悪夢の始まり。か?
いつでもどこでも本を手に入れて読むことが出来る。という事でAmazon Kindle(Paperwhite)を愛用しています。が、昔から慣れ親しんできて、そこにあって当たり前だった駅前の本屋さんが閉店してしまっていると少なからずショックを受けてしまいます。そこで手に入る本は全部Amazonで手に入ってKindleで読めるんですけどね。
そういう、昔なら常識的にあって当たり前。と思っていた物がいつの間にか無くなっていた。あるいはなくなりつつある。と感じたお話です。
ニーズとずれ始めているデジカメ
冒頭に話した昔の常識が通用しなくなってきている。という話をカメラに関して感じた件がこれです。
非常にざっくりいうと、10年前ぐらいからデジカメの出荷台数は低下の一途をたどっている。写真の需要。撮影する人の数は増えているにもかかわらず。です。
この「写真の需要。撮影する人の数は増えている」のにカメラが売れる台数が減っている。という部分が問題で、写真を撮るのにデジカメが必需品とはなっていない。現状のデジカメが必ずしも撮影需要の全てを満たしてはいない。という事です。
こうなっている大きな理由の一つになっているのがスマホカメラの普及と高性能化なのは言うまでもないことでしょう。スマートフォンのオマケでついてくるような代物であるにもかかわらず、一般的な撮影には必要十分な性能を持っているうえ、見てほしい人に見てもらうための機能まで持っていて撮影した後の使い勝手に関しては従来型のデジカメより遥かに優れているのですから普通の人からすれば、使い勝手では大きく劣るにもかかわらず、大きく、重くてかさばる上に、高価なデジカメをわざわざ用意する必要がどこにあるのだ?となるのも当然というるでしょう。
デジカメ衰退の物語として再現されるフィルムカメラ衰退の悲劇
手元にソースがないのであくまで個人的な考察になってしまうのですが、まだデジカメが存在せず、カメラと言えばフィルムカメラだった時代、一眼レフを持っている人はごく一部で、一般的な人が写真撮影に使っていたのはプラボディのコンパクトカメラだったと思います。
600万画素のデジタル一眼レフが登場する直前くらいの2000~2005年ぐらいの頃、普通の人々が写真を撮るのに使っていたのは「写ルンです」のような使い捨てカメラ、あるいはレンズ付きフィルムと言われていた製品だったと思います。
当時を思い出すと使い捨てカメラは普通のフィルムの倍くらい(600~800円くらい)の値段ではあったものの、現像の費用は一般的なカメラで撮影した場合と変わらず、さらにゼロ円プリントなども存在した時代だったので、年に数回の旅行の記念に写真を撮る程度であれば、少なくとも3万~5万ぐらいするコンパクトカメラを用意するより、はるかに安く済んだはずです。
オマケに使い捨てカメラはコンビニは言うに及ばす、観光地のどんな小さなお店でも入手可能で何なら手ぶらで旅行先に行ってから思い付きで写真を撮ろうと思っても十分間に合う撮影手段でした。
つまり、フィルムカメラの時代でも一眼レフを使って本格的な撮影を主なっていた人はごくわずかで、多くの人は「写ルンです」画質で満足していて、費用を含めた入手性の高さ、操作性も含めた使い勝手の高さの方がより重要だったのです。
デジカメにとってはもっと破滅的な未来の可能性
こう振り返ってみると、スマホカメラはこの使い捨てカメラに近い極めて近い存在であると言えるでしょう。画質的には遥かに優れる性能を持つにもかかわらずです。
さらに言えば「デジタル機器」というカデゴリで言えばスマホカメラはデジタル一眼やミラーレス一眼と本質的な違いはありません。極論すればビデオカメラとも、構造的な違いはないほどです。利用可能なリソースが圧倒的に少ない。という部分だけで、足りない部分はスマホに備わった別のリソースを利用する。 - そのリソースは単機能のデジカメには存在すらしないものだったりするのです。
「写ルンです」は本格的なカメラから必要十分な機能だけを削り出した「簡易型」で一般的な撮影は可能でも一眼レフの代わりにはなり得ないものでした。
スマホカメラは従来的なリソースだけに注目すれば「簡易型」ですが、「デジタル機器」として見れば従来型のデジカメに対して「上位互換機」と言うべき機能や能力を有しています。
これはスマホカメラは従来型のデジカメを完全に置き換えてしまう可能性を秘めているという事でもあります。これは標準的なカメラアプリでは単純な撮影しかできなくても、より高機能なカメラアプリに切り替えれば、スマホカメラでも本格的な撮影が出来る可能性の一端をうかがうことが出来ます。
未来のスマホカメラは、全てのデジカメがスマホカメラに収斂するという「写ルンです」には実現できなかった - 今でもデジタル一眼という「光学装置」が好きで使っている自分からすれば、悪夢のような未来を実現する可能性を秘めているようにも思います。
普通に写真を撮れればいい普通の人にはそれが便利で幸せな未来になるんだろうけど・・・