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映画『娘は戦場で生まれた』

シリア、アメリカ、イギリスで製作された2019年のドキュメンタリー映画。

アレッポに住むジャーナリスト志望の学生・アワドが2011年のアサド政権に抗議するデモ活動をスマートフォンで撮影をした事で始まる内戦の記録である。

この映画には実際の負傷者や死体が登場するシーンが多々ある。
しかし、それが日常の当たり前の風景だとグロテスクな恐怖心よりも、意外と淡々とした映像に見えた。
演出された映画では必要以上に負傷者や死体への恐怖心を煽るような描写しているように感じるが、実際には明日は我が身だと思うと生きる為には恐怖で身をフリーズしている場合ではないのだ。

常に身の危険を感じる中でも人には愛情が宿り、新たな命の誕生もある。もしかすると、平穏な生活よりも人との繋がりに感謝して、深く愛を感じ取れるのかもしれない。勿論、その逆もしかりだろう。

私は自分が戦争や内戦の当事者になった経験がないので、全てはメディアによる憶測でしかない。
それでも世界で何が起きているかをシェアしてくれる人達によって私達も世界の問題を考え、行動を起こすキッカケになる。兎に角、知る事によって私達の糧にもなるのだ。

戦争の悲惨さとは国家や戦闘内容等のマクロな視点よりも、個人的で感情的な問題をミクロな視点で描かれた方が自分のメンタルや人生に落とし込んで共感するので、何故戦争はいけないのか?と言う答えが明確になる。

数ある戦争映画の中では地味な演出かもしれないが、現実とは飾り気がなく淡々と過ぎてゆくが故の残酷さのリアリティを感じ取れた。

じっくりと味わって観て欲しい映画だった。

映画「娘は戦場で生まれた」公式サイト

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