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NHKドラマの意欲作・問題作が続く 『燕は戻ってこない』と『パーセント』
◆NHKドラマ『燕は戻ってこない』
平安時代の女性たちの姿を描いた大河ドラマ『光る君へ』では、子供を
産むことが家の生存戦略に直結するため、女性は子供を産むことが大きな
使命となる。高畑充希演じる中宮・定子は父や兄から「帝の子を産め」と
呪いのような言葉を何度も投げかけられていた。
代理出産という日本では法的に認められていない最先端生殖医療を扱った
問題作が『燕は戻ってこない』だ。主演の石橋静河が「自分は子供を産む
機械」になったようだと述懐する。「子供を産む」という女性の役割が
呪いのようにのしかかってくるのは、今も昔も変わらない。
富めるものと貧しきものの格差社会が激しく描かれる本作、貧しき生活
から抜け出すため、卵子提供でお金になるという話に飛びつく主人公。
しかし自分の体をお金のために切り売りするという意味では、売春や
臓器売買と変わらない。卵子提供や代理母出産という子宮ビジネス。
命の危険もある。才能のあるダンサーの遺伝子を残すため、傲慢にも
金で関係のない若い女性に子供を産ませようとする重い物語だ。
そんな富める成功者と貧しき生活者の対立構造だった4回目までが、第5
回で石橋静河が故郷の北見に帰り、「酒を飲む」「体外受精中にほかの男
とセックスをする」などの契約ルールを次々と破り、善悪で単純に描けな
い混沌とした展開になる。田舎では結婚して子供を産まないと、女として
認められないような息苦しさが描かれ、有名人と結婚したと親にも友達に
も見栄を張る女の哀しさも描かれる。
女の赤裸々な生きざまを描き続ける桐野夏生の原作ならではの展開だ。
さらに第6回では、誰の子か分からない子供を身籠った欲望に忠実な女
の生き方、石橋静河に共感すす春画描きのりりこ(中村優子)も参戦し、
出産をめぐるドラマはカオスな状態に突入した。
少子高齢化が加速し、子供を産む問題は女性だけの問題ではない。社会
全体で子供を育てる社会を作らないと日本の未来はない。
◆『パーセント』NHK土曜ドラマ 4回で先週終了
ローカルテレビのバラエティ班の女の子が、恋愛ドラマ企画を出して
局の「多様性月間」キャンペーンで障がい者を使うならOKと言われて
企画が進む。主演は「燕は戻ってこない」で石橋静河の親友役で出ている
伊藤万理華。
障がい者の扱いを巡って、「見世物」「感動ポルノ」「利用している」
などの批判にさらされながら、障がい者の女の子と真剣に向き合う
若い女性プロデューサーの葛藤と奮闘ぶりが描かれた。
ドラマ作りが大人の思惑でどんどん進む感じが「あるある」でした。
でもプロデューサーがあんなに悩んでいたら現場が進まなくて大混乱
だろうけど。障がい者たちが劇団メンバーとして多数出演。
NHKでしかできない佳作でした。
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