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【読書メモ】今週読んだ4冊

『ドグラ・マグラ』夢野 久作


・文庫版の表紙はセンシティブなのでここではAudible版の画像を貼る。
・昔の小説だからか、それとも奇書と呼ばれるゆえんなのか、文章がすごく難解。内容を頭に入れるのに苦労する。途中でガチガチの文語体になるので、そのパートの内容は半分ぐらいしか理解できなかった。なぜならAudibleで聴いているので。文語体の文章を耳から聞いてもマジでわからん。
・「胎児の夢」と呼ばれる論文を軸に物語が進む。人間は遠い昔に海を漂う単細胞生物だった頃からの遺伝的な記憶を胎児の時点で有している。つまり先祖代々の記憶を子宮の中の10ヶ月の間に夢みている。だから人間らしい心理を誰に教わるまでもなく有している、みたいな論理。さらに踏み込んで考えると、たとえば1000年前の先祖の恋人にそっくりな人物を目にするなど、ふとしたきっかけで自分ではない先祖の記憶を「思い出す」ことがあり、それが物語の重要なキーとなっている。
・読んでみた感想。正直言って、分からん。1回読んだくらいじゃ理解できないたぐいの本なのでしょう。よく分かってない人ほど簡単に「分かった、理解した」と言うものなので、ここは正直に「分からん」と言っておきます。
・時代柄、何度も「きちがい」というワードが出てくる。何度も何度も出てくるので「何回”きちがい”言うねん!」と思って青空文庫でページ内検索したら、全部で127回言ってた。精神病院という舞台と書かれた時代からして避けて通れないワードとはいえ、そこまで言わなくてもいいジャン・・・
・エログロナンセンスの代表みたいに語られることがあるけど、読んでみたらそんなにエロくもグロくもなかった。グロいのはせいぜい死体が腐敗していく様子が描かれた絵巻のシーンぐらい。一方、ナンセンス(バカバカしい)ではある。「胎児の夢」はトンデモエセ科学の極みみたいなやつなので。ただ、作中の語り口が巧いので妙な説得力がある。
・「リノリウムの床」が出てくる。小説において、なぜか材質まで描写されることで有名なリノリウムの床。この時代からあったんだ。・オチはわりとよくあるやつ。いや、むしろ本作が「よくあるやつ」の元祖というべきか。

『狼と香辛料 Ⅳ』支倉 凍砂


・往年の男女ラノベ。主人公とヒロインの関係性は今のところ相棒以上恋人未満といった感じ。
・ファンタジー世界が舞台のラノベだけど、敵や主人公の強さがインフレしていたり、強力な魔法をぶつけ合うなどの派手な展開は無い。なぜなら主人公は勇者や魔法使いではなく一介の商人だから。あくまで商人として知恵を働かせてピンチを切り抜ける。その展開が地味ながらアツい。
・主人公たちは行く先々でさまざまなトラブルに巻き込まれる。ヒロインが伝説の狼なのでその気になれば暴力で解決することもできるが、あえてそれをせず商人の知恵と対話で問題の解決にあたる。暴力で解決する商人とか絶対お客がつかないもんね。
・今までは「街」を舞台に物語が繰り広げられたが、今回は「村」を訪れる。狭いコミュニティの温かさと危うさが物語に大きく関わってくる。
・あったか田舎コミュニティだと思ってた村が「ヤバい」と分かった時、正直ゾクッとした。怖い。
・Audibleで聴いたのだけど、ヒロインの口調の「〜してくりゃれ?」がめっちゃ可愛い。
・余談:いまでは「ホロ」と聞くとホロライブを連想する人が多いんだろうか。

『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』キム・ユジン (著) 小笠原藤子 (訳)

・実用書。いわゆる朝活のハウツー本。「イーロン・マスクもやってる!」みたいなキャッチコピーで読む気が失せたが、朝活を始めたいので結局読んだ。
・ときどき、自分より他人の方が優れているように見える時がある。あの人のほうが才能があるとか、自分より物事を始めるのが早かったからもう追いつけないとか。そういう時は自分の道だけを見つめること。そして、自分の道は朝の時間で作られる。レッツ朝活。自分だけの道を行こうぜ。
・他人より先を行こうとするよりも、自分がいま出来ることをやるべし。
・早起きした時間は人生のボーナスタイム。どうせボーナスタイムだからと専門外の新しいことにチャレンジするのもアリ。
・「時間が無い」と思っているのなら、それは「やるべきことを先延ばしにしている」ということではないか。
・国立睡眠財団によると、成人は少なくとも7時間の睡眠が必要。睡眠時間の確保を優先して、無理のない範囲で朝活しよう。
・本書は著者の個人的なエピソードに紙幅が割かれすぎている気がする。朝活のハウツーを知りたくて買った読者は、長々と記述されている「著者はアメリカの司法試験を2回受けてようやく合格した」という情報は求めていないだろう。
・「グローバルリーダーたちのモーニングルーティン」というコーナーがたびたび挟まれる。Apple CEO、Amazon創業者などが朝をどのようにスタートさせているかを紹介するもの。なるほど、成功者と呼ばれる人たちが何をやっているかは気になる。だけど本書は彼ら彼女らの朝の過ごし方をそのまま記述するだけで、それに著者ならではの分析がされることはない。ただ載せるだけ。偉人の名言を引用して説得力を持たせるやつに似ている。

『読書脳』樺沢 紫苑


・AIが文章を書いてくれる時代だからこそ、むしろ文章力を鍛えるべし。ChatGPTに文章を書いてもらうにしても、適切な文章を入力しないと適切な出力はされない。
・文化庁の「国語に関する世論調査」(2018年度)における「1カ月に大体何冊くらい本を読んでいるか」という質問で、「7冊以上」と答えた人は3.2%。月7冊の本を読めば、日本人の読書量ランキング上位3%に入れる。目指せトップランカー。4日に1冊のペースで読めば実現できるよ。
・本を読んだら感想をアウトプットすべし。そうすれば知識として身につけられる。
・整理、体系化された知識・情報が手元にあるか否かで他人との差が付く。昔、「料理の鉄人」という番組があった。プロの料理人と一般人の挑戦者が料理対決をする、という内容。料理に使う食材はあらかじめ用意されており、あとは取り掛かるのみとなっている。もしこれが食材の買い出しからスタートだったら大いに手間と時間が掛かっただろう。ここでいう「食材」が読書で得られる知識・情報である。しっかりアウトプットして手元に用意しておくと、いざという時にすぐ役に立つ。
・読書やアウトプットに集中して取り掛かる時は15分を一区切りとするのがオススメ。最初の5分は「さあやるぞ」とやる気が出て(初頭効果)、最後の5分は「あとすこし」とラストスパートが掛かってこれまた集中できる(終末効果)。60分ぶっ続けでやると最初と最後の5分で合わせて10分しか集中できない。だけど15分区切りで休憩を挟みつつやれば、15分×4で60分のうち40分も集中できることになる。
・本を読み終えて「ああ面白かった」にならないようにするためには、あとでアウトプットすることを前提に読むこと。あとで感想を書くぞ、Twitterやブログに書くぞ、と自分に軽いプレッシャーを掛けると効果的。
・アウトプットは週3回やると効果大。たとえば本を読んだ日の夜、翌朝、週末の3回。週に3回も思い出せば、脳が「これは大事な記憶だぞ」と判断して「記憶の金庫」である側頭葉に保存されるので忘れないようになる。


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