人生の旅をゆく3を読んでいる

吉本ばななさんの『人生の旅をゆく 3 』を読んでいる。少し読んではお茶をのみ、また少し読んでは閉じて菓子を食べ、また少し読んで、と、少しずつ少しずつ読んでいる。そのくらい一息おいて噛み締めたくなるエッセイたちである。一息おくというか、あいだに生活をはさみたくなる、そうすることで生活の中にばななさんの息吹が入るようになる、そんなかんじ。

1と2は文庫本で読んだのだが、3は図書館で単行本を借りてきて読んでいる。当たり前だけど、単行本のほうがずっといい。表紙のイラストがかわいいし、しおりがついているし、何よりページを開くときの重厚感。これのためにこまめに少しずつ読んで何度も閉じたり開いたりしているのかもしれない。

どこかのラジオで吉本ばななさんのことを少女漫画的と評している映画評論家がいたが、わたしは断固反対したい。あのひとはなんもわかってない。ばななさんの小説を何冊か読めばわかるだろう、直接的でないが恣意的に描かれる強いメッセージ性。ひとを救う力。救おうとしない、そのままでいいといてくれるやり方ですくう力。

読んでいないときに、ふと「吉本ばななさんの小説を読んだあとのあの感覚になりたい」と思ったことがある。そんなふうに思ったことのある小説はほかにない。ばななさんのどの小説というのではなくどれにも共通する読後の感覚があるのである。

吉本ばななと表記するときとよしもとばななとひらがなで表記するときがあるのだが、今回はいまよんでいる本の表記に合わせています。こんなふうに突然ですます調になるのもばななさんの文章の特徴の一つなんじゃないかと思う。今回は全体的にばなならいずさせていただいたというか、いま読んでいる本に文体の影響を受けやすいので自然にこうなったというか、とにかく敬意と好意をもって書いているということをここで示しておきたい。

今日は777文字


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