不撓不屈 - UNBREAKABLE
見た目はボロボロなのに機能は完璧でいつでも最前線で主力として頼れるという素晴らしい一台です。
本当は自分でここまで使い込んだ!と言いたいのですが、残念ながら今回の機体はヤフオクでの落札品です。でも並みのカスタム機では到底出せないような味わい深さのある機体として、自分の中では唯一無二の地位を保っています。
エントリー機でも防塵防滴のタフなPENTAXのカメラたち
自分の中ではPENTAXのカメラはNikonに勝るとも劣らないほど頑丈なカメラだというイメージがあります。
(一方の雄であるCanonはそれを前面に押し出している訳ではないというだけで、プロ用の機体についてはNikonに劣るという訳ではないと思いますが。)
実際に現行の製品ラインナップでエントリーモデルのKFのキットレンズセットのレンズも含めて防塵防滴で、安価に防塵防滴の一眼システムを導入したいという人には実は有力な選択肢になると思います。
今回紹介するPENTAX K-7はそんなPENTAXのカメラを象徴する一台だと自分で勝手に思い込んでいる機体です。
頑丈なPENTAXを象徴する機体
PENTAX K-7が発売されたのは2009年。前年の2008年に紆余曲折ありながらHOYAとの合併を余儀なくされ、K-7は「ペンタックス株式会社」ではなく、「HOYA」として発売される最初の機体となるという逆風の時代でした。
ついでに言えば、3年後の2011年には今度はリコーに買収され、「ペンタックスリコー」となります。
そういう背景を踏まえてK-7を見た場合、メーカー最上位機種として他メーカーに立ち遅れていると見られていた部分。動画撮影機能に対応しつつ、ただの防塵防滴だけでなく、-10℃での動作も保障する耐寒性能も備えるという驚異的な機体でした。自分の中では今PENTAXに対して抱いているとにかく頑丈で過酷な環境でも確実に動いてくれるというイメージはこのK-7から始まっていると言っても過言ではありません。
それでも画質向上の要となる光学センサは先代K20Dと同等品で、そこを何とか画質向上を図った結果、先代「PRIME」から異なる描画をする画像エンジン「PRIME II」の搭載となりました。
K-7以降の後継機の画質を見るにこの方向転換は間違ってはいなかったと思うのですが、当時この方向転換は物議をかもしたようです。
実際のところ、今K-7を使ってみようとすると、ISO感度が低い状態ならばよいのですが、感度を上げて撮影するとノイズの発生が激しくなり、最高感度の6400では実用に耐えないという話が多く聞かれるようです。
後継機のK-5やK-3では高感度でも画質低下が少ない評価がある点を考えると、今PENTAXの旧型機を中古で手に入れるとなるとやはりK-5の方が一般的な撮影では使いやすいので、そちらをお勧めという事になるのが否めません。
しかし、PENTAXが恐らく一番苦しかった時代にその後のK-5やK-3のベースとなるデザイン。防塵・防滴・耐寒機能の装備。視野率約100%のファインダーと現在のPENTAX一眼のベースとなるものがすべてここから始まっているのを考えるとK-7をただの旧式機と切り捨てる気持ちにはなれないのです。
とくに今回ここで紹介している長年使いこまれて傷だらけの外装でありながら、機能面では完璧な機体だと、「まだまだ最新鋭機にも負けてないぜ」と言っている歴戦の勇士の様であり、それはこのK-7の生い立ちを考えると他の機種には到底出せないようなこの機体独特の魅力となっています。
ノイズを生かす撮り方を教えてもらった。
以前に「画像仕上げ:ノイズ」という記事を出したことがあります。
K-7で写真を撮っている時にノイズが実は魅力的な写真を作ることもある。と気づかされたのです。
敢えてノイズまみれになる最高感度ISO=6400に設定し、カラー設定もモノクロにするとK-7でしか撮れないと思わせてくれる実に荒々しいモノクロ写真が撮れるようになります。
当然被写体を選ぶ撮り方で、こんな撮り方で花なんて撮ってもいい写真にはなり得ないわけですが、野生動物などをこの撮り方で撮ればK-7でしか引き出せない野生の魅力が引き出せて来るように感じます。
現在のPENTAXはモノクロ専用機としてK-3IIIMonochromeという機種を発売していて、様々なモノクロ写真を撮るのにうってつけのカメラになっています。
それに対して、K-7は荒々しいノイズに覆われたモノクロ写真しか撮れない不器用なカメラではありますが最新鋭機では撮れない写真が撮れるという意味で自分にとっては唯一無二のモノクロ専用機(もちろんカラーでも使っていますが)として使っています。