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暗黒労働おとぎ話 『うさぎサラリーマンと、かめサラリーマン』

むかし あるところに 会計ソフトの会社に勤める うさぎのサラリーマンと、カメのサラリーマンがいました。
2人(匹?)は、大学の同期でした。

うさぎの会社は東証プライム市場上場企業でした。カメの会社はポッと出たてのベンチャー企業でした。

同窓会で鉢合わせた彼ら。
「うちの会社は東証プライム上場企業なんだぜ」と、うさぎは自慢しました。

カメも負けじと言いました。
「ぼくらだって負けないさ!」

「それなら、どっちの会計ソフトが業界シェアNo.1になるか勝負しよう。」
うさぎは言いました。
「今から、ヨーイドンッだ! 7年後が楽しみだな」

こうして、うさぎとカメの長い競争が始まりました。



税理士事務所の得意先をたくさん抱えているうさぎは、全く焦りませんでした。

仕事中でも、大きな声でキャバクラの話をしていたり、同僚と雑談する目的で、しょっちゅう無意味な会議を開いたり、休み時間も暇さえあればスマホでゲームをしたり、女性社員の横で、これみよがしにグラビア雑誌を眺めてニヤニヤしたり、仕事が終われば毎晩毎晩飲み歩き、翌日はたいてい二日酔いという日々を過ごしておりました。

そのころ、カメは優れた経営戦略に沿って、KPI(目標値、重要業績評価指標)を着実に達成していきました。
仕事の無駄をなくし、無意味な会議はやめました。常日頃から日経よく読み、ネットで欠かさず情報収集。仕事が終わった後は人脈を作るための集まりに参加していました。


あっという間に6年が経って、いよいよ最後の1年です。赤字で給料をカットされたうさぎは「しまった!」と、焦りました。

うさぎはカメの背中を追いかけます。
「新米のベンチャー企業なんかに負けてたまるか!」

「ぼくらは時代の流れにのったのさ。うさぎさんには負けないよ!」と、カメは目をキラキラさせて言いました。


7年後に会計ソフトで業界シェアNo.1になったのは、カメの勤めるベンチャー企業のほうでした。


うさぎは、ビジネスの世界の厳しさを痛感しましたが、前時代的な体質から抜けきれず、完全に手遅れになりましたとさ。



おしまい。


※今回も半分実話に基づいた暗黒おとぎ話でした

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