理解せず、、、、<短歌>
○理解せず 著者を表紙は 漫画化で
魅(ひ)けど岩波 挿絵勝るる
近く公開されるアニメ映画に「君たちはどう生きるか」がある。
宮崎駿作品だ。ファンの人には悪いけど、個人的に既に興冷め。
興冷めの域だ。
まぁ、いい。映画の話を書くのではない。
漫画版を求める人が多いようだが、知る限りの版元は2社。
数年前に売れに売れ、アニメ映画化原作本として今回も又、期待大。平棚にわんさか積まれよう。少し大き書店にゆくが良い。
が、本当に「理解したい」。
「時代を知りたい」「どっぷり世界に浸りたい」「ドはまり希望」「底なし沼に、自らズブズブ進みに進み、最後は沈んでしまいたい」
向きに漫画版はお奨めしない。漫画版ではダメ。表紙からして、お話しにならない。主人公のコぺル君。本名・本田潤一君へ理解に乏しい。
1社から出ているのは、学生服に大きな眼鏡。
真剣なまなざしをした男の子。何かを学ばんとする気持ちは分かるが、著者。吉野源三郎さんはそういう特殊なというか、特別な場面。
学校の定期テストとか、入学試験の為に必死になって憶えるみたいなのを、望んでいたんじゃないと思う。
「路傍の石」で有名な山本有三も拘わっているのだが、山本さんも同じであろう。真剣に、必死になって=NG。
残り1社。何じゃ、ありゃ?
昭和初期の田舎の少年。坊主頭で、着物姿の少年が、山のてっぺんに突っ立っているだけ。(はぁ~っ)言葉にならない愕然さだ。
いいですかぁ~っ?
コぺル君。本田君は、山の手の坊ちゃん。約100年前の、山の手の坊ちゃん。父親は既に他界しているが、母親と数人の召使い(原文のママ)と住んでいる。ちゃんとした家に住んでいて、生活に不自由してる様子はない。叔父さん。お母さんの弟である叔父さんの紅茶を愛飲している。哲学をやっているとあるが、高等遊民っぽい。
そういう人に囲まれ、コペル君は生活しているのだ。
漫画化するに当たって設定その他を現代的にしたのかも知れない。が、にもしても酷過ぎる。
写真は、わたしが持っている「~生きるか」。
表紙がいい!挿絵がピッタリ!読めば読むほど、内容と一致。「ブラック・ジャック」と共に煮詰めるとの愛読書なので、熱く語ってしまった。目出度し、目出度し。
序に書けば、随分前、ポプラ社も出したが、表紙が昭和30年代で頂けない。おまけに書くと、漫画版では「ノート」としているようだが、岩波版では「note」です。しかも表記の仕方が洒落ている。岩波版を是が非でも。