サルスベリ
関西に越してきて、ほぼ毎日といっていいほどJR神戸線を使っている
線路沿いはとても計算し整備されていて、常に何かしら花が咲くようにしてあり、感激している
今はサルスベリが咲いている
毎朝、サルスベリ側に立ち、観察しているんだけど今年は花付きがイマイチ悪い
つるつるした木肌でサルも滑り落ちるからサルスベリ
夏の間中、咲いているから漢字では百日紅
毎朝、電車の窓から花付きの悪いサルスベリを見ながら実家を想う
わたしが実家を出て、しばらくして実家は建て替えをした
そして庭に新たにサルスベリが加わった
なかなか夏に実家に帰るということはないんだけれど、いつだったか夏に帰省したとき、庭のサルスベリを眺めて「えー?」と思い母に尋ねた
「ねぇねぇ、うちのサルスベリ、枝ぶりだらしなくない?」
サルスベリの枝ぶりってきゅっと立ち上がっているものだ
それが我が実家のサルスベリは、ばさー、と広がっている
「そうなのよ、花の色がきれいだと思ってこれにしたんだけどね、だらしなく広がるのよ。だからね、花が終わったときに思いっきり切り詰めたんだけどやっぱり翌年はばさー、と開くの。毎年やってるんだけど同じことの繰り返しなの。いいのよ、枝ぶりがだらしなくても花の色がいいから」
と、母は答え、いとおしそうに庭のサルスベリを見た
確かに花の色はやさしくきれい
わたしも実家のサルスベリが一番好きだ
帰省したくても帰れない
この2年で何度飛行機をキャンセルしたことか
仕事で乗る電車の窓から今日もサルスベリが見える
帰ることが叶わない、実家のサルスベリを想いながら、そのサルスベリを切なく眺める日々だ