子供がお財布からお金を抜いた・・・そこから感じとる愛と感謝
本日は・・・
わたしが4人目の子供を産んだ日です。
8年前の今頃のわたしは、段々とお腹が痛くなって、数時間後には3500グラム越えの元気な男の子を生むはずです。
そのあと・・・
わたしはとんでもない出血に見舞われ、気を失い、死後の世界らしきものを見ます。
その世界はとてつもなく気持ちのいい世界でした。体は浮いていて、好きな音楽が流れていて、温かく、痛みも重力もない、心地のいい世界でした。
ですが、わたしは死にかけていました。
この世界に戻ったとき、絶望したのをよく覚えています。痛み、重力、寒さ、考えをやめない脳、全てがわたしに重くのしかかり、苦しめているように感じていました。
そんな産後を越え現在。
わたしの8歳になる息子は、わたしのお財布からお金を抜いていました。
(現在は、夫、わたし、長男、次男、長女の5人で暮らしています)
最初は些細な違和感です。
税金を払うために多めに引き出したはずのお金がない・・・
小学校に払うお金のために崩した1000円札が少ない・・・
お賽銭のために崩した小銭が少ない・・・
何となく感じる違和感。ですが、普段はほとんど現金を使わない生活をしているため、いざ!というときにないのです。
お金を使う瞬間というのは、何となく、緊張と興奮を感じているため、
あれ???
と思いつつ、その場のお金を払うのに気を取られているためこの違和感をスルーしてしまっていました。
この違和感が段々と恐怖に変わります。
お金がない!という感覚があるからでしょう。
まさか盗まれるとは思っていないので、自分が使いすぎていると錯覚したわたしは、節約モードに入ります。
そんな違和感と恐怖の日々の中
夫が病院にかかることがあり、お金をちょうだいと言われたのです。
しばらくお財布を開けていなかったのですが、開けた瞬間、違和感は疑惑へと変わります。
あるはずのお金がない。
はっきりそう思ったのです。
夫にわたしもお金がないというと、夫がよく分からないという顔をします。
お財布に入っていたのはたった1万2千円。
わたしは普段から2万円以上入れていないと不安なので、その金額をキープできるようにしています。そのうえ、現金は使わない主義。
だからと言って、夫にお金を渡してあげないわけにはいかないので、1万円を手渡したのです。
その後、夫はお釣りと言って
新5千円と旧千円を2枚手渡してきました。
そのお金をお財布に入れて、わたしのお財布には
9千円が残りました。
そして、その二日後
息子の誕生日の前日。
三連休の最終休日だったので、ゆっくりお誕生日をお祝いしようと、みんなでケーキを食べ、誕生日の息子のリクエストで焼き肉を食べに行くことにしました。
出かける前にわたしは、お財布を開きました。
そこには3千円しか入っていなかったのです。
夫から渡してもらったはずの新5千円がいません。
お金が無くなってる!!!
わたしの大きな声に出かけようとしていた家族の動きが止まります。
夫と、つい先日お金のやり取りをしたことを話し、その時のお金がないという事実を確認します。この二日、休日でずっと家にいたこと、お金を使っていないこと、夫もわたしも簡単に確認できることでした。
とはいえ、予約した焼き肉屋の時間は迫っています。家にお金がありません。そんなわけありませんが、本当に夫のお金もわたしのお金もないのです。
インターネットで調べると、クレジット決済ができるようなので、ひとまず出かけることに。
夫と車の中で話し合っているのを後ろの席で子供たちが聞いています。
わたしは、最近感じていた違和感の話をして、ここ二日お金を使っていないので、5千円は本当に消えてしまったという話をしていました。
10歳の息子は心配そうに、うなっています。
5歳の娘は黙って聞いています。
7歳の息子は窓の外を見ています。
わたしたち夫婦は、状況から
この3人の誰かがお金を盗ったんだろう・・・さて、誰だろう。
こんな嫌な思考を隠しながら
「あなたたちは知らない?」
「もし持っていたら、こっそりお母さんに返して」
と言ったり・・・
本当のことを言ってくれるのを待ちました。
そんな重苦しい空気の中、焼き肉屋に到着しました。
わたしの知り合いが働いているその焼き肉屋は歓迎ムードで、奥の席に案内され、やっとお誕生日らしい雰囲気を取り戻し、食事が進みます。
知り合いの計らいで、アイスがサービスされ、子供たちは大喜びです。
そして、お会計の時。
なんと、クレジットカードが使えないということが判明します。
現金は夫とわたしのお財布を合わせて、4千円。
4千円では5人家族の焼き肉のお会計は無理です・・・・・。
顔面蒼白になっていると、知り合いが現れて、快く立て替えてくれたのです。
知り合いに救われた・・・
けれども、お会計ができない状態なのは、本当に恥ずかしいことです。
顔から火が出そうな状態で、帰路につきます。
その車内でも、お金の話です。なんとも言えない空気感でした。
帰宅後
息子たちがお風呂に入っている時
夫が、
「ランドセルの中に隠しているのだろうか・・・?」
と夫婦が言いたくても言えなかった言葉を言います。
家の中の誰かが盗っているで間違いはない状態でしたから、当然ですが、わたしの心が全力でその事実を拒否しているのが分かります。
愛する子が自分のお財布からお金を盗っているなんて、考えたくありません。
ですが、このままにしておくわけにはいかないでしょう。
そこで、子供部屋を探してみることにしたのです。
一通り探してもお金はありませんでした。
ランドセルの中、引き出しの中、一つずつ確認しましたが、見つけることができませんでした。
すると、5歳の娘が、
「S君がお金を持っているよ」
というのです。
「どこにあるの?」
と聞くと、ベッドの枕の下だよと・・・
実際に枕の下から封筒とお財布が出てきました。
封筒は持っただけで、相当な金額が入っているのが分かるくらい分厚く、お財布はかなり重みがあり、小銭も大量に入っているのが分かります。
夫と目を合わせ、わたしは悲鳴なような声を上げてしまいます。
「嘘でしょう・・・」
まだ8歳です。
お金を使う機会もほとんどありません。
そんな子供がこんな大金を集めて、どんなつもりなんだろう。
忙しい脳が色々な思考を寄こしてきます。
何よりも、この事実を息子に突きつけなければいけません。
お金は数えると
8万5千円ほどありました。
そりゃ、不安になるわ・・・血の気が引いて、こんな金額を失っても違和感程度でいられた自分に呆れます。
家計からこの金額が消えれば、誰だって不安になるでしょう。
お風呂から出てきた息子に封筒とお財布を見せて、
「これは何?」と聞きました。
すると・・・
本当に分からないという表情で
「なぁに?それ?」
というのです。
わたしの中で、ぶわっと怒りが湧いてくるのが分かります。
「このお金どうしたの?」
そう聞いても知らないというのです。
すごい演技力?本当に知らないの?どういうこと?
頭が混乱します。ですが、息子のベッドの枕の下にあったこと、お金が無くなった事実を話して、あなたが盗ったことは分かっていると話をすると、やっと観念した様子で、自分が盗ったと認めたのです。
わたしは驚きを隠せません。もし自分だったら・・・。嘘をつくという状況に耐えきれなくなって、泣きながら謝るという選択をすると思ったからです。謝ったほうが楽。人生経験からそう学んでいるからかもしれません。
悲しいやら、悔しいやら、怒りやら、困惑やら
色んな感情が混ざって、混乱しています。
思わず、
「なんで嘘をつくのー!!!」
と大きな声を出しました。自分でも顔がゆがみ、ひどい顔をしているのが分かります。
自分が何を求めているのか、もはや分かりませんでした。
泣いて謝ってもすぐに許してはいけないような気もしていました。
正当な理由を引き出して、自分を納得させることも違うと思います。
この状態はどうすれば解決するのか・・・自分の中にないままに息子と話していることで、不安で不安でたまらない自分がいました。
息子の話によると
お母さんがお金持ちだと思って、うらやましかったこと。
お金が欲しかったこと。
学校の購買で必要なものを買ったこと。
(購買で1000円札を使い、500円以上のお釣りをもらい、そのお釣りを兄にあげていたことも判明。長男から返してもらえました)
家族が寝静まった夜中にお財布から抜いていたこと。
1か月前からやっていること。
が語られ、購買や兄以外にはお金が流れていないことが分かりました。
感情的なわたしに対して夫は冷静でした。そんな夫に最初こそ腹が立ちましたが、感情と解決法共に迷子になっている自分を自覚していたので、夫に任せることにしました。話をしていて、謝るということがありませんでしたが、夫に促されて謝ってくれました。ですが、わたしの答えは
「許せません」
でした。8歳の息子にとって、とてもショックな言葉だったと思います。ですが、息子がやったことは犯罪です。それを簡単に許してしまうのが怖かったのです。謝れば許されると思われるのが怖かったのです。息子が悪に染まる気がして本当に怖い。その感情に支配されてしまいました。
夫がしっかりと話をしてくれて、人のものを盗って自分のものにしても本当に自分のものにはならないこと。人を傷つける行為であること。犯罪であること。お金が欲しかったら、年齢に関係なく稼ぐことができることなどが語られました。時に涙を流しながら、しょんぼりして聞いていた息子が、どのように感じているかはわかりませんが、親としてできる話はしてくれたのではないかと思っています。
1年前には長男の永久歯が抜ける事件があり、これは次男が原因で起きたことです。
この時も、自分から自分が原因であることを話すこともなく、遊具に上っている長男のズボンを下ろそうとしたという、やってはいけないことをやったこと。なかなか謝ろうとしなかったことなど、次男のいわゆる人間性が疑われるようなことがありました。
幸い、長男の対応、学校の対応、かかりつけ歯医者の対応がよかったため、永久歯が戻りましたが、結果によっては、長男の一生に傷をつけるような事件が起きたのです。
その時も、色々な話をして、自分の行動で人の一生を傷つけることもあることを話していました。先のことを考えて行動してほしいと折に触れて話をしてきたつもりでした。それなのに・・・・。なぜ。
とてもショックな出来事でした。
お金が戻ってきたのは良かったですが、こんなにお金が無くなっても分からないもんなんだと思うと、自分の平和ボケ具合に呆れます。
子供たちを寝かせ、わたしは神棚の前に行きました。
そして、静かに祈りました。
すると
こんな感情、知らなかった・・・・と思ったのです。
信頼する息子、愛する息子、良い状態でいてほしい息子、真っ直ぐに育ってほしい息子、かわいい、でも、憎たらしく、思い通りにならない息子。まだ小さい息子。
その子に自分が必死で働いたお金を盗られて、不安に陥れられて、会計ができないという恥をかかされて、混乱して、息子の将来が不安になって、信じられなくて、でも信じたくて、きっと純粋にお金が欲しかっただけで、お金に興味がわいただけ。わたしの子は悪い子じゃない!
こんな複雑な感情。知りませんでした。
これは、わたしの息子でないと体験できない感情です。
次男は4番目の子供で、占い的には合わない気質で、今の家族では3人兄妹の真ん中で、いつも何かと戦っている男児で、兄妹の中で一番大きくて、出産も一番痛くて、産んだ後死にかけて、突拍子もないことをして兄に怪我をさせたり、妹に怪我をさせたり。庭から裏の川にありとあらゆるものを投げ込込んだり・・・わたしの想像の斜め上の悪さをして、いつも怒られて、理解しようとしてもできない。困った子。
でも、
大変な出産エピソードも
合わない子供との付き合い方も
真ん中っ子の取り扱いも
男児の取り扱いも(長男は中性的)
ちょっと体験した死後の世界っぽいところも
お金を盗られた気持ちも
ぜーんぶ、この子からしかもらえない体験で、感情で、いつも鑑定の役に立っています。仕事をする上で、自分が体験したことは一番の説得力を持ち、自分の血肉として生きています。
そうだとしたら、つらい役目をやらせてしまっています。わたしの体験のために次男は怒られ続けているのかと思うと、涙が出てきます。
ありがとう・・・・ありがとう・・・愛してるよ。
そう呟いていました。
もし・・・・
自分のお子さんで悩んでいる方がいたら、こんな風に考えてみてください。自分の子供だからこそ、特別な感情を知ることができるのです。傷つくこともあるし、理解できなこともあると思います。だからこそ、深く刻まれる感情があります。これは、他人では湧きえない感情です。そして、それは生まれる前に感じたいと思っていた感情です。やっと欲しかった感情を手に入れることができた。この人生で大きなミッションを達成したと。
きっとこれからもわたしは、子供たちとの関係で色んな感情を感じることができるのでしょう。離れている子供たちから学ぶこともたくさんあります。行き場をなくした愛、自分が犯した罪の大きさ、いつかこの課題と向き合うことを楽しみにしています。感じたことのない感情は、自分以外の存在からしか得られません。悲しみや怒りやうらみや・・・気持ちのいい感情ではなくても人生のミッションですから。
今日は4番目に産んだ子供の8回目の誕生日。
感謝と愛を伝えようと思います。