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Terrestrial Between Chaos and Order

 生命力と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。元気さ?活力?スタミナ?健康?、どれも該当するでしょう。熱いコーヒーは時間とともにさめてゆく、万物の物は熱力学の第二法則により、秩序ある状態から無秩序へと向かうとされ生命も秩序ある状態から無秩序へと向かう。しかし生命の場合はこの法則をはぐらかし無秩序へと向かうことを遅らせる。なぜ遅らせることができるのか。
 例えば蒸気機関車のシリンダーとピストンがある。ここに圧縮空気が注入されるとピストンはシリンダー内を動き仕事をする。この時、エントロピー増大は、シリンダーという束縛条件がない場合に比べて小さくなる。
つまりは束縛条件がある場合は仕事はしないがエントロピーは増大するが、束縛条件があると仕事が行われエントロピー増大は小さくなる。
 生きている細胞も、仕事をすることで、自身のエネルギーの束縛条件を構築し、それによりさらなる仕事をする。しかし生命の場合、その仕事はさらなる束縛条件を構築し、それがさらなる仕事を構成、さらなる束縛条件を構築しとエントロピー増大を遅らせるとともに秩序が自己増殖する。この増殖的な仕事でエントロピー増大を遅らせているのが生命力なのかもしれない。

自己増殖し成長する花


そして生命は地球という生物圏で多様化し繁殖してきた。
それは生命の基本単位である細胞の内膜は外膜によってエントロピー増大から守られているように地球の大気により宇宙からのエントロピー増大から生物界を守っているからかもしれない。
 しかしその多様な生命が存在する地球も天候悪化や人間活動により破壊される自然が増加していないだろうか。   
 フランスの哲学者ブルーノ・ラトゥールは著書「地球に降り立つ」の中で、人類の新しい生き方「Terrestrial」を提唱している。このままグローバル社会を突き進むでもなく、原始に戻るのでもない、Terrestrialとは地球に依存する生き方を意味する。なぜ地上に降りたつのか、人も同じ生命圏の一員であることを忘れ、人類と自然環境を分離した思考で行動し自らの利便性のみを優先しエントロピー増大を起こしてきた。
環境が破壊されていくことは、生命の危機につながっていくかもしれない。これからは人間も自然環境の一部であることを理解し、環境にどのように依存し共存していくのか考える時期にきているのではないだろうか。

静岡県大井川流域


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