2024年2月自選

#tanka  

君にならどれだけ脳をぐちゃぐちゃにされてもいいと思います まだ

チョコレート全然いらない 通学路坂道だるい 誰かと死にたい

泣きながら話す いちばん大切な友達の目がきれいなことを

水・光・笑顔ばかりの展示室 君の影 ずっと一緒にいてよ

真夜中に真夏の風に撫でられて(殴られて)吉野家へ行きたい

鍵垢の君が見ている夕焼けを見たい 絶対良い空だから

やわらかくやさしく春になる街の高速バスで帰郷する君

 2月に入ってしばらくは、後輩の卒業制作展示会を手伝っていた。知り合いの後輩が多くて、楽しい毎日だった。充実。 の一方で、Aへの言語化できない感情が常に皮膚の内側にあって、どこにいても誰といても心が落ち着かなかった。ずっと心がふたつあるような。
 Aとは1月の末に仲直りして、大学で会うたびに友達という形を保って話した。ブロ解されたままのSNSはもとからそうだったんだと思い込むようにして、新しい人間関係を築いたり、後輩の方々と飲みに行ったりした。何かについて考え始めると、いつの間にか考えたくない問題に思考が飛んでしまうから、できるだけなにも考えられないように飲酒した。脳を馬鹿にしたかった。馬鹿な人間にはなりたくないのに。
 Aを含む何人かで2回飲みに行った。Aと誰かが話しているのを見ると、なぜか嬉しくなった。卒業後は関東で働くAに、どうしても何かを伝えたいのに、どうしても何も言葉にできなかった。
 卒業制作展示会の最終日、放課後まで残っていたメンバーで打ち上げに行った。Aも来た。たぶん、後輩たちが気を利かせてくれたんだろう、と感じることが何度かあった。帰り、後輩が入って行ったコンビニの前で、私とAはふたりになった。何か言おう何か言おうと慌てて、本当は無言でもよかったのだけれど、私は口を開いた。
 空白が返ってきた。私が言った、Aへの拙い感情に対して。
 寒さと緊張で脳が震えていて、あまり正確な語句は思い出せない。ブロ解されて悲しかった、最近ずっとAに話しかけるのが怖かった、これ以上嫌われるのが嫌だったから、みたいなことだったと思う、不確か。
 帰宅してから泣いてしまった。私の素材が水ならよかったのに、というようなことを考えながら。すべてがぐちゃぐちゃになったと思ったのに、自室はいつも通りの汚さだった。
 残りの2月のことは少ししか覚えていない。人生初捻挫がつらかった(これまでに味わった痛みランキング3位くらいの痛さ。1位は胃腸炎。2位は人間関係)ことと、アートサイエンス学科の紙に秘密を書いて溶かす展示がめちゃくちゃきれいでいい匂いがしたことと、友達の誕生日に「おめでとう!(友達)のおかげで祝日や!」と連絡したら「天皇のおかげね」と返ってきたのが面白かったことくらい?
 2月はなぜか短歌にたくさんいいねをいただけて嬉しかったです! 精進します
(3月自選に続きます)

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