【読書メモ】今週読んだ4冊
☆おすすめ!『ここでは猫の言葉で話せ』1巻 昏式 龍也
・「かわいい」が詰まった、人が死ぬ百合ラノベ。
・猫好きと百合好きのための一冊。猫がいっぱいだし女同士の関係性もいっぱいあります。まだ1巻だけど、早くも百合キスシーンがあるのでガールズラブの気配もあり。舌も入れてたことだし。
・女子に萌える女子っていいよね。表紙に描かれている主人公が周りの女子達にとにかく愛でられるので、読んでいてHPが回復する。
・主人公は天然タラシクール女子。百合ラノベの主人公として申し分なし。
・ロシアの地下組織で殺人マシーンとして育てられた主人公は、その教育課程で人としての心を失っていた。友人が目の前で殺されても悲しさは生まれず、涙一つ流さなかった。これは、そんな凍てついた心の少女が、日本の女子校で女の子たちに愛でられていくうちに人の心を取り戻していく。そんなお話。
・メインヒロインっぽい女の子の出番が今回はあまりなく、サブヒロイン的な立ち位置の女性が1巻のメインという構成はあまり見ないので新鮮に感じる。
・ガチの殺し合いシーンを繰り広げたあとに猫をモフるシーンがあるの、欲張りがすごい。
・猫を摂取しないと死ぬ体質の、猫嫌いの猫アレルギー持ちという主人公の設定はやや斬新。ただ、アレルギーというものの扱いが軽いように感じる。程度の差はあるけど、人によっては命に関わるものなのでコメディタッチのストーリーの要素として気軽に扱っていいものでないんじゃないかな~と。私の叔母はカニを食べると問答無用で病院送りになるので。
・巻数表記はないけれど続巻もあります。引き続き読む予定。
『兇人邸の殺人』今村 昌弘
犯人は、探偵の敵なのか。
・怪物ホラー×本格ミステリ。敵は怪物。圧倒的で純粋な暴力の前に、推理力はただ無力。さあ、どうする探偵。
・筋肉モリモリの殺人鬼巨人が徘徊する館に探偵と傭兵部隊が閉じ込められる、というぶっ飛んだ設定の特殊設定ミステリ。ゾンビパニック、予言と続いて今回でシリーズ3作目。今回もクローズドサークルだけど、その捉え方が独特で面白い。今回はテーマパークのど真ん中にある建物、ディズニーランドで言うところのシンデレラ城みたいな場所に閉じ込められることになる。その気になれば窓から叫んで助けを求めるくらい簡単にできる状況だけど、それでも主人公たちは自ら閉じ込められることを選択する。なぜなら、拳銃を所持している傭兵部隊をはじめ閉じ込められた人々は後ろ暗い事情を抱えており、警察に踏み込まれたら逮捕は免れないから。また、クローズドサークルを開放したら中にいる怪物も外界に解き放たれて大惨事が起こることになる。それゆえ、怪物がうろつく館の中に留まり続けることになる。
・「もしシンデレラ城に閉じ込められることになったら、それはどういう状況か」という着想から本作は生まれたんじゃないかな~、と勝手に考えている。今回も面白かった。
・ここからは微ネタバレ。
・怪物の他にも人間の殺人犯が紛れており、その人物も怪物ほどではないが超人的な能力を持っている。ただし、犯行の中で超人スキルを使うのは一回だけ。その一回を見抜けば犯人に辿りつける、かもね。
・ノックスの十戒の「主要人物として超人的な身体能力を持つ人物を登場させてはならない」にあえて逆らっている印象。だけど、むやみやたらに超人スキルを使うのではなく一回限りなので、ぶっ飛んだ推理をしなくて済む。
『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』1巻 理不尽な孫の手
・主人公が普通にキモいセクハラ野郎。34歳無職童貞ニートはともかく、セクハラはちょっと。女の子の下着を盗むレベルのヤバさなので、この時点で読者はかなり絞られる。
・序盤の展開では魔法に関する設定の羅列がひたすら続く。魔法の原理とか、無詠唱魔法の凄さとか。いいから何か面白い事件とかイベントを起こさんかい。魔法に関して特に斬新な設定があるわけでもないんだから、サラッと説明せんかい。
・転生モノが幼年期から成長過程を長々と書くものが多いのは、何かそういう決まりでもあるのだろうか。なろう転生協定みたいなルールでもあるのか。本作も例にたがわず、異世界に生まれたとある乳児の体をハイジャックしてからというものの、成長過程をイチから順番に描いていく。そのへんをすっ飛ばして、悪い奴らをブッ飛ばして「ざまぁ」する展開までいきなり描いてもいいのでは。え? 物事には順序がある? スミマセン。
・地の文でネットスラングが頻繁に出てくるので、小説でそういうのを見たくない人には向いてない。たとえば私とか。
・ただ、良い点もひとつ。「小説家になろう」で連載されていた小説を出版したものは、1冊の本としての区切りが薄い作品が多い。商業小説は1冊でまとまるように起承転結がしっかり作られているけれど、WEB連載ではそうしたことを意識しなくていいので、大抵は大きなヤマやオチが無いまま1冊が終わることが多い。それで本作はというと、いちおう展開はまとまっている。第1巻である本書では実家での幼少期を描き、次巻からは別の場所で修業をするという構成。WEB連載時からこうした構成だったのか、それとも商業出版に際して加筆修正したのかは分からないけれど、数あるWEB小説発の商業小説の中では第1巻の構成がキレイにまとまっているほうだと思う。
『それもまたちいさな光』角田 光代
・35歳、女性、独身。結婚を焦る気持ちは無いけれど、それでも人生というものを思わずにはいられない年頃。そんな主人公が「35歳までお互い独身だったら結婚しよう」と、約束するでもなくなんとなく言っていた幼馴染の男性との関係を築く異性愛恋愛小説。
・複数のエピソードが同時進行で並行していくやや複雑な構成なので、一気読み推奨です。間が空くと前の話が何だったかを忘れるので。純文学な趣の作品をじっくり読みたい人向け。
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