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未来世界の奴隷たち/人と違う使い捨ての労働力

人類は肉体労働から開放された。

が、それは機械やいわゆるロボットのおかげではなかった。
肉体労働からの開放は機械工学分野ではなく生物工学ーーバイオテクノロジー分野が大きく寄与した。

「ありがたいな。彼らがいてくれるおかげで人間は苦しい労働をしなくてすむ」
「おいおい、”彼ら”なんて呼ぶなよ。そうよんじゃいけないって決まりだろ」
「ああ、そうだったな」

彼らーーそう読んでしまったのはいわゆる「労働生物」だ。
彼ら、と読んでしまうほどに人間に似たような二足歩行の生物だ。
簡単な言語やり取りも可能で、こちらの指示通りに動いてくれる。

難しい指示や労働は埋め込まれた生体CPUが制御して行わせることができる。

生物ゆえに寿命はある。
しかし金属機械も摩耗し、部品交換が必要だ。
食料もいる。
しかし、機械も電気を食う。

なにより人間と似た形態のため、人間ができることは代替可能であり、新たな設備投資も不要だ。

専用の機械を作ったほうが効率がいいことも当然あるが、そこまでコストをかけたくない場合には非常に小回りの聞く便利な道具なのだ。

一昔前に馬や牛などの動物を生活に利用していたのと考え方は同じだ。人間はより便利な動物を作り出したというわけだ。

技術発展さまさまというわけだ

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「しかし、うまく普及しましたね」
 便利な労働生物を”製造”しているラインを見ながら男はいった。

「ああ。人間は肌に色が違う、話す言葉が違う、そんなことで自分たちとは違うと簡単に思い込む」

 もう一人の男が返す。

「少し外見をいじくり、言葉を通じさせなくすればもう自分とは同じ――人間だとは思いもしない」

「なるほど」
「結局、人々は罪悪感を抱かないで使える奴隷が欲しかったんだ」
「その需要に当てはまった、と」

「ああ。それだけのことさ」

「あの奴隷――労働生物が遺伝子上、人間だと知ったら、どう思いますかね」
「簡単さ」

「別の奴隷を作るだろうさ」




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