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考察:正反対の特性になる白と黒

白と黒で特性が正反対だなんて当たり前だろ何言ってんだと言われそうですが、それだけの話じゃなく、同じ白であってもメディアによって・・・つまりプリントとディスプレイに表示する場合で正反対の特性になるというお話です。


色がない。とは?

以前に写真をディスプレイで見る・・・直接光。つまりRGBで写真を表現する場合と、プリントした写真・・・反射光。つまりMCYで写真を表現する場合とで、同じカメラの同じシャッターを切った時の写真であっても色々違ってきてしまうという事を話しました。

そういった特性の違いが一番はっきり出てくるのが白と黒ではないかと思うのです。

RGBでの「黒」は赤、緑、青のどの色も存在しない「無色」で色コードも#000000です。単にデータ上のゼロになっているというだけでなく、ディスプレイの発光素子のRGB全てが発光しない状態が「黒」になっています。

プリントの場合。つまりMCYでの「黒」はマゼンタ・シアン・イエロー全ての色が混ざり合った状態で無色の正反対。論理上全ての色が同じ分量だけ混ざり合った状態になります。

わざわざ「論理上」と断りを入れたのは実際に染料のマゼンタ・シアン・イエローを同量づづ混ぜ合わせた場合黒に近いグレーになってしまい、世間一般で言う「黒」にはならないようです。実際には「黒」の染料を塗る必要が出てくるそうなのですが、いずれにせよ「無色」ではないという事です。

全ての色に満ち溢れる。

MCYでの「無色」とは論理上「白」の事。つまりは紙の生地の色そのものです。マゼンタ・シアン・イエローの染料をどれも塗らなければ白になるのです

ここでも論理上と断りを入れたのは分かる人には分かると思いますが、現実の紙は色のついた物もある訳で結局これも「白」という染料を塗ってやる必要が出てしまう訳ですが、一般常識の範囲内で白=紙の色=色がついていないところ。という解釈は納得できるところでしょう。

そしてRGBでの「白」は赤、緑、青を全て合わせた「色」。色コード#FFFFFFです。ディスプレイの全ての発光素子が全力で発光している状態を「白」としているのです。

直接光と反射光で正反対になる。

RGBとMCYの違いについて、白と黒に注目してみると両者の特性の違い正反対になる点はディスプレイの写真とプリントの写真の違いを考える上で覚えておくといいかも知れません。

つまり、実験的に2枚の写真を重ねて表示する。という事をやった場合、ディスプレイで表示する場合、黒の部分はそれぞれのイメージが残り、白の部分のどちらのイメージも白飛びして見えなくなる。となるのではないでしょうか。

反対にプリントで2枚の写真を重ねてプリントする・・・この場合色々な方法が考えられるので一概には言えないかも知れませんが、2枚のネガを重ねて1枚の印画紙に焼き付けた場合、それぞれの白い部分のイメージが浮き上がり、黒い部分のイメージは潰れてしまうのではないでしょうか。

どちらも実際にやってみたことがないので想像上での考察になってしまうのですが、ディスプレイの写真とプリントした写真の味わいの違いがこういう特性の面からも来ているのかも知れません。

RGBは発光素子の光量で割と正確にデータ通りの発色を再現できるのに対して、MCYの場合は白と黒が論理値通りの色にならない点も面白い点ではないでしょうか。この部分に注目してみれば、色の正確性という点に関してはRGB - ディスプレイの写真の方が優れているのかも知れません。

しかし、プリントの技術はディスプレイ登場のはるか以前から存在し、長く培われてきた独自のノウハウが色の正確性を超えた印象深い写真を作り出すこともあります。

もし、ディスプレイで見た時にあまり印象的でない写真があった場合、白と黒。つまり光と影に注目しつつプリントしてみると意外といい写真に変わったりするかも知れません。

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