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クラウド社長と紙ベース社長 ペーパーレス障害クライシス
げんだいげんだい、あるところに2人の社長がおりました。
「これからはクラウドだよ! クラウド!! なんでもクラウドだよ!」
ことあるごとにクラウドを推進するクラウド社長。それに対して、
「紙はぜったいになくならない!! 紙こそが正義!!」
紙に全幅の信頼をおく紙ベース社長。
クラウド社長は業務のアウトソースできる仕事をアウトソーシングし、クラウドサービスを活用し、ペーパーレスを推進していました。
「世の中がなんかやたらとごたついてるので、リモートワークや!!!」
クラウド社長の会社は身軽でした。
「世の中うるさいが、紙こそがリアル!!! リアルが最後は勝つ!!」
紙ベース社長はあくまで現物に拘りました。
「君の会社もそろそろクラウドサービスをつかってみたらどうかね?」
「そんなものは信用ならないよ」
「おいおい、いまのクラウドはそんなことないよ。ちゃんとしているぞ」
「しかし、何かがあったときにどうする?」
「そんななにもーーん?」
頑固な紙ベース社長に「やれやれ」と思っていたクラウド社長の携帯がなりました。
「なに!!! クラウドで障害だと!?」
なんとクラウドサービスに障害が起きたそうです。冗長化しているはずのシステムも起動せず、仕事が中断しているそうです。
「まいったなぁ、どうしようもない」
「はっはっは、クラウドは大丈夫じゃなかったのか?」
困り顔のクラウド社長に紙ベース社長は言いました。
「なにごとも信じきっちゃいかんのだよ。サービスも障害がおきるし、機械も電気がなくちゃ動かん。動かないと使えない。それに対して、現物は強い。君のところのように、サービスが止まっても、なんとかウチはやっていけるーーん?」
勝ち誇る紙ベース社長。そんな社長のもとに、ダッシュで駆け寄ってくる人がいました。
「しゃ、しゃちょう!!!!」
「なんだ、どうしたんだ。そんなに慌てて、なにが」
そして、男は言いました。
「会社が爆発しました!」
「なにぃ!!!!!」
紙ベース社長が大切にとっていた紙はーーデータにも残していなかったためーーなにもかもが不慮の事故で地上から消え去っていました。
おしまい。