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80代のセンパイと暮らす。(36)

センパイとの梅仕事も何度めになるのか。今年は去年の1/3も収穫できず、寂しい限りだけど。

最近、8050問題が話題になっている。80代の親に50代の子どもが寄生して生きているという話だ。引きこもりの息子を父親が殺害した事件があったことが更に拍車をかけた。世間の目は「いい歳して親と同居して依存するなんて恥ずかしい」が大半なのだろう。現在40代後半から50代になる、団塊ジュニアと言われる私たちの世代はとにかく人数が多く、生き方は多様で、それぞれにそれなりの数がいるから、珍しい存在にもならない。未婚で親と同居している人もかなりの人数がいる。下記の記事によると、35-54歳で446万人(2016年)とか。一大勢力である。このような、実家の子ども部屋で暮らす人たちを「子ども部屋おじさん(おばさん)」と、この記事では名付けている。
https://diamond.jp/articles/amp/206234?display=b

かく言う私も「子ども部屋おばさん」だ。2007年、iPhone3が発売され、「これで深夜まで会社でメールを待たなくていいんだ!」と確信した私は、神楽坂のソフトバンクでiPhone3を手に入れた日に実家に引っ越した。実家に戻るというと居候感があるが、私は実家を既に相続していたため、固定資産税も払っていたし、持ち家に帰ったに過ぎない。私の父、センパイの夫が亡くなって、センパイは人生初の一人暮らしが始まった。「大丈夫なの?帰ってこようか?」とたずねると、「大丈夫。私はガマン強くないからダメな時は言います」と。うちは二世帯住宅で敷地内に兄の家族も住んでいるので、純粋に一人というわけでもなく、その時には帰らなかった。父親が亡くなってから1年半後、私が色々あって帰ると決めたとき、センパイに求められているわけではなかった。かと言って反対するでもなく、「あら、そうなの。あんまり深夜に帰ってきちゃダメよ」と言われただけだった。10年以上も勝手気ままな一人暮らしをしてきて、今さら同居できるのか?ま、ダメだと思ったらまた出ればいいか、くらいで始め、私は「子ども部屋おばさん」となった。

それから、あっという間に、もうすぐ12年になる。iPhoneが3から10まで進化したように、センパイの老化も当たり前だが進んでいる。帰ってきた当初、70代前半までのセンパイは毎日出かけていた。それが段々疲れるということを自覚して週3に。今は遠出は週1-2くらいだろうか。耳が聞こえなくなったとか、何度も同じことを言うようになったのは言うまでもない。このnoteを書こうと思ったのも、老いが顕著になったことを記録しなくてはと思ったからだ。

8050問題が社会問題化され、「子ども部屋おばさん」とか言われるようになると、未婚で親と同居することは肩身が狭いことなのか?と考えさせられた。いや、私はむしろオススメしたい!次の世代を育てることに忙しくない人たちには、大学院に行くことと同じくらい、センパイ世代との同居はオススメなのだ。お互いに元気でいれば、とにかくお互いに学びが多い。36歳の自分と72歳のセンパイは、ほぼ関心が同じだった。独身であっても、子どもがいても、70を過ぎた頃には夫が死に、1人になっている女性は多い。そうなると、元気であれば、30代の関心事にどんどん食いついてくる。笑。女の人の人生は長いから、そこからの生き方を身近で見せて貰うのは本当に勉強になるものだ。

人間は1人である。結婚していても子どもがいても、それは同じ。フィンランド人から学んだことだ。
人間は誰でも老いていく。自分に似たロールモデルが近くにいることは、先の人生を考える上でどんなに心強いことか。
キーとなるのは、心身共に元気=健康でいることと、心身共にお互いに依存しないことだ。これから先、センパイはきっと出来ないことが、今以上に増えてくる。それをどう受け止め、センパイの健康を維持し、依存しないようにしていくか、それがセンパイと私の“8050問題”なんだろう。

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