心霊写真はなくなったか
日々写真を撮り続けている皆さんの中で、いわゆる心霊写真を撮ってしまった方はいますでしょうか。
もし偶然写ってはならない何かを撮ってしまったら、トラウマになってカメラを趣味にするのは止めてしまうかもしれません。
ですが自分は把握しているだけで3万5千枚ほどの写真を保存しているのですが、それらしいものは一枚もありません。
そんな自分ですが、心霊写真(や心霊動画)は無くならないとだろうと思っています。
「証拠物」としての写真
以前の投稿でも書きましたが、「百聞は一見に如かず」写真は現実を写したものと思われているので、科学的／論理的に説明できない事象があったとしても、それが写っている写真を持ち出してくれば「事実」になる訳です。
この場合、写真に写っている「信じられない現象」が発生しているのは写真を見ている人が直接目撃したものではないという点が重要です。普通だったら信じられないという現象が実際に起きたと信じるには目の前で間違いなく発生したのを一部始終目撃した時だけでしょう。
直接見たわけではない「信じられないが本当だ」という現象を信じるにはそれが実際に起きたと信じられるような証拠を其れこそ山のように積み上げる必要がありますが、それでも信用してくれない可能性も十分あります。
それが、写真が一枚あるだけで実際に目撃したのと同じくらいに信用してもらえる確率が高まります。そして、「証拠物」としての絶大な威力が心霊写真がなくならない最大の理由であると思われます。
発表当時は「写真に写っている」だけで疑う余地もないとされていました。
意思を反映する加工技術
UFO写真やUMA（ネッシーや雪男などのなどの未確認生物）も同じ傾向があると思うのですが、世に出回っている心霊写真の大半は人の手で作られたものです。作った人はたいていの場合写真にあった現象が実際に起きた事だと主張していてその証拠物として写真を使います。
今日では写真は簡単に加工できてしまうので簡単に加工できそうな作りだど逆に信用されないかも知れませんが、写真と言えばフィルムで撮るものであった時代でもあの手この手で加工し、あり得ない画像に真実味を帯びさせる工夫を凝らしていました。
これらのデジタル以前の写真加工技術は非常に興味深いもので、悪用しないものであるならば、写真の新しい表現技術として取り入れていいのではないかと思えるほどです。
「心霊写真を作る」技術が写真加工技術の発展を促進させた側面はあると思います。
信ずれば成る
もう一つ、加工などしていないしあり得ないものが写っているわけでもないのだけど、「写っている」と主張されていて、言われてみればそう見えないこともない。という写真です。
これらは写真のブレやレンズのについたホコリ、自分としていつも効果的な使い方を狙っているレンズゴーストなどが偶然あり得ないものを写したように見える形で写真に写りこんでしまったというのが原因ですが、この偶然というものがなかなかに曲者で、中にはそれが偶然人の形をなしていたりすると、「そう見える」という主張に同意してしまう写り方をしていることもあるという事です。
実際にとある神社で見た写真で護摩壇などで焚いた火や滝行の最中に偶然炎の形や水の流れの形が龍に見えるように撮られた写真などがあって、神様出現の証拠などとして展示されていたりします。
こういった偶然そう見える。という写真を迷信的として切り捨てるのは簡単なのですが、この「この偶然そう見える」というものを頭ごなしに否定するのは、現実には起きていなかった事象を画像加工で現実に起きたように見せかけたものを、無批判に信じてしまうのと同じくらい危険な考え方かもしれません。
加工していない、正真正銘の真実を写したものがあって、それがたとえ偶然であっても意味のあるものに見えたのだとしたら、そこには何か意味があって、ちっぽけで取るに足らない乏しい知識を振りかざして全知全能のように振舞う人類に何かを啓示しているのかもしれません。
PENTAX K-7 HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 ED DC WR 35mm SS=1/10 F=6.3 ISO=800