nana

映画、文学、音楽、アート、ファッション、アンダーグラウンドカルチャー等。 全ての事を心赴くままに。好きなことを好きな分だけ。

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    非英語圏の映画が好み。フランス、ロシア、チェコ、北欧、中欧、東欧、中東、時々南米。

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映画『アノニマス・アニマルズ 動物の惑星』

久しぶりに好きなテイストの映画を観たのでこの場(note)に紹介してみようと思う。 2020年のフランス映画。 某猿の惑星と近いテーマではあるものの全く違う切り口の世界観である。 人間に扱われている動物の視点で、動物が人間を扱っている世界を描き出している。 鳴き声はあるものの全く台詞(人間の言語)がないので、常に前頭葉フル活用して空気を読み続ける必要がある。 台詞がない事で多く人から共感を得られるだろうし、純粋に自分の思考だけで世界観を判断出来るのも面白い。 そして、ヨー

    • パトリック・ジュースキント著『香水 ある人殺しの物語』

      1985年にドイツで発行された小説。日本では2003年に発刊され、2007年に映画も公開されている名作。 18世紀のフランスを舞台に、超人的な嗅覚を持って生まれた孤児ジャン・バチスト・グルヌイユの生涯を描いている。 この物語の主人公は劣悪な環境での生まれ育ちと、持って生まれた偏執的な性格傾向、異常なまでの嗅覚が全て揃った事で殺人犯にまでなってしまったのだろう。 この物語のほとんどは優れた嗅覚を持つ偏屈な青年が調香師として完成させるまでの長い期間を描いている。 ゆるやかに

      • パウロ・コエーリョ 著『アルケミスト 夢を旅した少年』

        1988年にブラジルで出版。 物語としては、アンダルシアの平原で旅をして暮らす羊飼いの少年サンチャゴは夢で見たエジプトのピラミッドに向けて旅立つ。その旅の中で様々な人達に出会い、心の成長を遂げる姿を描いている。 スピリチュアルにおいての心の持ち方を1人の少年の描写を通して描かれている。 スピリチュアルは神秘的なものではあるけれど、神とか霊等とは別物であって、心の在り方であるスピリチュアルではない。 身構えることなく童話を読むような気持ちでこの作品を読み進めて、ただ純粋

        • 山田詠美 著 『4U』

          1997年に発行された日本の短編小説集。 かつて山田詠美の小説にハマっていた時期があってたくさん読んでい。久しぶりにこの世界観を味わってみたいと思い手を伸ばしてみた。 感覚的に描かれた文章は直感的にスッとイメージが染み込んでくる。容易に登場人物の心理が入ってくる。 とても分かり易くて良い文章と世界観だと思う。 ただ90年代に執筆された小説だけに今とは違う価値観があるのも確か。特に社会的な情景描写や常識的な心理描写。 そして、いつの時代も恋と愛の間を揺れ動く人間の心理は変

        • 映画『アノニマス・アニマルズ 動物の惑星』

        • パトリック・ジュースキント著『香水 ある人殺しの物語』

        • パウロ・コエーリョ 著『アルケミスト 夢を旅した少年』

        • 山田詠美 著 『4U』

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        記事

          映画『水を抱く女』

          2020年のドイツ・フランス合作の恋愛映画。 水を司る精霊ウンディーネの神話をモチーフにして現代ドイツを舞台に描かれた恋愛ファンタジーである。 ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ。恋人のヨハネスが別の女性に心移りし、悲嘆にくれていたウンディーネの前に、愛情深い潜水作業員のクリストフが現れる。数奇な運命に導かれるように、惹かれ合うふたりだったが…。 水の精霊の神話についての知識なく、この映画を観たが、恋愛ドラマとして問題なく楽しめる。 ヨーロッパ映画にありがち

          映画『水を抱く女』

          映画『ロード・オブ・カオス』

          2018年制作のイギリス・スウェーデン・ノルウェーの映画。 ノルウェーで1980年台に活動していたブラックメタルバンド「メイヘム(Mayhem)」の悪魔崇拝を元にした過激な活動やバンドメンバーでの凄惨な内ゲバが描かれている。全て嘘のような本当の話、故に面白い。 正直、この映画の冒頭からかなり笑った。 恐らく私の笑点のズレもあるだろうが、過激で悪魔的な事を本気でカッコいいと言い出す彼等は半分本気で半分ネタのように見えた。 だから面白いし、笑えたのだ。 悪魔崇拝とか教会放

          映画『ロード・オブ・カオス』

          映画『LAMB』

          2021年のアイスランド・スウェーデン・ポーランド合作の映画。 ある日、アイスランドで暮らす羊飼いの夫婦が羊の出産に立ち会うと、羊ではない“何か”の誕生を目撃する。2人はその存在をアダと名付け育て始める。 北欧の映画らしく登場人物も少なく、控えめな心理描写で静かにストーリーが展開してゆく。 台詞も少なく、目線や表情で何が起こっているのか想像させる演出も自然な不気味さを感じ取れて、想像力をかき立てられる。 人と動物の境い目、人間のエゴ、家族の問題。 人ならざる者の不気味さ

          映画『LAMB』

          ドラマ『デビルズ・アワー ~3時33分~』

          2022年10月28日よりPrime Videoで独占配信された最新の連続ドラマ。 毎晩、午前3時33分ちょうどに恐ろしいビジョンで目を覚ます女性ルーシーの恐怖を描いたドラマ。 冒頭は刑事ドラマを軸としてそこに少しだけスピリチュアル要素が加わるのかと思っていましたが、アッサリと裏切られる。 ネタバレに近いかもしれないが、後半はバタフライエフェクトみたいなパラレルの話になっていく。 それでも全体的な流れに現実感があるところが個人的にはとても良い。 最近は世の中にスピリチ

          ドラマ『デビルズ・アワー ~3時33分~』

          ボフミル・フラバル著『わたしは英国王に給仕した』

          初版は1971年に共産主義国のチェコスロバキア(当時)で発行された小説。 日本では2010年に同タイトルで池澤夏樹「個人編集 世界文学全集Ⅲ-01」で刊行され、2019年に文庫化されている。 舞台は20世紀初頭頃のチェコで百万長者を目指してホテル給仕見習いとなったチェコ人の青年・ジーチェの数奇な人生が描かれている。 この時代を描いた映画や文学には必ずナチスの影響があり、多くの人達の人生が翻弄されるている。ヨーロッパにはそれくらい脅威を与えた存在だったと毎回思い知らされる。

          ボフミル・フラバル著『わたしは英国王に給仕した』

          映画『娘は戦場で生まれた』

          シリア、アメリカ、イギリスで製作された2019年のドキュメンタリー映画。 アレッポに住むジャーナリスト志望の学生・アワドが2011年のアサド政権に抗議するデモ活動をスマートフォンで撮影をした事で始まる内戦の記録である。 この映画には実際の負傷者や死体が登場するシーンが多々ある。 しかし、それが日常の当たり前の風景だとグロテスクな恐怖心よりも、意外と淡々とした映像に見えた。 演出された映画では必要以上に負傷者や死体への恐怖心を煽るような描写しているように感じるが、実際には明

          映画『娘は戦場で生まれた』

          映画『プラットフォーム』

          2019年公開のスペイン映画。 くだらないホラー映画を観たいと思っていたのに、サムネイル画像の洗練されたデザインに惹かれて観る事にした。 結果、想像超える秀作だった。 部屋の真ん中に穴があいた階層が遥か下の方にまで伸びる塔のような建物の中、上の階層から順に食事が"プラットフォーム"と呼ばれる巨大な台座に乗って運ばれてくる。上からの残飯だが、ここでの食事はそこから摂るしかない。 主人公の男性はある日突然この建物の48階層で目覚めるところからストーリーは始まる。 一見ホラー

          映画『プラットフォーム』

          映画『ムーンライト』

          2017年のアメリカ映画。 アカデミー賞を受賞して話題に上ったこともあるようだが、実際にこの映画を観たら納得できる。 ただの『LBGT』を描いただけでもないし、ただの『ブラックムービー』ではない。それぞれの心の中にある弱い部分、曖昧な部分に響くようなヒューマンドラマである。 恐らく90年代のアメリカ・マイアミの低所得者住宅に薬物中毒の母親と暮らす少年・シャイロン。子供の頃から弱弱しいと言われ虐められるが、ドラッグディーラーのフアンと出会い父親のような愛情を注がれたり、幼馴

          映画『ムーンライト』

          映画『mid90s』

          2020年のアメリカ映画。 90年代のロサンゼルス。母親と家庭内暴力を振るう兄と暮らす13歳の少年のストリートを舞台にした青春を描いている。 90年代カルチャーを比較的リアルに表現されていると思う。BGMもファンクやソウルを元ネタにしたHIPHOPが流れていたり、友人宅でのハウスパーティーとか当時のライフスタイルが描き出されていて、登場人物と同じ気持ちを共感できる。 確かに当時、いや、今でも形は違えど、青春の1ページとして良くある話かもしれない。 しかし、似たようなケー

          映画『mid90s』

          映画『THE GUILTY』

          2018年デンマーク映画。 兎に角、この映画はすごいと思った。 地味に見えるほど無駄を省いた演出だからこそ、人間の心情が伝わってくる。 警察官であるアスガー・ホルムはある事件から現場から離れ、緊急通報司令室のオペレーターとして勤務していた。 ある女性から誘拐されそうになっているという通報を受ける。電話越しに聴こえる車の発信音、切羽詰まった女性の声、子供の声…、目に見えない情報を頼りに事件の解決をしてゆく。その中で彼の心にも変化が訪れる…。 この映画の登場人物はほぼ1人な

          映画『THE GUILTY』

          ドラマ『THEM』

          2021年のAmazon Originalのアメリカドラマ。1950年代のアメリカを舞台にしたある黒人一家が人種差別と心霊現象に苛まれる姿を描いている。 まず単刀直入に言うと酷いドラマです。 何処にも救いがありません。 ドラマの演出や映像の質が高いが故に当時の奴隷制度の中での黒人への酷い仕打ちなどがありありと表現されていて、追い詰められた救いのない環境の恐怖をありありと実感させられる。 "普通"とされる人間の集団心理(人種差別)が一番恐ろしいと思った。 ただでさえ苦しい状

          ドラマ『THEM』

          映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』

          2017年のイギリス・アイルランドの映画。 『籠の中の乙女』や『ロブスター』を監督したヨルゴス・ランティモスの作品の割にはファンタジー感は少ない。 しかし、現実的な設定、描写であるが故に忍び寄る恐怖と狂気を感じざる得ない。 比較的有名な映画なので、主なストーリーの流れは検索したらすぐに上がってくるだろうから割愛する。 催眠的な心理的要素と呪術的なオカルト要素が存分に描写されているように感じられる。 医療ミスで父を失った少年マーティンが心臓外科医スティーブンに同情を引いて

          映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』