたりの磁力が強まり弱まりをしてその日を迎えたとき磁石が壊れてしまった雨の日に虹のアーチがかかる悲しみの連続で色彩は赤も青も黒くなって私は笑顔で泣いていますただ今日の日は天気その事実を握りしめて散歩でもしましょうか道端の石ころも通りすがりの犬もあの子もこの子もなんだかおもしろいでしょうそう
2020年7月7日 21:34
夜会階段を君が登っていく灯のついた家が見えるさっきまで酒を飲んだ名残り私は見つめている見るよりも強く親しく君は一歩一歩登る君が振り返る西日が頰に当たる君が大きく手を振ると波の音が聞こえる雨が降る霧雨の中で二重に傘を差すふたりそこにいる階段を登る人が犬が猫がたまに涙が出る手を翳す夏の光出会いから砂
2020年7月2日 18:58
最後の叫び春には皆とうたを歌い夏には波のうねりを聴いた秋には人を眺めて冬には雪化粧をしたひとりまたひとり仲間が旅立っていき樹木の親と仲間の思い出ばなしをした私の番が来る予感がした日寒風が吹き人は私を批評した全体を一部に一部を全体に誤解され散っていく葉の落下する前の木の全体が宿るときは最後の叫び
2020年6月30日 19:32
街灯快晴の日にさよならをした昏い一日の瞼にハンカチを当てる小さな子供のように街灯が私を静かにあたためた
2020年6月29日 22:25
瞳のコード少年の目が錆びぬようせかいは豊かな場所となれ少女の目が真っ直ぐに恋できるよう戦争を停止させよ私たちはいつだって生活者であるように夢見るせかいの旅人である見たくない景色を目に写し輝いていた瞳の灯火よ消えるないつだって私たちは少年や少女の続きそのせかいでたったふたつの目がかなしい水で満たされぬよう親は大人はしあわせを小さな目
2020年6月23日 19:58
あなたが一番きれいだった日私はそこに不在だったたしか雪が詩を編むような日だったあなたが一番きれいだった時私はつなぐ手を探しあぐねてきれいでない物語を紡いでいたあなたが一番きれいだった時祖母も母も同じ道を通りきれいになることで心が弾むような雪の降りつもる楽しみの前の時間のようなあなたが一番きれいだった日私はいなかったあなたは違う男に抱かれて幸
2020年6月19日 15:28
秘密の話をあなたにしますあなたが寝れない深夜にずっと秘密の話をあなたにしますあなたが苦しい昼間にそっと秘密の話をあなたにしますあなたが不安な全ての朝に秘密の話をあなたにしますあなたが寂しい夕方隣で秘密の話をあなたにします私のこころは傷だらけあなたでしょも時には傷ついてつらい日などもあるのでしょ
2020年6月17日 22:50
夜はあたたかくして寝なさい夜にあなたを責めるのはあなただけだから夜はあたたかくして寝なさい不安や心配の服を脱いで毛布と布団を羽織って寝なさいあなたが泣いているときに笑っている人からは離れなさい夜はあたたかくして寝なさい忘れないでください心はそのままでいいし顔だってそのままでいい夜はあたたかくして寝なさい好きになれない人を好きになる必要はなく好きになれる人を好きに
2020年6月17日 21:14
喫茶店でぼくは詩を書いているさっき通り過ぎて行った女は何人目の女だっただろうぼくはまた 駅で待ちぼうけすることになる女は遠い時間どおりやってくるとも限らない喫茶店のアイスティーの氷が溶ける上手くいかない全ての物事を置き去りにしてぼくは女という霞を待っている
2020年6月17日 19:06
紫陽花の速度で人生が進んでいく6月の透明な水滴の中に忽然とあらわれた球形の華やぎに重ねあわせる紫陽花の温度で肌が火照っている雨粒の中傘一つ人間ふたりのしあわせな空間紫陽花の表情で梅雨が終わっていく雨足は強まり弱まりしつつ地面で煩悶し忘れがたみのような水たまりを残す紫陽花の花が今年も咲いている色とりどりの花が一瞬の生を歌うとき枯れた花弁
2020年5月27日 21:10
空が破れて大男から涙が零れ落ちた空高く突き上がる鉄塔の螺旋階段を登って風が吹く 匂いがする日暮れの囁き鉄塔の窓辺に老婆が鼻をくっつけている息子が旅立っていった空に手紙を送りたい空間にシュプールに描き空と会話する一層の涙を 人は迷惑そうにして足早に家路へ老婆の窓は永久に外と会話する
2020年5月13日 22:37
悲しみの洋服を捨て新しい旅に出るのプーケットの深いあおいろを肌に染み込ませ九份の猥雑な雑踏でskirtをひらめかせる爆発音を聴くと日常が思い出される戦地目はフィレンツェを向いて耳はモンサンミシェルの教会の囁きギニアの密林で顔にひとすじの傷痕帽子を熱海の海岸線で飛ばされてポルトの港で風の宅配便楽しくなることばかり洋上の船で記号的な着物で赤と白に染まる
2020年5月11日 20:38
淡々と1日が終わっていく病室の窓からは凪の海が見える夕暮れの砂浜に麦わら帽子の女あの向こうにもあの向こうにも島が続いている女の視線の先岬には青い家がある気の良い住人が拵えた鐘は正午になり響く療養で散歩をし鐘を鳴らした日私は少しだけ変わった気がした突然に凪の中に一陣の風が吹いて麦わら帽子が風に飛ばされた岬の方まで高らかと舞う帽子を
2020年5月10日 20:43
草原夢の中で草原の列車に乗った時刻表12時丁度に駅を発つ列車に 乗客は疎らに居て皆俯いていた 15時には分岐点が現れて17時に止まった窓を開けると草原が続いているいつだってそこに19時には夜の風にあたり文庫本を開く21時には大きな駅で止まる一斉に人が降りる24時ひとり残される草原の海の中を窓を開けると草原が続いているいつだっ
2020年5月1日 18:09
がらんどうの家で本を読んでいるだんだんと空の色彩が変わっていく化粧をするように家には老いぼれた猫がいる自分を忘れたかのようにたまに欠伸をする8年前の新聞が部屋の隅にある月日が部屋に散らかっているグラデーションのようにアルコールの入った缶にタバコの吸い殻を捨てる嗜癖の二重奏自分を駄目にする焦燥と喧騒の街の片隅でつばめが巣を作る家の軒
2020年5月1日 12:56
休日河川敷に親子が歩いている小さな歩幅で小さなマスクをつけて手を引いてどこまでも歩く風の通り道可視化できる質感犬にボールを投げる白髪の老人ボールの軌道鮮やかな弧を描いたシロツメクサ咲く土手の斜面白い絨毯のよう日を浴びて揺れるランニングをする若い人たちいつまでもいつまでも走っていける声が響いている白鷺が飛んでいる飛ばない鷺もいる