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鏡の中

鏡は異次元へいく扉のようなものだということを知っている。
幼い頃から異空間のスペースに移動する遊びを鏡でしていたものだった。
肉体から自分の意識体を離し、飛び出して肉体の感覚をもつ自分を確かめることをやっていたのだ。

ふと鏡の中に映る自分の顔を凝視していた時のことである。
鏡の前に立つと自分が写っている。違和感があった。

それは反転している状態が写っているのをわたしの目でみているのであって、本物とは逆な見え方をしている自分が見える。

一生自分の本当の姿を正位置で見ることができないのであろうか・・・
それ故、自分のことは一番分かりにくい。自分という人間を理解することが難しいのはこういうことなの?

鏡に写る顔をじっと見ていると、だんだんと知らない人のような顔に見える瞬間がくる。
その先は恐ろしい顔や100歳くらいの老人になった時の顔が見えることもあるので、なかなかそれはもう怖い領域だ。
ぎゃー!わ。わ。わ。この顔は誰だ?自分か?。本当の自分?ひどいひどい。

わたしが見ているこの目から見えるものは、本当は誰の目で見えているものなの?
など思いボーっとしながら凝視していると焦点がどこにもあわなくなる状態に入る。
ひょっとして目ではなく目の目の間の眉間あたりで見ているのではないかなと思う。

そのスペースにスコンと入ると肉体から意識だけが少し離れてくる。

今目の前にいる写る肉体を持って動いている自分はいったい何者? 
わたしの本体はこの肉体の外にあるので不思議な感覚になる。
少しは離れたところから自分を見ている。

いつもわたしが感じている五感は肉体のものであって、「五感」はあまり頼りにならない感じがした。
すると肉体を持っている自分からどんどん離れ、わたしという意識体の方は空間に溶け込んで馴染んでどんどん広がっていく。

ではわたしの肉体は誰のもの?と思い自分の手の指先をゆっくりと動かしてみる。
やはり誰が動かしているのかわからないが、きっちり動いている。自分は外にいる。
魂とは別に肉体は、脳みそにプロミングされた指令に従って動いているように思えた。

そうこうしていると、何かの騒音、電話のベル、または人の話声などでひき戻る。
瞬時に魂と肉体が合致し元の自分に戻るのだ。

いるのは普段のわたし。

人間ってまだまだわからないことだらけだ。

日暈 鸞

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