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不妊治療と3つの体力・気力の話

ここで伝えたいのは、ただ一つ。不妊治療には①治療そのもの、②仕事とキャリア、③家庭とパートナーシップ、3つのことがらに向かう体力と気力が必要だってこと。

そして、結論としてあなたに伝えたいこと。

「心の奥底にある、デモデモダッテはさっさと決断しちゃっていい」

ってことだ。

例えば、

  • 治療を一旦ストップすること

  • ストレスが強すぎてメンタル不調なら受診して傷病休暇を取ること

  • 家事代行やミールキットを使う、全自動洗濯乾燥機を買って手間を省く、などなど


正直問題、お金のことが気になるだろう。私もすごく気になった。そして、今思えば、さっさと決断してさっさとコマを進めた方がよかったと7年経って思う。お金はどうにでもなる。どうとでもなる。貯金は目減りするだろう。思ったように積立できないのも事実だ。結婚当初に考えた貯蓄計画は、みじんも遂行できていない。


だがしかし今、思うのは会社休んでも辞めても、一旦ストップしても、さっさと治療を進めて、ゴールまでやりきった方が、次に進めるということだ。なによりも、私たちの身体は今が一番若い。

いずれ卵子が採りづらくなる、精子も運動率が低くなる。年を重ねれば重ねるほど、どんどん確立は下がっていくのだ。それは、科学的にデータが蓄積され実証されている。

そして、40歳になったネコは、今33歳の頃の自分を揺さぶって、「おい!会社早く辞めろ!」「今あるストレス全部なくして、治療進めていいよ」「お金かかっても、なんとかなるから~~!!」と声を大にして言いたい。なぜなら、今、現在進行形で夫婦そろって年齢の壁にぶち当たっているからだ。(その話は、また今度)

だから、もう一度言う。お金より、仕事より、家事より、今のあなたが一番若いから、その「若さ」が何より大切なのよ。


1.治療に向かう体力・気力

これを読んでいる読者の皆さんは、さまざまな形で不妊治療をされているのだと想像しているのだけれど、皆さん、基礎体力ありますか??

個人的な話だけど、私は小さいころから運動音痴で、ありとあらゆる運動を避け続けた人なんです。子どもの頃も、短距離走はいつもビリ、スポーツテストのボール投げは10m前後、逆上がりもなかなかできない、二重飛びも一生懸命練習して最高2回、みたいな。

そして、体力が全然ない。

この長きにわたる治療で、心の底から思うのは「過去のワタシよ、ヘタでもイイから運動して体力つけとけ!」ってことでした。

強い薬を使う疾患でよく言われることですが、「薬に耐えうる体力があるか?」って結構重要なんですよね。もともとスポーツ選手であるとか、体力がある人には、普通の人には使えない強めの薬も使えたり、またリハビリの際も頑張れるので予後が良いというエピソードを聞いたことがあります。

話は元に戻るのですが、タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精のどれを取っても言えるのが、「ホルモン補充をしたり、排卵を一時的に止めたりする」って、すごくすごく身体への負担が大きい。

あなたの身体はホルモン補充に耐えうるのか

これはやってみないと分からないけれど、もう自分の身体が否が応でも教えてくれること。

「私は案外、大丈夫だった」
「全然仕事もできるよ~」

っていう人たちがいる一方で、

「だるくて布団から出られない」
「頭痛とめまいがすごい」
「お腹が張る」

っていう人たちもいる。

生理痛と同じで、「ちょっと腰重いな~、でも動ける!」って人もいれば、「腹痛で学校や会社を休まざるをえない」って人もいる。

私は後者だったので、不妊治療って苦行だったし、苦行の割に結果が伴わず、気力もどんどん削られていました。

最近はお酒も飲まなくなりましたが、7年前は毎晩ビールやチューハイで晩酌が日常だったので、お酒を休まないといけないものストレスだった。

なので、治療が1クール終わるごとに、いつも夫を連れ出しては居酒屋でめちゃくちゃに食べて飲んでいました。店員さんに「よく食べて、よく飲みましたね!」と言われるくらいに、結果が出ないのも相まって欲に任せて飲み食いしていました。

当時は、それが気分転換法。ホントはもっとパ~っと気分転換してもよかったのかもしれないけれど、そうもいかない事情もあった。

当時は自費診療だったのと、ちょっと特殊な治療の進め方をしていた関係で、補助金申請は3クールごとぐらいに申請していた。

ということはだ、現金・貯金がどんどん削れていく中で、補助金申請&還付は1~2年あとみたいな。支出ばっかりYEARが続いていたのだ。

なんとなく、というか現実的に、財布のひもはどんどん締めていく傾向にあったし、結果が全然伴わないので、私はどんどんやさぐれていった。


もう寝るしかない

2.仕事に向かう体力・気力

そしてですよ。今まで、仕事・家庭・プライベートのトライアングルでバランスを取っていたはずの日常が、不妊治療で激変する。

まず、治療の身体的負担がデカい。んでもって、金銭的負担もデカい。保険適用になったって、デカいですよね。ちょっとした旅行やレジャーに行けるお値段だし。治療でたまったストレスを発散しようにも、大きなストレス解消法は、お財布的にも気が引けちゃう、なんてことありませんか。

で、バリバリとフルタイムで会社員をやっている人は、もう治療と業務の板挟みオブ板挟み。握りつぶされたサンドイッチのように、ぐちゃぐちゃになる人も多いかと思います。

もちろん、これまで築いてきたキャリア、これからの生涯年収を考えれば、今の環境は是が非でも残しておきたい。だって、治療がうまく行って妊娠出産となれば、育休産休取って、時短で復帰したいし、働き続けたいよね。もちのろんで。

そして、会社員として働き続けながら、治療を進めて、無事妊娠出産、復帰というキャリアパスをたどる人もいれば、退職する人もいる。

私は後者。
退職しフリーランスになった。
(というと、聞こえはいいが収入は激減した)

悩みに悩んだけど、辞める決断をした。辞めないと、治療に専念できないと思ったから。あと、職場の近くのクリニックで重篤な副作用が出たのと、自分の基礎体力に合う治療法をしてくれるクリニックが電車で片道1時間の距離にあり、そこに通うとなったら、もうフルタイムはムリですよね、、、。なんとか、辞めないで続ける手立てを取ろうとしたけど、、、私は退職するという決断に至りました。

ここは、ホント人それぞれ。不妊治療の辛くも奇妙なおもしろさは、誰ひとり、本当に誰ひとり、同じ状況ではなく、あっという間に卒業する人もいれば、そうでない人もいて、思ってもみない決断をすることもままあり、良くも悪くも大きく人生が変わってしまうことだと思う。

私たちの人生に、不妊治療はどんな光と影を差すんだろう。

治療することになってよかったとは、全く思わないが、自分の想像とはずいぶん違うカタチで心の深淵を覗きこむような機会が何度もあり、私たちのLIFEは一筋縄でいかないいぶし銀のようになったと思う。

私も、ふつーに自然妊娠していたら、ずっとあの会社にいただろう。やりたい仕事だったし、私はその仕事がとても好きだった。


喉元過ぎれば熱さを忘れるというか、楽しい思い出ばかり

3.家庭に向かう体力・気力

最後は、コレである。不妊治療のことはじめ、「家事がままならない」「夫との温度差マイナ30℃」。「家事」と「パートナーシップ」、この二つがのしかかる。

私の場合で言うと、総菜の率がめちゃくちゃ高くなった。スーパーに行っても、作る気力がないことが多いし、「サラダやおひたしだけ作って、あとは唐揚げとトンカツでいいですかね…。」みたいなことがすごく多かった。

また、職場の最寄の駅には成城石井があったものだから、時間によっては、レンチンで仕上げるタイプのお惣菜が安くなってて、爆買いしてました。

専業主婦の方も、今までできていた家事の数々が治療のストレスや副作用で、ままならないってこともあるんじゃないでしょうか。でも、「専業だし、家事くらいはちゃんとやらなきゃ」って、思ったりしてませんか。

マジ、そんなのいらないですから。ホントに。

と、私も今ではこんな断言しちゃってますが、治療初期の頃は泣きにないていました。

私の場合は、副作用が辛かったのだけど、それを夫が理解してくれない。辛いから寝ているのに「ただ怠けている人」みたいになってしまって。

どこがどう辛いのか、なんで辛いのか、いつ収まるか分からないこと。全部言葉にしないと伝わらない現実に呆然としてました。

体調が悪いのはホルモン剤飲んでるからなんだけど、男性は服薬・注射がどういう副作用を及ぼすか全然分からない。想像もつかない。生理の辛さが分からないのと構造は似ているね。

うちは土日は夫の実家に行くというルーティーンがあったので、それに行けないことが続き、夫不機嫌、私すべてが辛くて泣く、みたいな悪循環の期間が長くありました。

今思えば、フルタイム社員で、土日は夫の実家で手伝いという週休0日状態で、ただでさえ疲れていたのに、不妊治療がそこに加わって、明らかにキャパオーバーになっていました。

ただ、体調が悪い渦中って、そこらへんの俯瞰や言語化がうまくできないことも多く、何度も何度も話し合いました。夫が私の求めていることもたくさん聞いたし、私が応えらえること、治療の大変さを、たくさん話した。

夫は言った。「ハッキリ言って、何で寝込んでるのか全然わからなかった」「なんで…ってか、そんな辛いの?マジで?」

男性からみると、不妊治療の開始と現状の妻の体調不良が、全然結びついてない。

女性は、受診を頻繁にしている。そして、薬をもらう、日々注射を打つみたいな流れの中で、自分の中に薬の濃度がたまっていくのを実感するんだけど、男性は全然そんなことないんだな、と実感した。

それ以外にも、たくさんすれ違いますよね。

このサプリ飲んだ方がいいとか、私の場合は、自分が通っていた不妊治療特化の鍼灸師さんに「夫も施術を受けた方がいい」と言われて、誘って実際に施術してもらうまで、またすごく長い道のりがありました。

自分達の子どもを妊娠するためなんだから、妻がおすすめしたら「さっさとやれよ!バーカ!」って思うことも100回くらいあったけど、男性は男性で、自分の気持ちの整理をしていたり、「やってみよう」って思うまでに時間がかかったり、するんですよね。

この記事の「自分が世界で一番不幸せと思ってんなよ!」も、そんな状況や意見のすり合わせの中での夫の発言でした。


第二子妊娠に向けて、別の鍼灸師さんにかかることになり、そこでも「夫も施術に来た方がいい」と言われたのだが、前の治療院の施術よりかなりパワー系&ハード系施術だったため、夫が強い拒否反応を示したのだ。

それで、喧嘩になった。

夫は夫で、私が副作用の影響で床に伏している間、家事育児をメチャクチャ頑張ってくれていた。私はそれを当たり前だと捉えて、カタチばかりのお礼を言い、「(でも、私の方がもっともっと辛いから、)夫はもっともっと・更にもっと頑張って」と施術に行くように、強く勧めたのだ。

結局、夫は施術には行っていない。
私も行かなくていいと言った。

もう、鍼灸の施術の話題は、私たち夫婦の間では出なくなった。


あなたはあなた、私は私

あなたと昔の自分の背中を押したい

あなたはあなたの思ったことをやらせてあげるといい
ここまでつらつらと過去の出来事を書いてきたのだけど、
あなたと似通う状況がはあるだろうか?

正直、このnoteは過去の自分に向けて書いている記事も多く、
忘れかけている記憶が記している側面もある。
だけど、現在進行形で不妊治療をがんばっている、
がんばっているあなたに向けて、綴っている側面もある。

めちゃくちゃ女性に負担が多い治療だからこそ、
自分のキャリアについて嫌というほど考えるし、
パートナーシップ整えていく必要あるし、
なによりリラックスも必要だから。

あなたはめちゃくちゃ頑張っているよ、って伝えたいし、
将来の金銭的不安が拭えなくて、
ストレス発散もろくにできやしない、
なんてことになってたら、

やっぱり日常が「大変」と「辛い」に
侵されていっちゃう。

本当は「こうしたい」と心の奥では思っていることを、
実現していくのは、現実的に無理そうだと
迷っているなら、

「それ、やっちゃっていいよ。大丈夫だよ。」
と、伝えたい。

自分の味方に自分がなれないことも多いのが
不妊治療。

だから、見ず知らずのネコが
勝手に背中を押しておく。

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