ミツメのライブを二人で観に行き、奇跡が二度も起きた話
私たち檸檬が最も愛するバンド、ミツメ。今回は5年振りのツアー。ワンマンライブ。これは物凄いことですよ。そんなに長く我慢しきれず、名古屋を飛び出し東京までワンマンライブとレコーディングライブを観に行ったり、自分たちの企画で川辺さんと共演したりしてますが、名古屋でミツメのワンマンライブを観るって本当に特別な時間なんです。
実は奇跡が二度起こりました。忘れたくないし、できるだけこの夜の感情と出来事を言語化し、ここに書き記しておきます。ミツメのことが好きな皆さん、最後までお付き合いいただければなと思います。
3月にツアーが発表されて、真っ先に二人で喜びを分かち合い、チケットを入手。迷いなんてこれっぽっちもなかった。6月のことなんてわからないのに。ミツメの事となると、後先を考えられなくなる。お互い無事に生きていてよかったな。ファンになってから何年経つのか?19とか20の時から好きで、私たち今年27だ。ざっくり、8年目ってことになる。すごいよ、これは。色々な音楽に触れてきたのにもかかわらず、お互いにとってミツメが世界で一番好きなバンドだという事実に震える。名古屋で行われるツアーには必ず行っているし、加えて京都や東京まで観に行ったりと、何度も何度もこうしてライブを観ているのに、”絶対前の方で観ようね”と約束して迎えた当日。私たちが一番気分が盛り上がっていたんじゃないか?って思う。
リリースがきっかけでツアーや自主イベントを開催するのが、音楽活動の一般的な流れとされているけれど、今回はリリースはなく、決まったツアー。という訳で、一体何の曲が披露されるのか全く予想がつかないというワクワク感があった。この日の2日前。ミツメを聴きながら、ライブで聴きたいなあという曲をメモしていた。そして、奇跡が起こったのだった─
(ここから先は曲名等ネタバレを含みます⚠️)
まず一曲目が一番聴きたいと思っていた”ドライブ”だったのだ。ミツメの曲数ってまあまあ多い。びっくりし過ぎて、嬉しさ越えて逆に怖かった。ドライブはこの4人だからこそ成り立っている演奏ということが物凄く伝わってくる。
複雑なのに飄々と、好き勝手にやり遂げてしまう様子が好き。「ミツメは曲の終わりが”スッ”と揃うよね」とノン氏。その通りだと思う。着地が軽やか過ぎるのだ。その後も聴きたいなと思って事前にメモしていた曲が何曲か披露された。どうしてなんだろう、不思議だなと思っていたら、「今回は普段やらない曲をやっていきます」とMCで川辺さんが種明かし。そうは言いつつも、エスパー、あこがれ、Discoという有名どころもしっかり披露していた。誰も置いていかない、ミツメのこういう優しさが好きだなと思う。この曲が好きという気持ちより、このスタイルにまず、惚れている。新曲も初披露。本当に初だったみたいで、凄く嬉しかった。この日の為に間に合わせてくれてありがとう。ドラムが印象的でドコドコドンドンって何度も繰り返される。スピード感と鬼気迫る迫力感があり、今までにないミツメの一面を垣間見てしまった気分に。歌詞に「坂道」という言葉が入っていた。リリースされたら、またこの文章を読み返してみよう。
ラスト、あと一曲というタイミングでマオさんのギターの音が出なくなり、「3人でなんかやる?」という流れに。
川辺さん「後、一曲だったのにね」
須田さん「普段人の曲って練習でもやらないね」
川辺さん「じゃ、煙突やる?」
須田さん「あっ…タンバリン(小声)」
川辺さん「(マオさんに対し)音出たら入ってきてね」
バタバタしている間にスタート。確かに、そもそも煙突って途中でギターが入ってくるから、途中で入ってきたとしても馴染むなあって川辺さんの判断力と頭の回転のはやさと臨機応変さに感服。
曲中、無事に音が出て「出たー♩(にっこり)」と川辺さん。機材トラブルが起きたとしても終始冷静なマオさん。途中で居なくなり、タンバリンを手にして戻ってきた須田さん。素直に演奏するナカヤーンさん。どの様子も最高だった。本当に演奏する予定ではなかったんだな、煙突。では、ここまできてアンコールでは一体何を演奏するのか?クラゲ?それともmigirl…?うーん、それとも幸せな話か??
このイントロはもしかして……
三角定規
……え!?
幻……?
わたしがミツメを好きになったきっかけを話すとこれまた長くなるんだけど、この奇跡は語らずにはいられない。
話は遡ること、2016年。この日、わたしは地元の厳しい〜スーパーでギリギリまでバイトをしていた。シフトが決まってからノン氏に「こういうイベントがあるんだよ」「よかったら来てね」と教えてもらったのが名古屋のテレビ塔で開催されたソーシャルタワーマーケットというイベントだったのだ。
ネバヤンを当時沢山聴いていたわたしはネバヤンには必ず間に合いたいという気持ちで電車を乗り継ぎ、走って向かった。すると、丁度ネバヤンで、ネバヤンがトリだった。本当にギリギリ。演奏が終わり、人波が落ち着いたタイミングでようやくノン氏と合流。何やら背の高い人達と会話をしている。一体、誰なんだ?そう、それがミツメだった。わたしはミツメの顔も曲も知らずにその輪に加わってしまい、少し気まずかった。そんな私に対しても、ミツメの皆さんは優しかった。アーティストの人が普通に目の前に居る状況、正直訳が分からなかった。けれど、これがミツメの通常運転なのだと後々知ることになる。どんな会話をしたのか覚えていないのだけど、何故かわたしとノン氏と川辺さんの3ショットを撮ってもらった記憶がある。今思い返してみると、まだファンにすらなっていないのにこんなことをしていただいてしまって、なんていうことなんだ…と思う。これはミツメの優しさだけでなく、ノン氏のコミュ力の賜物だ。その前に既に彼女はミツメのライブを一度観に行っていたのだった。情報収集力の高さも当時から半端なかった。そのままノン氏とお茶をする流れに。そこで初めてミツメの演奏を観た。ノン氏が動画を撮ってくれていたのだ。それを観たわたしは一気に好きになった。その曲が、そう、三角定規だったのだ。
ここまで文章にしてみたら、息切れを起こしそうになった。それくらい印象的な出来事。後にも先にもこんな風に好きになるバンドなんてきっと居ないだろう。圧倒的唯一無二。わたしはこの時から「三角定規」をライブで観たいと強く願っていた。が、しかしそれ以降ミツメが名古屋で「三角定規」を演奏したことは一度もない!これは断言出来る。本当に一度もないのだ。他の地域では時たま演奏されているようだったが、わたしはそのタイミングをことごとく、逃していた。
ようやく、その瞬間が訪れたのだ。
きゃーなんて、叫べないから思わず息を飲む。そして、隣に居たノン氏と小さく”わぁ~”と言い合った。夢にまで見た瞬間というのはこのことなんだなあって思った。実際、生で観た三角定規は想像を遥かに超えていた。YouTubeで見かけたライブ映像通り、照明もバッチリストロボチカチカだった。暗くなる手前のマオさんの表情が忘れられない。このクールさと爽やかさ、たまらない緩急。今まで観てきた中で一番最高な演奏だった。圧倒的なストロークだったなあと思う。
わたしはずっとずっとこれが観たかった。こんなこと、目の前で起こるなんて思ってもみなかった。ずっとずっと願ってはいたけれど、正直、もう諦めの気持ちでいた。奇跡って起こるんだ。
ずっと観たかった曲があったから、そのおかげ沢山ライブに通って、ノン氏との絆も深まって、ライブハウスで働くようになって、檸檬が生まれて、自分たちでイベントを企画するようになって、ライブもするようになって、仲間ができて、音源もリリースできて、知ってくれる人が増えて、東京に呼んでもらえる機会が生まれて、東京で自主企画もできて、ダメ元でオファーしたら川辺さんと共演できた。
ただ観ている側で居る人生も最高だったかもしれないけれど、ミツメを好きになったおかげで自分たちにできることを悔いのないようにやりたいって思えるようになった。本当にかけがえのない存在だ。
ここ最近、ほかのアーティストの素晴らしいライブを観た時に、もっと頑張らなきゃ!と反省する日々を送っていた。けれど、この日は頑張りたい!って気持ちが溢れた。頑張りたくて、うずうずしている!同じ頑張るっていう言葉だけど、これは全く違う感情だ。
ああ、だからそうなのかって思えた。頑張らなきゃ…から始まることって苦しい。ミツメを観るとわたしはもっと積極的に燃えてくる。これが全ての行動の原動力だ!そして、ミツメはこれからも続くのだと確信した。観ていてとても素敵だったし、なんだかずっと嬉しかった。私たちも絶対に檸檬を続けると決めている。聴いてくれる人が1人になっても、音楽を止めない。好きだから、辞めない。もう、勝手に続けるよ。続けるということこそが、なにより大事。一番大事なこと。嫌いにならないものを掴ませてくれたミツメという存在感の強さにわたしは改めて救われた。
終演後、どうしてもこの奇跡の一日のセトリが欲しくてはじめてスタッフの方にお願いして、ゲットした。このように、ミツメはメンバーだけでなく、スタッフの皆さんも、とても優しさに満ち溢れている。
物販は5,000円以上購入でトートバッグが付いてくる方式だった。流石にそこまで散財しないようにしようと思っていたのだけど、気づいたらトートバッグをゲットしていた。ミツメにお金をかけて後悔をしたことなんて一度もないから、そもそも不要な我慢だったな。
グッズ購入後、須田さんが私たちに気付いて手を挙げてくれた。須田さん、ナカヤーンさん、マオさんと対面するのはとても久しぶり。「檸檬だ」と認識してくださっていたのが嬉しかった。会えない間もコツコツと自分たちなりに好きを貫いてきてよかったなと思えた瞬間だった。全員から久しぶりにサインをいただいた。サインがずっと変わっていなくて、ほっこりとする。安心感がある。けれど、ミツメと会話をする時はいつも緊張する。この距離感でずっと居たい。
最後に「写真もいいですか?」と問いかけ、ミツメと距離をとる。そう、私たちは”ミツメと写真を撮りたい”というより、”ミツメを撮りたい”という欲が勝るのだ。そんな私たちの様子を見て「あっ、いつもこうだったね」と思い出してくれたのも嬉しかった。
これからも、ずっと、ミツメが大好き!
そう、心の底から思えた一日でした。
ミツメって最高!
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