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【3-6】春の味覚とミツバチとはちみつと(〜761日目)
桜前線とともに
東京の桜の開花宣言から少し遅れて、小鹿野町の桜も満開になる。
今年は去年に比べると半月ほど遅れて桜が満開になった。
閉校になっている学校の校庭の横を養蜂場にしているので、校庭の桜の木はミツバチ達の楽園になっている。
桜の木の下に立っていると、ミツバチの羽音がブンブンと聞こえてくる。
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何も知らなければ、虫の羽音なんて恐怖に感じるのかもしれない。
今はミツバチの羽音を聞くと幸せな気持ちになるんだから、ところ変われば人の中身も変わるのかもしれない。
校庭のソメイヨシノが満開になると、それはそれは「ザ・春!!」って感じがするけれど、実は山のあちこちにぽわっとピンク色に咲いている山桜の方が、ミツバチにとっては良い蜜源になるらしい。
ミツバチは、お気に入りの木を見つけると、みんながそこに集まってきてひとしきり蜜を集める。
近くに花が咲いていれば、そこに立ち寄ることもあるけれど、花が満開に咲いている木があれば、みんなでそこに集まる。
桜の花の蜜は、これからミツバチ達の勢いが増してくるための栄養として、ミツバチ達のための蜜になる。
人間の口に入るはちみつになるのは、もう少し後に咲く花たち。
アカシアや藤の花が咲くまであと少し。
それまでは、モリモリと群れを増やしてもらうべく、ミツバチのお手伝いをする日々。
山の味覚
去年と比べると、春の味覚も少し遅い。
荒川の道の駅に行くと、行者にんにくがたんまり出荷されている。
自分の畑にも植えてみたけれど、一年目は食べずに育てるので、今年はお店で購入。
醤油漬けにする。
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養蜂場の土地を貸してくださっている地主さんの竹林に生えてくるたけのこを今年も掘らせていただく。
「掘ってもいいですか~」
「全部ほっちゃっていいぞ~」
お決まりの会話をした後、必要な分だけ掘らせていただく。
まだ少しだけ小さいけれど、タケノコは小さいくらいの方が柔らかくクセもなく美味しい。
地面をずり足で歩いていくと、ほんの少しだけ頭の部分が足の裏に当たる感覚でタケノコを見つけていく。
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茹でた穂先の柔らかい所に、作っておいた行者にんにくの醤油漬けをかけていただく。
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ぐんぐん伸びてきたニラ。
柔らかくて美味。
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ポコポコと生えてきたタラの芽。
地元の人たちは、たらっぺ、と呼ぶ。
こちらも、3つだけ頂いて天ぷらにする。
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自分が美味しく食べる分だけ、少しだけ山の恵みをいただく。
そのくらいがちょうどいい。
ミツバチの魅力
ぐんぐん勢いを増して飛び回るミツバチたち。
今年は新しく群を購入して、今いる群の全てが自力で冬を越えさせたわけではないので、チート感がある事は自覚している。
それでも、今年はゆっくりと花が咲いてくれていることもあって、落ち着いてミツバチと向き合うことができている。
飛び回るミツバチの中に座って、飽きることなく観察する。
お昼前後に、新しく外勤になったミツバチ達が、巣箱の入口に向かって飛ぶ「巣覚え飛行」という光景を見ることができる。
巣箱の場所を覚えて、外の世界に旅立っていく。
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手の上についているはちみつを、ミツバチが吸っていく。
猫にちゅーる。ミツバチにはちみちゅーる。
かわいくてかわいくてかわいい。
季節によってミツバチの仕事は違う。
はちみつを分離機にかけて搾ったりするのが、養蜂体験っぽさがあると思うけど、今の季節のミツバチたちは、自分たちが働くことに集中しているので、比較的穏やかで近寄らなければ刺されることもない。
オス蜂や産卵する女王蜂や、不思議なものをたくさん見ることができるので、今の季節にミツバチを見てほしいな~と思う。
養蜂体験会をしてみたいけれど、ミツバチに負担を与えたくなかったり、刺されたり、怪我をされないように、安全に体験してもらうのは、なかなか難しそう。
今のところ、知り合いで遊びに来てくれた人に見てもらう程度しかできないけれど、もっとミツバチのことを知ってほしいし、知ってもらったうえではちみつを食べてほしいなと思ったりしている。
実現するのはいつになる事やら。
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