ほんとは消えてなくなりたい妻
うっすらとした慢性的な気分の落ち込み、虚しさ、希死念慮。これらが何かのきっかけで強くなることがある。
人生の疲れだ。あまりにも、家庭のことと仕事のことに、頑張りすぎてきた。
その疲れが出た。
妻のため、子供たちのため、顧客のため、社会のため、郷土のため。
昔、妻に
「会社を経営していくのがしんどい」
ともらしたことがあった。
妻は激怒した。
抗不安薬を飲んだにも関わらず、夜明けに目が覚めて鬱状態が昂り、別の部屋で寝ている妻に
「たすけて」
とLINEしてしまった。
手を握って欲しかった。
翌朝、妻はLINEのことに触れない。
俺と目をあわさないように、逃げている。
そしてその夜、妻はこう言った。
「私は自分が生きるのが精一杯。ほんとは消えてなくなってしまいたい。いつも消えてしまいたい。私は、子供たちのためだけに生きている。ほんとは消えてなくなってしまいたいけど、子供たちが悲しむから、だからほんとは生きていたくないけど、子供たちのためだけに生きている。
だからあなたに助けを求められては、かなわない。あなたには今まで、私の気持ちをたくさん聞いてもらった。それは悪かったと思う。だからと言って、私はあなたのことまで考えられない。あなたの気持ちをきくことはできない。辛いんだったら、飲みに行くなり、薬を飲むなり、自分でどうにかして。私は自分が生きるので精一杯」
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