【読書メモ】今週読んだ4冊
⭐︎おすすめ!『光のとこにいてね』一穂 ミチ
・小学生、高校生、そして大人。お互い男と結婚しても、それでもなお惹かれ合う二人の女性の物語。
・途中で主人公たちが男と結婚するけど、それを凌ぐ女同士の関係性の強さを再確認できる作品です。
・二人の関係性がその後どうなったかは読者の解釈に任せる系の終わり方だけど、これは女同士の関係性の大勝利ENDと言って差し支えない。
・異性愛が女同士の関係性を前にして身を引く感じのお話。そういうの嫌いじゃないよ私。
・女同士の関係性目的で読むと主人公たちの夫の存在がノイズになって読みにくいけれど、それでも最後の展開にはきっと満足すると思う。そうとは知らずに読んだならば密度の高い女同士の関係性に心地よく打ちのめされる貴重な体験ができる。
・主人公ふたりとも、お互いへの愛が重くて最高。
・大人になった二人は、心理的に少し距離がある状態で再会する。相手を呼ぶ時、セリフでは名字呼び(結婚した男の姓)だけど、地の文=内心ではちゃんと名前呼びなのが細かい。
・大切に想っている女の子から幼い頃に何気なく渡されたものを、大人になっても後生大事に持っているのはかなりポイント高い。
・メイクしてあげたり髪を結ってあげたりとか、その子の夫には出来ないことを自分はしてあげられる。既婚者の女同士ならではの感情だな、と思った。
・妻が昔の女と再会したので自分は身を引いて離婚する夫には「よくやった」と言ってやりたい。
『神様の御用人』浅葉 なつ
・フリーター男が神様の願い事を叶える話。
・人々の信仰が薄れたおかげで力が弱まり、妙に人間くさくなった日本の神様たちが登場する。引きこもりゲーマーになった一言主、蛇になっていたところを踏んづけられてギックリ腰になった橋姫。日本の神話や民話をカジュアルに料理して現代小説向けに読みやすくした感じ。日本神話に触れてみたいけど、お堅い本は苦手だなぁ。という人の入り口として最適な本かも。
・シリアスな展開はほとんど無いので、かる~く読書体験がしたい人にもオススメ。
『ハヤブサ消防団』池井戸 潤
・都会の生活に疲れた作家が田園風景に魅了されて地方に引っ越してきて、これからスローライフが始まるのかと思ったら消防団に入ることに。まあ言うて時々ボヤが起こる程度の展開かと思ったらいきなり全焼案件が起こり、その後の展開で死人まで出る。やっと分かった。スローライフじゃねぇやこれ!
・前半は牧歌的な田舎スローライフ、後半は主人公が探偵役になって緊迫したサスペンス展開。前半と後半のギャップが激しい作品です。
・父親が地元出身とはいえ、都会からやってきた若者である主人公が「田舎」コミュニティにすんなり受け入れられる点は非現実的に感じた。実際はもっと閉鎖的だよ。
・ひょんなことから消防団員になった主人公の地方ライフと、村を脅かす謎の放火事件が並行して進むストーリー方式。日常と謎が共存している感じ。
・土地が余ってる田舎にソーラーパネル業者がやってくる、というよくある話と見せかけて、そこから意外な真実が明らかになる構成が面白い。リアルさのある展開を入り口にして、そこからだんだんと展開が盛り上がってくる。
・キャラクターたちの第一印象と、その後の展開で印象が変わるギャップが激しくて面白い。いけ好かないと思っていたおっさんが実は憎めない人だったり、頼りないと思っていた人が実は裏でいろいろ動いてくれていたり。
『麦本三歩の好きなもの』住野 よる
・日常を丁寧に綴る平和な感じの作品。事件などは起こらない感じのゆるい小説で脳を休めたい人にオススメ。
・オノマトペや擬音が多用される。「ビールをくぴり。」とか。そういう文章にイラッとする人には向いていない。余談ですが、私はお酒関連のオノマトペには総じてイラっとします。よく聞くものだと「ビールをキューッ」とか特に。なんだよキューッって首でも絞めてんのか。
・主人公の女性は彼氏がいた設定がある。作品の物語開始時点で別れているため今はいない。その辺の恋愛展開は割愛されているためほとんど無い。男性キャラと水族館に行く展開があるけど、私が読んだ1巻の時点では学生時代の友達同士という関係で今のところ恋愛関係ではない。
・だいぶ抜けていることがあるおとぼけキャラの成人女性が主人公。なんだかんだで職場で愛されている風景に私も読んでいて癒された。
・中盤でシリアス回もあり。致死念慮を抱えたキャラが出てきたり思った以上のシリアス。
・本作は百合作品ではないけど、女友達同士の愛のあるやり取りや、羨望や憧れの入り混じる感情、はたまた「気に入らない」といったネガティブな感情が多めに描写されているので、百合小説書き志望として参考になる。
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