vol.05イタリア買い付け旅行記「カンティネッタANTINORI」
2001年10月22日(月) 5日目
この日のハイライト
・師匠のイタリア拠点であるフィレンツェのビジネスホテルにチェックイン
・有名ワイナリーが出した人気レストランに潜入
ポジターノからフィレンツェまでの大移動500km
いよいよ今日からはローマよりも北に上がってゆく。中山氏今回の仕事のメインであるイタリアワインの本場。そして隠れた名店の数々。それらを回りながら、日本の皆様に紹介できる食材を持ち帰るのが私の今回の仕事でもある。ここからいよいよ本番。気合が入る。
名残惜しいポズィターノを背に、カプリ島を経由してナポリまで船を乗り継ぐ。9時半に出航し、ちょうど昼頃ナポリ港到着。船を上がると、ナポリ・メルジェリーナ駅まで歩くこと10分。ユーロスター(イタリア版新幹線)でローマ経由フィレンツェ行きに乗る。快適な鉄道の旅。ナポリからフィレンツェ到着までの車窓からの景色は、90%以上が田園風景だ。
オリーブやぶどう、各種の野菜とにかく広大な畑が車窓に映し出される。まるで映画の一コマのようだ。温暖ながら日較差・年較差の激しい気候に加え、険しい山が少なく丘陵ばかりな地形が豊富な農産物を生み出している。イタリア料理とは、そのような「素材の良さ」が十二分に活かされる料理なのだと、改めて気づかされた。
HOTEL BODONI(ホテル・ボドーニ)
夕方になって列車はようやくフィレンツェに着く。駅前からタクシーに乗り込み10分。中山氏の常宿「ホテル・ボドーニ」にチェック・インだ。郵便局の隣にある簡素な2つ星ホテルながら、フィレンツェの中心に建つドゥオモへ歩いて5分くらいでいける便利なロケーション。スーパーマーケットもあり、下町の雰囲気がプンプン漂う。二泊した南イタリアの高級リゾートホテルとの落差は激しく、強制的に?ビジネス・モード全開である。
部屋は必要十分にして簡素。バスタブなどあるはずもなく、シャワーのみの部屋。そこそこの広さで居心地はよさそうだ。休憩もそこそこに、師匠と二人で街へ出かける。歩いて10分もしないところに、フィレンツェの目抜き通り。レストランは8時半の予約だそうだ。それまで、食材店などを覗いて時間を過すことにした。
"CANTINETTA ANTINORI"(カンティネッタ・アンティノーリ)
ワイン醸造所として古い歴史を誇るブランド"ANTINORI"が出したワインバー。郷土料理をワインのつまみに出しているうちに評判になり、いまでは高級リストランテとして営業している。酒蔵として600年の歴史をもつという。ワインはボトルではなく、グラス1杯から注文することが出来る。いろいろなワインを試すのには絶好の店である。
入り口は小さく目立たないのだが、中に入ればとても高い天井の開放的な空間にグルメな紳士淑女が集っていたのであった。
カメリエーレ(給仕)たちはとても気さくでフレンドリー。で、ドレスアップしていてかっこいい。ここでは旅行中、不足しがちな野菜を中心に食べることにした。その後、名産のキアナ渓谷産の美味しい牛肉ステーキ「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」を一皿頼み、中山氏と半分ずつ試食する。1キロ単位で炭火焼したもので、脂身がほとんどない。日本で食べる肉とは全く異なり、肉の「甘み」を感じることができる一品だった。
ワインはすべて中山氏の見立てによるものだったが、さすがにプロの目利きは違うものだ。どれも全部、非常に飲みやすく次から次へと飲めてしまう。帰りがけにふと棚に目をやると、このレストランで使っているオリジナルのオリーブオイル発見。すかさず1本お土産に購入して帰ることにした。