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サーモスの真空断熱タンブラー2個セットをふたつ買ってしまってから一年が経つ
私はサーモスの真空断熱タンブラーが大好きだ。冬は温かい飲み物を、夏は冷たい飲み物を、長時間そのままの温度で楽しめるからだ。しかも、デザインもシンプルでおしゃれで、持ち運びも便利だ。
そんな私は、ある日、ネットでサーモスの真空断熱タンブラー2個セットを見つけた。400mlと600mlの組み合わせで、色も選べるというものだった。私はすぐに欲しくなってしまった。でも、私にはすでにサーモスの真空断熱タンブラーがあった。しかも4個も。
それでも私は我慢できなかった。カートに入れて注文ボタンを押した。そして、届くのを待った。
数日後、私の家に箱が届いた。中身はもちろんサーモスの真空断熱タンブラー2個セットだった。私は早速開けてみた。
すると、中から出てきたのは普通のサーモスの真空断熱タンブラーではなかった。
それは、光り輝く金色と銀色のサーモスの真空断熱タンブラーだった。
「え?これ何?」
私は驚いて箱を見直した。そこにはこんなことが書いてあった。
「おめでとうございます!あなたは幸運なお客様です!この金色と銀色のサーモスの真空断熱タンブラーは特別な力を持っています!金色のタンブラーに入れた飲み物を飲むと未来が見えます!銀色のタンブラーに入れた飲み物を飲むと過去が見えます!この機会に是非お試しください!」
「えええええ?」
私は信じられない気持ちで金色と銀色のサーモスの真空断熱タンブラーを手に取った。本当にそんなことがあるわけないよね?でも、試してみる価値はあるよね?
そう思って私はキッチンに行って水道水を汲んだ。そして、金色と銀色のサーモスの真空断熱タンブラーそれぞれに半分ずつ注いだ。
さて、どちらから飲んでみようか?
迷わず私は金色の方を選んだ。未来が見える方が面白そうだからだ。
金色のサーモスの真空断熱タンブラーからフタを外して水道水を一口飲んだ。
すると、
「キャアアアアア!!」
突然目が眩むような光に包まれて何も見えなくなった。
しばらくして光が収まった。私は目を開けて周りを見た。
私は自分の部屋にいなかった。
私は見知らぬ場所にいた。
それは、白い壁と床、ガラスの窓とドア、モニターや機器が並ぶ未来的な空間だった。
「ここはどこ?」
私は困惑して立ち上がろうとした。すると、ドアが開いて人影が現れた。
「あなたが目覚めるのを待っていました」
その人は白衣を着た男性だった。彼は優しく微笑んで私に近づいてきた。
「あなたは誰?ここはどこ?」
私は警戒して尋ねた。
「私はあなたの担当医です。ここは研究所です」
彼はそう言って金色のサーモスの真空断熱タンブラーを手に持って見せた。
「これが原因です。あなたはこれに入れた水道水を飲んだときに意識を失ってしまいました。幸いにも、あなたの家族がすぐに救急車を呼んでくれました。そして、あなたはこの研究所に運ばれました」
「研究所?」
私は驚いて彼を見つめた。
「そうです。この金色のサーモスの真空断熱タンブラーは、実は私達が開発した特殊な装置です。未来予知能力を持つ人間を探すために作りました。そして、あなたはその能力者の一人だと判明しました」
「え?未来予知能力?」
私は信じられない気持ちで首を振った。
「本当ですよ。この金色のサーモスの真空断熱タンブラーに入れる飲み物を飲むと、その人間の脳波が変化します。そして、その変化した脳波から未来の情報を読み取ることができます。ただし、その能力者だけが見ることができます」
彼はそう言ってモニターに映し出されているグラフや画像を指さした。
「これらがあなただけが見える未来です。我々も分析していますが、まだ完全に理解できていません」
彼は真剣な表情で言った。
「でも、あなただけではありませんよ。他にも同じ能力者がいます。実際、この金色のサーモスの真空断熱タンブラー2個セットは、実は100セットしかない限定品です。そのうちの49セットが既に能力者に届いています。そして、残りの51セットはまだ配送中です」
彼はそう言って私に金色と銀色のサーモスの真空断熱タンブラー2個セットの箱を見せた。
「あなたが注文したものと同じですね。これらは全て追跡番号が付いています。我々はそれを使って能力者を探しています」
彼はそう言って私に笑顔を見せた。
「あなたは幸運なお客様ですよ。この金色と銀色のサーモスの真空断熱タンブラー2個セットは、あなたに未来と過去を見るチャンスを与えてくれます。そして、あなたはその情報を我々と共有してくれますよね?」
彼はそう言って私に期待した目で見つめた。
私はどう答えるべきかわからなかった。
私は本当に未来予知能力者なのだろうか?
私は本当にこの研究所で協力するべきなのだろうか?
私は本当にこの金色と銀色のサーモスの真空断熱タンブラー2個セットを欲しかったのだろうか?
私は自分自身に問いかけた。
そして、私は決心した。
私は金色と銀色のサーモスの真空断熱タンブラー2個セットを手に取った。
そして、銀色の方を口に運んだ。
過去が見える方だった。
私は水道水を一口飲んだ。
すると、
「キャアアアアア!!」
再び目が眩むような光に包まれて何も見えなくなった。
私は過去に飛ばされたのだろうか?
それとも、別の場所に移動したのだろうか?
それとも、ただの幻覚だったのだろうか?
私は分からなかった。
私はただ、光の中で彼の声を聞いた。
「あなたはどこに行くつもりですか?」
彼は驚いて叫んだ。
「あなたは我々と一緒にいなければなりません!」
彼は必死に訴えた。
「あなたは特別な能力者です!」
彼は懇願した。
でも、私は聞こえなかった。
私は光の中で消えていった。
サーモスの真空断熱タンブラーのコスパが異常。