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ばあちゃんのパリピ豆

 祖母が枝豆を送ってくれた。我々が居酒屋で口にする種類ではなく、黒豆で育てているらしい。だからサヤの色や豆の色はうっすら黒みがかっている。舌に長く残る力強い甘みと厚ぼったいコクも自分はお気に入りだ。
 たまに可愛いイモムシがサヤに入っているけれど、そういうのも全部まとめて茹でてしまう。そのため自分はもしかしたら予期せぬところで「ファースト・昆虫食」の機会を奪われているかもしれない。いやきっとそうなのだが、ノーカウントとしたい。やはり自分が望んだ時に食べる昆虫食を「ファースト」としたい。

 ところで自分は枝豆を食べる時、1本のサヤから押し出した豆をまとめて全部食べるのが好きだ。だから1粒しか入ってないサヤは少し寂しく食べているし、3粒入っていれば嬉しい。口いっぱいに広がる幸せの最中、自分の心にある考えが刺さって気になっていた。

もっと嬉しくなりたい。と。

 人間は浅はかだ。今ある幸せのちょっと先を味見してしまいたくなることがある。3粒よりも4粒……もっとその先の10粒。もしも10粒など口にしてしまったら立ちどころに脳汁が溢れ出し、二度とかつての自分に戻れなくなってしまうだろう。「でも10粒に比べたら……」と毎日つぶやいて、小さな幸せを見逃す日々。荒んだ自分を見かねた友人にも八つ当たりをしてしまい、一人寂しく枝豆を食べる自分。そんな灰色の人生をこれから送っていくことになるかもしれない。
 お一人様の枝豆、2人連れ、3人連れ…ここまでは知っている。もっとパリピの豆は無いのだろうか。そう思って調べてみるに、4人連れのパリピ豆の存在までは確認できた。4粒なら罪悪感もない……ちょっとだけ、味見するだけ。
 パリピ豆の幸せに狂うその日を心待ちにしている。

 などと書き連ねているうちに、なんと本当に、ああ信じられない。ヤツらが出てきてしまった。ガチやべえって。

 まさにパリピ心あればEDMで箱ブチアゲ心である。

【幻のパリピ豆。筆舌に尽くし難い美味さ】

 じゃ、みんな今日一日よろ〜、#KP!うい〜〜🤙🍻

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サポートって言葉、ガチでやる気出ていい感じです。