ななしゃねる
noteで書いた過去の日記エッセイを集めます。公開してからしばらくは無料ノートで公開するのでフォローしていただければ無料で読むことができるものです。
水が滴り落ちてきた。 突然、腹がツンと冷たくなった。 雨漏りだろうか。こんな頑丈なマンションでそんなことあるわけない。 水は記憶を持つ。 アナと雪の女王Ⅱを観た。アナが1人で突き進むシーンで涙する。 涙にも記憶は宿るだろうか。流した涙をすべて保管して、どんな一生を送ったか保存しておきたい。
涙が出た。 なぜなのかわからない。 こうやって弔ったことがあるのかもしれない。前世かいつかどこかで。
この時間の有楽町線、本を読んでいる人が多い。電車でスマホを見ている人ばかりの景色を見ることのほうが多いので驚いた。本を読んでいた人たちは都内の駅で降りていく。 待っている間、何かを読むか書くかしているとあっという間に時間が過ぎるので苦にならない。私はどちらかというと書く方が心穏やかにいれる。これを書いているのも、昨日の文章を書いたのも電車の中でだ。 スマホを見ている人たちは何を見ているのだろう。指が動いていないところを見ると、動画を見ているのだと思う。動いているものを見る
前髪を切るときは眉間の幅だけにしてくださいと美容師に言われた。おでこの幅ぜんぶを切っていたのでいつもおかしくなっていた。今回言われたとおりにしてみたら、結構いい感じになった。 前髪の流行りのうつりかわりについていくのは難しい。薄い方がいいとか厚い方がいいとかそのときによって変わってくる。いまは薄い流行りが過ぎ去ってこれからは厚い方がいいと言われる頃だろうか。少し前に前髪だけを金髪にするのも流行っていたな。 北欧暮らしの道具店のラジオを聴いていると、店長が髪の前半分にハイラ
ある小説の冒頭で、海の色が3つにわかれているという表現があり、砂浜に近い方から、ペールグリーン、アクアマリン、そして奥の方が深い青だという。奥の方が深い青なのは想像できるが、手前が2色に分かれているというのはどういうことなのかと疑問に思っていた。 その後テレビでたまたま「潮目」というものを目にした。海の手前よりのほうで白っぽい帯のような場所があり、それが潮目だという。たしかに帯状の波でもない液体部分があり、それは海の手前側の色の薄い部分を二つに分断していた。小説に描かれてい
フランス語の勉強を始めた。一度、大学の授業で少しは習ったことがあるが、すっかり忘れてしまっている。これまで、中国語、韓国語、フィンランド語を勉強してきたが、飽きてきたので新しい言語に挑戦してみようということで、以前からマスターしたいと思っているフランス語に決めた。Duolingoというアプリを使っている。これは、子供が言語を覚えるときのように視覚や聴覚から自然と文法や単語を身につけることができるので非常によいアプリだ。 言語の学習というのは飽きるもので、飽きたときのための対
吉本ばななさんの『人生の旅をゆく 3 』を読んでいる。少し読んではお茶をのみ、また少し読んでは閉じて菓子を食べ、また少し読んで、と、少しずつ少しずつ読んでいる。そのくらい一息おいて噛み締めたくなるエッセイたちである。一息おくというか、あいだに生活をはさみたくなる、そうすることで生活の中にばななさんの息吹が入るようになる、そんなかんじ。 1と2は文庫本で読んだのだが、3は図書館で単行本を借りてきて読んでいる。当たり前だけど、単行本のほうがずっといい。表紙のイラストがかわいいし
ぽつ、ぽつ。大粒の雨が降りだしてくる音。 もうすこしで春がくるらしいと人々がささめく週末のこと。 川越の菓子屋横丁は火事にあってたてなおされたらしい。横丁と横っちょは関係しているのか。道を横っちょに入ると横丁がある。 雨粒が店脇の小さな堀の水にぽつりぽつりと輪を作る。金色の鯉が泳いでくる。うな重のタレのにおいがしてくる夕方。うな重は食べずに団子を食べる。 原宿にあるといういちご飴がここにもある。横目に見ながら、心は、いも恋に惹かれている。いつでもほくほくのおいしいさつま
かの有名な朝日新聞の1面のコラム『天声人語』は、文字数が603字と決まっているらしい。空間的に制限のある枠内に毎号ほぼぴったりに文章が収まっている。改行や字下げはなく、びっしりと文字が詰まっている 読売新聞では『編集後記』、毎日新聞では『余録』という名前になっている。これらの名前を見ると、新聞記事をすべて書いたあとに、記事本文には書ききれなかったことや書かないが言っておきたいことというような内容になっていることが想像できる 昨今話題になっていることや雑学から始まり、そこか
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どこでも住めるとしたら、パリに住みたい。 どこでも住めるとしたら、ヘルシンキ郊外の湖のほとりに住みたい。 どこでも住めるとしたら、木星に住みたい。 どこでも住めるとしたら、あなたのいるログハウスに。 どこでも住めるとしたら、あのとき過ごしたロフト付きの小さなワンルームに。あのときのままで。 どこでも住めるとしても、できれば地球に。このままの地球に。 どこでも住めるとしたら、きっとまたここに。 どこでも住めるとしたら、きっとまたあなたと。 どこでも住めるとしたら、どこにも住まな