【読書メモ】今週読んだ5冊
ライトノベル強化週間。私が書きたい小説はどちらかというと純文学というよりラノベ的な作風になりそうなので、参考のためにガッツリ読むことにした。
『ソードアート・オンライン2 アインクラッド』川原 礫
・なにかと風評被害を食らっているラノベ。主人公はイキリオタクではない。
・ヘテロ(異性愛)もの。1巻の感想はこちら。
・今回は1巻の舞台となった「アインクラッド」というMMO世界で暮らす、主人公以外の人々の日常や戦いを描く短編集となっている。言わばキャラクターや設定の掘り下げ。物語の本筋とは直接関係ないっぽいけれど、私は飛ばして読むような無粋な真似はしません。
・1巻の感想では「強敵には苦戦するし俺TUEEEEじゃないかも」と書いたけど、やっぱり俺TUEEEEだわこれ。一回だけピンチに陥る状況があったけれど、基本的には圧倒的な力の差を見せつけて勝つやつだわ。
・バトル描写はあまり無かった。戦闘が始まったかと思ったら、数回切り結んだだけですぐに終わる感じ。バトル描写の参考のためにそういうシーンがありそうな作品を読んだので、ちょっと拍子抜けである。
『七つの魔剣が支配する Side of Fire 煉獄の記』宇野 朴人
・なぜか惰性で読んでいるラノベ。1巻でとんでもない主人公の目標が提示されたのでワクワクしながら追っていたんだけど、なかなか達成されないのでそろそろ飽きてきた次第。俗にいう「引っぱりすぎ」である。1巻で提示した目標は遅くとも6巻あたりで一度達成して、そこからさらに新しい目標が提示される、という構成のほうがよかったんじゃないかなーと、素人ながら思ったりします。
・今回は外伝。主人公が通う学園の言わば「生徒会長」な男性キャラを主人公に据えて、主人公が入学する前の出来事を描く前日譚となっている。ラノベで主人公以外の男性キャラにスポットが当たるのって珍しい気がする。
・「魔法剣」という戦闘手法が発達した世界が舞台。魔法と剣術を交えたバトルシーンがけっこう読み応えあり。
・ダンジョンの真上に建っている魔法学校が舞台のため、ダンジョン攻略系と学園モノを両立させるという実に欲張りな設定である。それでも突飛な組み合わせという印象はなく、自然にそうした設定を呑みこめる手法はすごい。
☆おすすめ!『明日の世界で星は煌めく』3巻 ツカサ
・ゾンビパニックを銃と魔法で生き抜く百合ラノベ、完結編。1巻の感想はこちら。
・女子が女子を想う気持ちが余すことなく、ふんだんに描写されている。良い。すごくよい。普段は大人しい子が大好きな子のためなら激情に駆られて、敵に対して生まれて初めて殺意を向ける。これよ、これ。女子のために強くなれる女子はカッコいいのよ。
・Audible版での再読だけれど、朗読者さんの演技がものすごい。クライマックスに相応しい鬼気迫る演技で、再読なのに初めて読んだような物語世界に引き込まれる感覚がある。
・最終巻ということもあって百合シーンがパワーアップしている。二人の関係は「友人」と表現されるけれど、主人公がヒロインに向ける感情は明らかに友情以上のもの。ちなみに異性愛要素は主人公たちには無し。
・異性愛が滅ぼした世界を百合が救う話、という構図がすごくよい。なんか、すごくよい。
・終わった世界で未来に希望を賭ける百合、というテーマは同作者の『ノノノ・ワールドエンド』にも通じるものがある。よかったらこちらも読んでね。
・やや駆け足で終わった印象があるけれど、あとがきによると最初から全3巻の予定だったらしい。打ち切りではなく、もともとこういう構成ということなので少し安心した。
・絶望の中で光る百合、という作品にビビっとくる人は迷わず読もう。
『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』羊 太郎
・男女物のラノベ。主人公の男がクソ不真面目でクソ情けなく、ぶっちゃけ欠点だらけなので多くの男性読者は親しみを覚えるんだと思う。主人公が完璧超人だと親近感が湧かないからね。だけど大事なシーンで決めるところはしっかりカッコよく決めるので、親しみと憧れを両立させている。
・作中における魔法の説明が設定の羅列ではなく、キャラ同士のやり取りでそれとなく描写されているのに感動してしまった。「小説家になろう」系に毒されているな、私。
・でも、主人公がセクハラするのはやっぱりちょっと無理。人格が終わっているのはそういうキャラ付けだからまだ良いとして、セクハラはちょっと違うでしょ。
・男性向けヘテロ作品名物「女子更衣室で同性の胸を揉む女性キャラ」のシーンがある。何気に実物を見るのは初めてかも。胸のサイズいじりと男性主人公のラッキースケベもある。役満なり。
・性暴力未遂シーンがあるので注意。
『陰の実力者になりたくて!』2巻 逢沢 大介
・いわゆる「なろう系」の男女物ラノベ。WEB小説にありがちな設定の羅列や転生後の成長過程を長々と綴るやつは無いので、なろう系はなろう系なりに成熟しているのかなーと。
・前巻までのあらすじや、キャラの改めての紹介は無し。私みたいにあいだを開けて読む人もいるので、簡単でもいいのであらすじやキャラの説明をしてくれると嬉しいのぜ。
・胸のサイズいじりがあり。もはや驚かないのが悲しいね。
・「豊かな胸元が揺れた。」←いたってシリアスな戦闘シーンの真っ最中に挟まれた一文。これ、いる?
・基本は三人称視点の文章だけど、ときどき一人称視点のパートが挟まれる。そういう表現手法なんだろうけれど、視点が統一されていないのはどうしても気になってしまう。
・物語を引っ張る「謎」が弱いように感じる。一応ディアボロス教団という謎の組織が暗躍しているのだけれど、その正体や目的を知りたくなるような魅力が無い。登場する教団のメンバーが揃いも揃って小物ということもあり。いまのところ悪役に魅力が無いのも残念。
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