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良かれと思って・・・
最近、「相手の事を思ってアドバイスしてやった」という人物と接する機会がありました。
その「アドバイス」というのはその業界というか集団内では合理的なものであるようなのですが、相手から見るといかにも高圧的というか、脅迫的な言い方で相手の言い分を一切認めないような言い方に聞こえました。
自分の言い分が正しいと思うのならば、それを根拠に相手を一方的に屈服させるような言い方ではなく、相手にも受け入れられるように譲れる部分は譲る寛容さがあった方がいいと思うのは自分だけでしょうか。
凶暴な剥製コレクション
岸和田市あるきしわだ自然資料館は岸和田市を含めた大阪泉州地域の自然。動植物や地形・地質などの調査研究成果を収集・保管している施設です。
ここの3階に膨大な数の動物の剝製が展示されていて、その数と巨体さに圧倒されるほどです。(写真撮影可能という事だったので写真を撮らせていただきました)
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PENTAX K-01 HD PENTAX-DA 18-50mm F4-5.6 DC WR RE 18mm F=4.0 SS=1/50 ISO=200
説明によると400体もの剥製があるのだそうです。もともとは個人のコレクションだったそうですが、この剥製を集めるきっかけになったのが、自然保護を訴える為だったという事です。
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PENTAX K-01 HD PENTAX-DA 18-50mm F4-5.6 DC WR RE 18mm F=4.0 SS=1/50 ISO=200
つまり沢山の、珍しい動物の剥製をまじかに見ることが出来るようになれば多くの人々が見学に来るだろうからそのような人々に自然保護に訴えてそのための資金提供を募る。という事だったそうです。
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PENTAX K-01 HD PENTAX-DA 18-50mm F4-5.6 DC WR RE 50mm F=5.6 SS=1/100 ISO=800
この剥製コレクションの「目玉」と言えるのがライオン、トラ、熊といった猛獣の剥製ですが、どれもすさまじく凶暴な面相をしていて迫力満点です。
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PENTAX K-01 HD PENTAX-DA 18-50mm F4-5.6 DC WR RE 50mm F=10.0 SS=1/60 ISO=1600
迫力があって見ごたえはあるのですが、この凶暴な剥製を見た人はこれらの動物を「保護」しなければ、と思うより「脅威」と感じたのではないでしょうか。
凶暴な野生を「保護」する?
最近熊が市街地にも現れて徘徊する事件が頻発しています。ここのヒグマの剥製はガラス越しではありますが手を触れることが出来るほどの距離まで近づくことが出来ます。実際に見れば素手の人間が到底かなう相手ではないと分かる迫力があります。
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PENTAX K-01 HD PENTAX-DA 18-50mm F4-5.6 DC WR RE 18mm F=4.0 SS=1/50 ISO=100
この剥製が収集されていた当時は熊が人の住んでいる場所にやってくる事など考えられなかったと思われますが、こういった問題も突き詰めると「相手に受け入れられる」ような工夫がなかったから。といえる気がします。熊が言葉を理解しないからと言って知能が無いわけではありません。ただし、その知能は自然環境の中で生き抜くための物で、人間の都合に合わせるための物ではありません。そんな相手を「保護」するという考え方はある意味傲慢ではないかと思うのです。
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PENTAX K-01 HD PENTAX-DA 18-50mm F4-5.6 DC WR RE 30mm F=8.0 SS=1/50 ISO=800
相手に対する理解が足りない。という事態は、熊と人間だけではなく、人間同士での関係にも発生しています。つまり実際に熊が現れる現場に住む人々とそれ以外の人々での考え方の違いが現れる。という形でです。
相手に理解できるような工夫
きしわだ自然資料館はそんな剥製コレクションだけでなく、本州ではほぼ南限となるブナの原生林の存在やかつて豊かな海の恵みを与えてくれた大阪湾の生態系の資料などを、一般の人々の発見記録と言った身近な発見から専門家の調査資料まで、様々な形で展示されていて出来るだけ分かりやすく説明しようという工夫が伺えます。
写真を撮る人としては、そんな説明の中でも文字と絵を組み合わせた説明は面白いと思いました。まるで以前紹介した子供の絵のように絵を文字として扱って出来事を説明しているように思えたからです。
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PENTAX K-01 HD PENTAX-DA 18-50mm F4-5.6 DC WR RE 40mm F=8.0 SS=1/100 ISO=800
言葉を使った説明は効率的で役立ちますが、全く性質の違う相手にはそんな常識的な手段を超えた表現方法を工夫すれば理解してもらえる可能性が出てくると言えそうです。
その前提として、「自分が絶対に正しい」という傲慢な断定は捨てるのが最初の一歩になるのでしょうけど。