最初から飛ばす、最初から頑張る
蓼食う虫も好き好き、といういうけれど、世の中には物好きというか変わったものが好きというか、酔狂な人ってときどきいて、「秋峰さんステキです」とオヌシ大丈夫か?というようなことを言われちゃったりすることがちょこちょこあります
ま、ステキですね、は「あそー、ありがとう」でいいんだけどその後に困る言葉がついてくることが多々ある
「どうしたらステキになれますか?今すぐにっっっ!!!!」
うぬぬのぬ、である
ちょっと前、こんなことを友人が話してくれた
これはいけばなの稽古に限らず、なににでも当てはまると思う
何事も急に巧くできるわけないし、急になんでも対処できるようになるわけじゃない
1年目には1年目の、2年目には2年目の、5年目には5年目の、10年目には10年目の、30年目には30年目の悩みや苦悩や問題があって、それはきちんと順を追って解決していかないといけないことだ
なのに前述のコたちは急に30年目の悩みとか課題から入ろうとする
「違うんです、今すぐ秋峰さんと同等になりたいんですぅうううう!」と無茶なことを言う
で、そこはオトナの秋峰先生は色々と諭すワケなんだけど、これまたお耳に入って脳まで届くことがなかなかナイ(涙
以前、「今すぐ一流になるどー!」と、通常の稽古以外にレベルアップの稽古を大量に受講、いけばな以外にも「これはいけばなに通ずるかも?」と色々な習い事に手をだした方がいた
「出だしでそんな全力疾走したらすぐに息切れしちゃうよ、最初は基本をしっかり身に着けて、それからぼちぼちだよ」
何度も注意したけれど、「いやっ絶対イヤ、今すぐ今すぐ今すぐがいいんですぅぅうううっっ」ってやめなかった
コチラとしては「なかなか入門者がいないいけばな業界に若い人(といっても30代後半)が入ってきたんだからやめられちゃったら一大事!」と必死でアクセル全開を止めた
……止めたんだけどね、結末は案の定半年くらいですべてを放り投げてしまった
「せめていけばなだけ続けたらどぉ?」と誘ってみたけれど「なにもやりたくない。体に力が入らない。何もかもがイヤ」と虚無感の中へと行ってしまった
最初からぶっ飛ぼしてよかった、という例を見たことがない
大ベテランさんだって同じ道を通って来たのだ
だから、大抵は「そうそう、そこでつまずいた」とか「そうそう、そこが分からなかったんだよね」とか優しい目で見守り、ときにはそぉ~~っと(わからないように)手を差し伸べたりしてくれるんだ
だからね、頑張らなくていいのダ、ぶっ飛ばさなくていいのダ、
1日に5時間頑張って疲れちゃって放り投げてしまうより、
1日10分、毎日継続、恥かいて、大汗かいて、パーフェクトを求めず、それでも懸命に誠実に1つ1つ確実にこなしていく、身に着けていく、しつこいけど継続し続けること、止めないこと、
これが最強になる秘訣だ
一流に近道なんてナイ、ないんだョ