【読書記録】2022年6月
6月の読書記録。今月も読書は捗らない。
1冊目:村田沙耶香『コンビニ人間』
あらすじ(文庫版裏表紙より引用)
「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて……。現代の実在を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。
今まで読んだ村田作品の中で一番読みやすかった。現役で末端コンビニ店員である私にとても刺さりました。
古倉さんが感じているコンビニで働くことで普通でいられるような安心感はとてもわかりました。
私もコンビニ店員以外の仕事は続かなかったし、古倉さんと同じように「コンビニ人間」の端くれなのかもしれません。ある程度のルーティンが決まっていて、マニュアル化したコンビニの仕事は「普通の社会人」を装いやすいように思います。
働いて、結婚して、子どもを産み育てる……そんな「普通」にこだわる必要はないんだと読んでいて感じました。古倉さんのように自分の道を突き進めたらカッコいいな。
2冊目:松素めぐり『保健室経由、かねやま本館。4』
単行本であらすじが書いていないので、あらすじは省略します。
こちらはYAです。シリーズ第4作目。とても好きなシリーズです。
1~3作目まではかねやま本館を利用する中学生視点で描かれていましたが、今回はかねやま本館で働く従業員視点で描かれました。
かねやま本館が存在する世界のことや、第二保健室の主である銀山先生の正体など、今まで明確になっていなかった部分が明らかになります。
今回、グッときた一文を引用したいと思います。
松素めぐり『保健室経由、かねやま本館。4』115頁より引用
「生きる」。それだけで、とてつもないエネルギーを使うのだ。
この一文を読んで、「この本に中学生のときに出会いたかった」と心底思いました。
日常生活を送っているだけなのに疲れる。その事実を大人に肯定してもらえているように思える一文です。この言葉を中学生の時にもらっていたら、肩の力を抜いて生活できていたかもしれません。
今回の作品がシリーズの中で一番好きかもしれない。4作品纏めて文庫化しないかなあ。
3冊目:室積光『史上最強の内閣』
あらすじ(文庫版裏表紙より引用)
北朝鮮が、日本に向けた中距離弾道ミサイルに燃料注入を開始した。中身は核なのか。支持率低迷と経済問題で打つ手なしの自由民権党の浅尾総理は、国家的な有事を前に京都に隠されていた「本物の内閣」に政権を譲ることを決意した。指名された影の内閣は、京都の公家出身の首相を筆頭に、温室育ちの世襲議員たちでは太刀打ちできない国家の危機を予測し、密かに準備されていた強面の「ナショナルチーム」だった。果たして、その実力は?書店員さん熱狂。「こんな内閣があったら」と願わずにはいられない全国民待望(のはず)の内閣エンタテインメント!!
こちらの小説が単行本として刊行されたのが2010年らしいので、もう12年前の作品なのですが、今の日本にも通るような皮肉がいっぱいで楽しめました。
いま読んでも「こんな内閣がほしい!」と思ってしまいます。
少々長くなるので引用はしませんが、文庫版201頁からの小松と高杉総務大臣の家賃に関する会話に目頭が熱くなりました。「家賃に関する会話」と書いたら熱さもなにもなさそうに感じますが、ここの本筋は「本当の意味で庶民の生活を理解する政治家がいるか」という話です。ここの説明はわかりやすくて、政治に疎い私でも納得できました。
初めて読む作家さんでしたが、楽しく読むことができました。
おわりに
6月は3冊の読了でした。図書館で借りた本を6月中に読み切るつもりでしたが、難しかったです。
だんだんと暑い日が増えてきて、外に出るのも億劫なので7月は読書に勤しめればいいなあと思っています。
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