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『火星の人』を読んで考えた ~危機的状況での問題解決思考
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に引き続き、『火星の人』も読む。
想定外の事態に陥り、自分一人しかいない場合にサバイバルできるか? もうちょっと言うと、適切な問題解決ができるか?
この物語は、問題解決思考とは?という壮大な思考実験なのかもしれない。それも、エリートが隙のない思考と行動でもって解決するというよりも、普通にグチったり泣いたりする人間がそれをしているというのが、読者にとっては魅力的に感じられる。(そもそも宇宙飛行士という存在が、訓練を積み、知識と技術を備えたすごいエリートであるということはおいておいて)
『ロビンソン・クルーソー』以来、取り残されて、ありもので何とかする物語は、好まれる型なのかもしれない。こういうものを語るためには、日記という形式であるというのも、ある種の型かもしれない。
色々考えたが、知識のデータベースがあるのもだいじ、それを使いこなす基礎的知識があるのもだいじ、アレンジ力もだいじ、しかし最終的には「落ち着け!」これだな、と思った。人間パニックになっているときにはろくなことを考えないので、いっそそんなときは寝てしまえ、ができることは重要。自分が「あ、今パニクってるな」と自覚して、余計なことをしない(そして必要なことはする)という自制心って、どれだけの人が持てるだろうか?
そう考えると、問題解決思考のステップ1は、自分が平常心を保つということかもしれない。たぶん良くなるだろうという思い込み、絶対悪くなるだろうという思い込み、そういうものから離れて、客観的な現状把握、分析や思考ができるか?
アンディ・ウィアー、今後の作品も読みたくなる一方で、ずっとこの作風でも大丈夫かな?とも思う。でも希望のある終わり方の物語なので、読み終わってもやもやしないのが、また魅力のひとつではある。