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AIによるウソを嘘と見抜けない場合

「いままでの常識が覆った! XXXの法則!」

 2割の商品から8割の利益がもたらされるというパレートの法則。

 それが常識だった時代にネット通販の中で売れない商品を無制限に置くことにより利益の最大化を図るロングテールの法則が見いだされた。

 いままでの「常識」が時代や技術革新により覆されることがある。
 そうでなければ人はいまでも原始時代とそう変わらない生活をしているだろう。

 そして、その常識や法則にもトレンドが存在する。
 とりあえず、○○の法則によると、とか言っておくとそれっぽく、時流を知っている感がみられる。

 それがいまではXXXというワケだ。
 使い勝手のいいこの「XXXの法則」はウケにウケた。

 いままでの常識に反していながらも、どこか説得力のある理屈。
 微妙に今どきのテクノロジーが関わっているのがさらによい。

 急速に変革する社会の中で、確実に成功が見込めることなどない。
 そのため、何かを提案する際には「もっともらしい」ことが重要なのだ。

 そして、それは大仰で「っぽい」モノほどにいい。
 とりあえず、なにかを絡めてXXXでいえば、といっておけば体裁が保てるのだから。

 結果、そのXXXの法則はーーXXXという名称はあらゆるビジネス現場、ニュースなどに登場した。

 コーポレートサイトには「XXXへの取り組み」というコンテンツが用意され、XXXにいかに重点的に取り組んでいるかが会社の株価にまで影響していた。

「なぁ、このXXXって言葉いつからあるんだ?」
「さぁ、データによると20xx年の×月に登場して、翌月から一気に検索ワード上位に登場しているな」
「一応、この本には出典として、××大学の▼▼研究所のレポートを元にしているってなっているな」
「ああ、おそらく初めてXXXがネットに登場した時も、その▼▼研究所のレポートを元にした結果からって展開になっているんだよな」
「それがどうしたんだ? そんな小さな研究所の埋もれていたデータだから信用できないってのか?」

「いや、そういうわけじゃない」

「まぁわかるよ。無限に情報があって増えていく中で、有益な情報を手繰り寄せるなんて至難の業だからな。
 いくら役に立つデータだとしても誰にも見られなければ意味がない。
 AIやら便利な機能が情報を取捨選択してくれなかったらこのXXXも有益なデータとしては見られ、」
「いや、そのレポートって中身ないんだよ」
「?」
「いや、データベースにタイトルとト書きの概要だけが書かれているだけなんだ」
「・・・・」
「どうやら適当に書き殴られた素人の論文もどきらしい。実証的なデータどころか文章すら怪しいぞ」
「・・・・・それはどういうことだ?」

「このXXXって本当にあるのか?」


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