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嫌々成人式へ行ったら少しだけ過去から救われて後に結婚もした話

 嫌なことのほうが多かった学生時代。
 大半は会いたくもない同級生。
 成人式なんて、行って何の意味があるの?

 当時、張り切って振袖を選んでくれる祖母の横で、私は内心、そんなことを考えていました。
 別に行きたくないんだけど、なんて言える空気ではありませんでした。

 きっと親孝行、祖父母孝行の儀式なんだ。
 自分をそう納得させて、私は成人式の日を迎えました。

 実際、親も祖父母も晴れ姿を見て喜んでくれたので、そんな意味合いもあるのでしょう。
 でも、今振り返ってみると、私にとっても行って良かったと思います。

 その一番の理由は、少しだけ、過去から救われたから。

 式典が終わり、それぞれが旧友との再会を喜ぶ中、私はぼんやり様子を眺めていました。
 誰か分かる人もいれば、分からない人もいて、学生時代あんなにカーストの差を感じ怯えていたいじめっ子らしきギャルも、今は全くの他人のように感じました。

 数少ない友人も、変化していました。

 厨二病真っ只中だった彼女は、過去の話は恥ずかしいからしないで、と言う普通の綺麗な女性になっていました。

 思春期から会話をしなくなった彼は、何事も無かったかのように話しかけてきて、その姿は顔も背丈も昔とは大きく異なっていました。

 みんな、もうあの頃とは違う世界にいるんだ。

 それを目の当たりにして、少しだけ、私も過去の呪縛から解かれてもいい気がしました。
 私一人同じところに立ち止まっていなくても、時は十分過ぎたのだから、変わっていって当たり前だよね、と思えたのです。

 おまけに、先述の彼はそのときの再会がキッカケで好意を持ってくれたそうで、後日告白して頂きました。
 その彼が、今の夫です。

 自分のような陰気で可愛くもない女が、恋愛して、結婚して、子を持つなんて、学生のときは夢のまた夢だと思っていました。
 ましてや、まさか成人式が契機になるなんて。

 こちらに関しては相手次第のところもありますので、成人式に行けば出会いがある!とオススメする訳ではありませんが……。

 少なくとも私の場合、成人式へ行ったことによって、色々と良い風が吹き込んできました。

 出席するか迷っている人、その周りで悩んでいる人の参考になれば幸いです。


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