味なきと、、、、<短歌>


○味なきと 知れど欲せし 病人は 今満ちたるも 天で飲むそを

※亡父が、入・退院を繰り返していた頃。約1年の間に7,8回でしたか。病院から許可が下りて一応、退院となり家で過ごしていた時分、何回も欲していたのが、珈琲でした。
ホントはいけないんだけど、3倍ぐらいに薄めればいいか。病院で飲めなかったんだから、何回か、わたしが作りました。
粉珈琲でしたが、父のお気に入りの銘柄。愛用のマグカップに注いでね。季節柄、温かいのです。

「どう?」聞くと必ず「不味いね」。
正直です。殆ど味がないようなのしか飲めないと分かっているはずなのに、欲する。飲みたいと願う。味覚がなせる本能というか、技なんでしょう。

自宅のトイレで大吐血してから、約3ケ月後に他界した父。柩の中に紙パック方式のインスタント・コーヒーを入れました。5袋入りで1パック。様々な味が楽しめる高級品です。
「へぇ~っ、こんなのがあるんだ」「これ、モカ?」先に逝った母や親族と共に、飲んでくれていたらと思います。


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