ななしの23区外@ざらりとした話

サラッと読めて、ザラリと終わる後味の1分間ショートショート。 1話完結。気になるタイトルをサクッと読んでみてください。 フォロー・コメント・スキ・シェアしてもらえると嬉しいです。

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最近の記事

パパ活ハラスメント/カラダで稼ぐのなんてカンタンなんでしょう?

「オンナはいいよな」  それがカレシの口癖だった。  疲れて返ってくるとそう口走り、愚痴りだす。 「エンコーやらパパ活やら呼び方はいろいろだけど、結局さ。若い女はそれだけでカンタンにカネを稼げるわけ」    ぐだぐだと愚痴り続ける。  稼ぐことがしんどいだの、オンナはラクだの。  昔はそうじゃなかった。  けど働き出して。いわゆるブラック企業に勤めだして、ダメになっていった。  薄給で酷使され、心が荒んでいったのかもしれない。  自分にお金がないことを正当化するためにか

    • 未来世界の奴隷たち/人と違う使い捨ての労働力

      人類は肉体労働から開放された。 が、それは機械やいわゆるロボットのおかげではなかった。 肉体労働からの開放は機械工学分野ではなく生物工学ーーバイオテクノロジー分野が大きく寄与した。 「ありがたいな。彼らがいてくれるおかげで人間は苦しい労働をしなくてすむ」 「おいおい、”彼ら”なんて呼ぶなよ。そうよんじゃいけないって決まりだろ」 「ああ、そうだったな」 彼らーーそう読んでしまったのはいわゆる「労働生物」だ。 彼ら、と読んでしまうほどに人間に似たような二足歩行の生物だ。 簡

      • サスティナブル至上主義 / 最先端技術とエコロジーマジック

        「プラスチックはいかん! プラスチックはいかん!!」 「そんなにプラスチックはいかんとですか?」 「うむ、そのとおりだ。これからは脱プラスチックだ」 「うーむ、困ったな」 「どうしました?」 「社長がプラスチックを使わないエコロジーな素材を使えというんだよ」 「それは困りましたね。なんとかならないんですか?」 「とりあえずプラスチックを使わない、エコな素材を売り出したいらしい」 「なるほど」 ・・・・ ・・ ・ 「というわけで、脱プラスチックの新素材を開発しまし

        • いまどきな復讐方法/安易なアナタは人殺しなんですよ?-ー呪いが人を殺す時

          「え……? 彼女、亡くなったんですか?」 「ああ、そうみたいだよ」  共通の知人からそう聞いた。 「病気…だったんですか?」 「いや、理由とかはわからない。俺もまた聞きみたいなもんだからさ。なんか彼女のSNSアカウントに母親が上げていたらしい」 「そうですか…」  知人がなくなれば多少なりとも気落ちする。  しかもそれが元恋人だったなら。  趣味のSNSで知り合った恋人だった。  とはいえ、俺にとっては正直遊びだった。  容姿が気に入って付き合ったが、軽く遊んで捨てた

          コスト削減の行き着く先/最適化による最大多数の最少幸福

          「うーむ、なぜ売れないんだろう?」 「どうしましたか? 社長さん」 「いやね、いままでこれで売れていたんですが、売れなくなってしまったんですよ?」 「おやおや」 「いままでとなにも変えていないんですがねぇ」 「それはいままでとなにも変えていないからですよ」 「え? ダメなんですか?」 「だめだめですよ。いまはどこもコスト圧縮に値下げ競争! いままでと同じでは売れませんよ!」 「そうなんですか! ではこれは・・・」 「ああ、この値段ではダメですよ。いまはその半額

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          組織を壊すのに戦略は要らない/無能な人が組織を壊す

          「いや、君には期待しているよ」 「は…はい!」  俺にもようやくチャンスが回ってきた。  三流大学出、三流会社に就職してうだつの上がらない生活をしてきた。  が、神は俺を見捨てなかった。    いや、有能な俺は場所させあれば活躍できたんだ。  学生のころから人とは違っていた。    人が気にしないことに気づき、穿った見方ができた。  それゆえに人と意見が合わなかったり、疎んじがられたりした。  成績は悪かったが頭がいいというやつだろうか?    が、社会に出たらそんなものは

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          無色透明なコーヒーと黒いマーケティング/ 人は情報を食べ、トレンドを呑んでいる

          「なんだこの真っ黒な液体は!!」 「こちらはコーヒーでございます」 「これがコーヒーだと? 馬鹿にしているのか!」 「いえ、お客様。馬鹿になどしておりません」 「コーヒーといえば、無色透明と決まっているだろう!? こんな真っ黒な液体をコーヒーなどとよく言えたものだ」 「いえ、お客様……--」 「まったく、なんて店だ!」 「やれやれ、またか」 「なんだ、またジャパニーズか?」 「ああ、その通りさ。コーヒーを頼むといつもこれだ」 「まったくさ。こっちはちゃんとコーヒーを出し

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          好き好き大好き超愛されてる / ラブコメな日常

          「まいったな⋯⋯」  この前まで平凡な日常を過ごしていたのに、なぜか急に俺の生活圏内に女子率が高くなった。  どこのラノベやラブコメ漫画だと、というような状況だ。  幼馴染のA。親に言われたとかで俺の面倒を甲斐甲斐しく見てくる。  別クラスの風紀委員B。教室が別なのになぜかやたらと絡んでくる。  上級生のC。  新任教師のD⋯⋯  なぜかやたらと好意的に接してこられて⋯いや、俺の勘違いや妄想かもしれないが⋯とはいってもなんでこんな事になったのか。  俺は正直、女性が

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          ほんとうのしあわせ ー巨額の富を得た後の話

          金で幸せを買うことはできない。 金持ちしかいうことができないことだ。そして自分にはその資格があった。 才覚のあった自分は巨万の富を得た。もはや、金がカネを呼んでくる。 少し前までは仕事として思考や判断をすることが多少なりともあったが、ある一定の財を成した後はもはや才覚も熱意も、そして運さえもいらない。 出目の操れるサイコロで、ゲームをやっても面白くない。 そして、そうなってしまっては何をやっても、どんなに贅を尽くそうが、満足できない。 また家族とも疎遠となり、友人と呼

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          義母へのやさしい復讐/美味しい料理の秘密

          「お義母さん、しっかり食べてくださいね」 「ありがとう、〇〇さん」  そういって今日も料理を料理を運ぶ。  寝たきりになった義母。  以前の威張りようはなりをひそめ、嫁に感謝すら抱いているようだ。 「すまないな。母親がこんなことになって」 「いいのよ。それに私、食事を作るのは好きだし」  そういったのは嘘ではない。  元々料理は好きだった。以前はその料理も義母には事あるごとに悪態をつかれ、凝った料理を作れば無駄だと怒鳴られた。  しかし最近はめっきり、静かになり美味し

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          世にも奇妙な伝言ゲーム/デスマーチが生まれる邂逅

          「これ、できますか?」 そういって、営業の男が紙切れを持ってきた。開発者の男が紙切れを見る。 「うーん、これは難しいなぁ」 「そうなのかい?」 「ああ。完全に無理、というわけではないけれどもね」 「どう難しいんだい?」 「まずは納期。この納期では無理だなぁ。これを実現するためにはウチで技術検証をするだけでも納期分かかる。なのでやるとすれば最低限、倍はかかるよ」 「人手を増やしても?」 「人手を増やしたとしてもすぐにできるもんじゃないから。ただ多少早めることはできる

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          人助けという蜜/人は信じたいものに縋る――底辺への就職支援

          「人一倍苦労している人ほど、がんばってくれます」  そういうとその母親は涙を流した。  戯言でも、信じたい人には心に刺さる言葉になる。  そういって無職ニートの青年を預かる。  母親から預かった一時金と生活費はすべて没収し、まずは肉体労働をさせる。  肉体労働の何がいいと言えば、単純に疲労困憊になるところだ。  やることは単純だ。  やれないことはない。ただ無い体力を摩耗させれば、人は簡単に思考できなくなる。  休憩時間は一分一秒でも休息に当てたくなる。  逃げ出すにも

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          再就職の結末/寝る食う生きるだけの難しさ

          「母さん、俺――なんとか頑張っているよ」 「そう。よかったわ」  何気ない会話だが、母はそれだけで十分に満足しているようだった。  息子が一人立ちして一年ほど。  たった一年だが、それでも十分だ。  親にとって子供はいつまでもたっても子供、とも言われるが、大人になれない子供はかわいそうだ。  そして現代において大人になる難易度は思った以上に高い。  息子は社会に出て挫折した。  新社会人になり、いわゆるブラック会社に就職し、身体を壊した。  そして実家に戻ってきて反ひき

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          ていねいな老後/やさしさと欺瞞の手招き

          「ねぇ。そろそろお義母さんのこと、考えたら?」 「うーん」 「この前、言ったときも足腰が弱ってきたといっていたし、一人だと暮らすのも大変そうよ」 「そうだな。そろそろ提案してもいいかもな」  夫婦で話し合い、週末に実家に訪れた。 「母さん、どうかな?」 「そうねぇ」 「親父も先にいっているし、一人だとなにかと大変じゃないか?」 「私は大丈夫よ」 「そうはいっても結構心配なんだよ。もういい年だしさ」 「心配してくれるの?」 「そりゃ一人息子だからさ。妻も心配していたよ」 「

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          完全犯罪の条件/愚かな高額バイトのツケ

          「おい、そろそろ罪を認めたらどうだ?」  そう刑事が問いかける。 「もう証拠も、全部わかっているんだ。いまのうちにあらいざらい喋ったほうが見のためだぞ」  俺は笑いを堪えるのに必死になった。  必死に警察たちが自白を促してくる。がそれはそれだけ自白が必要だってことだ。 「お前のスマホも押収して中身も解析済みだ」  はいはい。スマホを解析w ご苦労さまです。  なにもわかっていない。  この刑事も周りの警察官も全然わかっていない。    俺は犯罪を犯した。  完璧に

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          死後の伝言 / もしこれを君が見ているということは

          これを君が見ているということはおそらく私は生きてはいないのだろう。 まさか自分がいわゆる不治の病になるだろうとは思っても見なかった。 しかも遺伝性のものだ。 すでに成人済みの身体はその時限爆弾を抱えた細胞で出来ている。 現代の医療ではどうしようもない。 しかし、一つ可能性が見えたんだ。 この遺伝性の疾患は、いまでは生前治療を行えるものだった。 生まれる前にその発症の元となる遺伝子を取り除く。そうすればその子供は少なくともその時限爆弾を抱えたままに生きることはない。

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