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幾たび騙されても

 581文字

 お爺ちゃん、お婆ちゃんが、皆言っていた。
 春になってカッコーが鳴けば、畑に種を植えても大丈夫。
 趣味で野菜作っている人達も

「カッコー鳴いていたぞ」

「まだカッコー鳴いているの聞かないんだよな~」

 カッコー カッコー、山々木々のある所、何処でもいたる所で鳴き声が聞こえて来る。
 
「速く種植えろ〜もう遅いぞ~何やってんだ〜」
 
 カッコーの声が聞こえるて来る度にカッコーとは聞こえずに、速く植えろ〜と聞こえてしまう。
 カッコーが鳴いた~、それでトウキビや豆を植えた。
 待てど暮らせど、竹久夢二ではないけど、首をろくろ首より長~くして、毎日畑の表面を眺めて・・👀出ない、黒い土は黒いまま、あっ黄緑、なあ〜んだ、はこべや名前の知らない植えた物ではない物なのね~
 ガッカリ、しびれを切らして植えたウネをホジホジ、トウキビの種が無い、豆もない、土の栄養になってしまっている。
 カッコーに騙された筈は無い、爺ちゃん婆ちゃんが嘘を教えた筈もない、植えれる物が違うだけなんだわね。
 それでも、気持ちはカッコーに焦らされて、何度も2回植える事、片手開いて広げて立っている指に一本たした数位、畑の種は自然回帰していた。
 今年も鳴いているカッコー、澄み渡る空の中で、シトシト雨模様の木々の何処からか、ハッキリとカッコー、カッコー、しっかりとハッキリと声が響き渡っている。
 

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