エイジング〜腎・脾・肺〜
薬膳では、体の中の働きを五臓「肝・心・脾・肺・腎」と呼び、それぞれがバランスよい状態でいられると私たちは健康で元気でいられると考えられています。
さてタイトルにある通り、今日はエイジングのお話です。薬膳では、老化は「腎・脾・肺」の3つが大きく関わるといわれています。
エイジングに大切な「腎・脾・肺」と
それぞれのお疲れのサイン
【 ①腎 】
体の元気の源「精」を蓄える場所。老化に一番かかわる場所。年齢を年齢を重ねると、特にこの腎の気(腎気)がだんだんと少なくなっていきます。
[ 腎がおつかれのサイン ]
□足腰が弱くなる
□白髪、抜け毛が増える
□耳が聞こえずらくなる
□物忘れが多くなる
□むくみやすい
□腰痛がある
□尿トラブルがある
この腎のおつかれのサイン、個人差はありますが誰でも年齢を重ねていくうえで出てくる不調です。また年齢に関係なく、いつも忙しく休みなく働いている人は、若いうちから上記のようなサインがあるかもしれません。(私も仕事が忙しくてなかなか休めないとき、物忘れが増えたり、腰痛がなかなか改善しないことがありました。立ちっぱなし、座りっぱなしは腰(=腎)の気を消耗していることもあります。)
【 ②脾 】
食べ物を消化吸収し、栄養を全身に運ぶところ。脾によって、栄養素(気・血)が体に吸収され体全体に運ばれます。しかし年齢を重ねると、この脾の消化吸収機能や、体に運ぶ機能が衰えてきます。そうすると体全体が、気血の不足(気虚、血虚)した状態になることがあります。
[ 脾がおつかれのサイン ]
□疲れやすい
□体がおもだるい
□顔色が黄色っぽい
□食欲不振
□慢性的な下痢や軟便
□食後に眠くなる
□むくみやすい
【 ③肺 】
呼吸から気を全身に送ったり、脾で食べ物から作り出された気を全身に送る役割があります。体の外側からの邪気から体を守ります。免疫力にも大きく関わる場所です。
[ 肺のおつかれのサイン ]
□肌がかさかさする
□鼻水、鼻づまりがある
□咳、喘息、息切れなどがある
□汗をかきやすい、またはまったくかかない
□乾燥タイプの便秘がある
□かぜをひきやすい
だれでも必ず年齢を重ねていきます。私たちの体は自分の年齢の分だけ、生まれてからこれまでずっと働いてきてくれています。老化は誰にでも起こりますが、薬膳や中医学の知恵で、その老化の進み具合を、ゆっくり穏やかにすることができます。
そしてエイジングに関わる「腎、脾、肺」は体の水分代謝に大きく関わる場所でもあります。年齢を重ねると、腎、脾、肺がおつかれになり、体の水分代謝の機能が低下すると、
・腎での水分代謝低下→むくみ、尿トラブル
・脾の水分代謝の低下→慢性的な下痢や軟便、食欲不振、むくみ
・肺の水分代謝の低下→皮膚の乾燥
などに繋がることがあります。
エイジングに大切なこと
「補充・温め・巡らせる」
1.年を重ねてくると、だんだんと不足してくる「気」と「血」を補充してあげる。(補気、補血)
2.気の不足から、体の冷えを感じるときは、温めるものをとる(助陽)
(※気は体を温める作用があります。気が不足すること、また腎脾肺の水分代謝が衰えることで、体の中の水分が滞り、冷えに繋がることがあります)
3.補充した気血を巡らせるのを助ける(理気、活血)
4.腎に届くといわれている黒い食材を食べる
[ 1.気血を補充する ]
●腎に補充してくれるもの
長芋、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、栗、豚肉、鰹、黒ごま、牡蛎、帆立など
●脾に補充してくれるもの
米、かぼちゃ、じゃがいも、長芋、鶏肉、牛肉、鰯、にんじん、たこ、卵など
●肺に補充してくれるもの
長芋、落花生、ぶどう、ゆり根、アスパラガス、白きくらげ、白ごま、はちみつなど
[2. 温めるもの(助陽) ]
くるみ、羊肉、海老など
[ 3.気血を巡らせるのを助けるもの ]
らっきょう、青梗菜、茄子、黒きくらげ、酢、そば、大根、玉ねぎ、オレンジ、みかん、ジャスミン、紫蘇、パセリ、茗荷、パクチー、紅花、陳皮など
[ 4.黒い食材 ]
黒豆、黒米、黒ごま、黒きくらげ、黒砂糖、黒酢、わかめ、ひじき、こんぶなど
先日の家ごはん
〜長芋と豚肉の味噌炒め〜
先日の晩ごはん。
なんだかずっと疲れが取れない。(充電期間中でゆっくり過ごしているのになぜ…^^;)疲れがなかなか取れないのは、40歳を目前にしていることもあるかと思い、自分を労わるエイジングのごはんを作りました。
・豚肉…うるおい補充(腎)
・長芋…気の補充、咳(脾、肺、腎)
・ブロッコリー…気の補充、疲れ、物忘れ、耳鳴り(腎、脾)
・にんじん…血の補充、かすみ目(肺、脾)
・パセリ…気の巡り
個人的に、長芋、じゃがいもを食べると、体にエネルギーチャージされた感覚があります。ブロッコリーも体にとても染み入る感じ。今の自分の体(気の不足。気虚)が欲している食材なんだと思います。
(自分の体に、じんわりと染み入る、おいしく感じる食材は、今の自分の体質に必要な食材のことがあります。そこから、自分の体質を読み解くこともだんだんとできるようになります)
なんとなく疲れやすい、最近、年を感じる、上記のチェックリスト(特に「腎のおつかれのサイン」)に多くチェックがつく時は、今日ご紹介した食材をぜひ取り入れてみてください^_^
最後まで読んでくださりありがとうございます。
追伸
冒頭の写真のお花、最近よく道端で見かけます。葉っぱがにんじんの葉そのものですが、なんていうお花なんでしょうか。(ひょっとして道端のその土の下ににんじんが育っているのでしょうか…w)