不妊治療と高刺激法による副作用
不妊治療と体力は切っても切れない縁がある。
結論を言うと、私には高刺激法が全然合っていなかった。
高刺激法というのは、卵子をとにかく増やすために最大量のホルモン剤を投薬する。注射も毎日だ。
うまくかみ合えば、10個20個と卵子が採れる人もいる。
私には、その投薬を受け止めるほどの体力がなかった。
なんて言ったって、片頭痛と十二指腸潰瘍が持病で、低血圧(90/48とかザラだ)&貧血で、たまに倒れる。そんな虚弱体質だ。
採卵結果を先に書いておくと、
1回目:卵子が1個。大きくなりすぎているので、採卵そのものがキャンセル。(「嘘でしょ…」という心の声と共に。)
2回目:卵子は3個。1個だけ初期胚で凍結できて、移植。妊娠を示す数値は50とかだった。要は、陰性である。
最初の二回だけ高刺激法をやった。
この高刺激で治療してくれたクリニックは、職場から近く、政令指定都市の不妊治療クリニックの中では、割と評判がよく症例数も多いクリニックだった。
とはいえ、フルタイム社員との両立は難しかった。私の仕事はフルタイムでないと募集がかからない職種なので、ずっと自分の仕事にこだわった。
当時は、償還払いの補助金支給のみだったので、顕微授精は1タームごとに60万円ほど。目減りする貯金を見れば見るほど、毎月の定期収入は欠かせない。そう思っている間に、職場の異動が2度あり、この採卵二回に実はほぼ2年かかっている。
もしかしたら、すぐ職場を辞めて不妊治療に専念していたら、また結果は違ったのかもしれないが、「たられば」過ぎてどんな想像もできない。
辞めるタイミングは何度かあったが、退職という一歩を踏み出すまで2年を要した。
一つだけ言えるのは、「今の卵子が、一番若い」ってこと。
まず投薬の副作用がえげつない
さて、高刺激の薬の話をしよう。
私には薬がもう全然合わなかった。全然だ。
薬の種類によっては、脂汗ダラダラ。頭を締め付けて閃光が見えるくらいの頭痛。
もう仕事にならない…。
クリニックは院内注射のみ対応
しかも、私の通っていたクリニックは、自己注射NG。院内注射のみというポリシーだった。
脂汗と頭痛の中、仕事を超特急で終わらせて、1時間早退して、自転車でクリニックまで立ちこぎで全速力。
仕事は、基本クライアントとのアポイントメントで成り立っていた。
制度的には1時間から有休が取れたが、この1時間早退するのも、採卵術も移植術もすべてのスケジューリングが、クライアントにも他のスタッフにも惑をかけるので、「不妊治療のために、定期的に早退したい。採卵や移植は突然決まる」ということを職場に言わざるを得なくなった。
そして、
このあと、とあることがキッカケで上司だけでなく、全員の知るところになる。
私が2年で2回しか採卵しなかった理由
東京在住だった私は、入籍と同時に、知り合いが誰一人といない夫の実家があるとある県に引っ越した。
転職活動も東京にいる間に行い、フルタイムでバリバリ働くつもりで、希望の職場にも就けた。
だが、引っ越しと同時に入籍。半年後に挙式と披露宴。挙式の数か月後には、不妊が判明する。しかも、最初から顕微授精一択。
当時、入社して半年ほどだった。そして、その年度で異動の辞令が出た。しかも、本社や受注先の会社のミスで、私は1年で2回異動しないといけなくなった。
その時、退社しておけばよかったのだが、思ってしまったのだ。
これから不妊治療でお金がかかる。(約60万円の全額自費診療で、6回まで補助金が出る)
毎月のお給料は死守したい。
キャリアを手放したくない。(大学時代から、希望していた会社だった)
当たり前と言えば、当たり前の感覚だ。突然、かなりの額の支出が増えるのに、会社を辞めようと思う人はいない。もし妊娠できたら、産休や育休も利用できる。ずっと籍を置けるなら置いておきたい。
とはいえ、フルタイム社員で働くという事は、8時間の労働とトレードオフだ。その中で、突発的な受診を組み込むのは、本当に至難の業だった。
そして、間に2回の異動があり、会社にいいように扱われている気がして、そして治療は全然成果が出なくて、私はやさぐれた。