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もしも母乳だけでなく、父乳があったなら。

真夜中3時、布団の上半ば白目を剥いた状態で上半身をさらしながら思った。

なぜ、母親だけなんだろう。

子を成すのは、夫婦2人の意思あってこそなのに、十月十日の妊娠期間、出産、そして産後すぐから身体がぼろぼろの状態で行う、2.3時間おきの授乳。

しかも授乳にはいろんなトラブルがつきもの。

なぜこんなにも母体ばかりに負担が大きいのだろう。

「授乳がしんどいなら、ミルクにすればいいじゃない」なんて声が聞こえてくるかもしれない。わたしも産む前は、そう思っていたけれど、そんな単純な話ではなかった。

母乳育児は、
「栄養価が高く、母の免疫を子にあげられる」
「肌と肌が触れ合うことにより、赤ちゃんの安心感につながる」
と病院で習った。事情がない限り、母乳育児を推奨しているところも多い。母乳なしの完全ミルクだって、赤ちゃんはすくすく育つし、何も悪いことではないのは百も承知している。

しかし、上記のようなメリットを聞かされれば、「できれば母乳で頑張りたい」そう思うお母さん方もたくさんおり、また日々授乳に頭を悩ませる人も多くいるのではないか。

せめて出産を終えたら、母親の負担軽減のために父親からも母乳が出て、授乳ができたら良いのに。

殿方たちは、一体何のために使いもしないのに胸に二つの突起を付けて生まれてくるのか、甚だ疑問である。

あ、そもそも、父だから母乳ではなく父乳か。
読みは「ちちにゅう」?うーん、重なるチチ感。

父母で「ふぼ」だから、ここは「ふにゅう」か。
頭の中で漢字変換すると「腐乳」みたいな感じで嫌だけど、「ふにゅう」声に出してみると音の響きがちょっと可愛いじゃないか。

もしもこの世界に、母乳だけでなく父乳があったなら。
父親も授乳ができる世界線、徒然と考えてみることにする。

妻がいつでも産める正産期に入ると自ずとその夫は胸が膨らんでくる。どういう仕組み…?うん、まあきっとその…ホルモンバランスとかのせい。

となると、困るのはブラジャー問題である。
女性と違い、この時期ならではの下着だからである。
社会には、男性ブラジャー専門店ができるか。否、それは考えにくい。

授乳期間は、1年程度。どんなに素晴らしい男性用授乳ブラを開発したとして、顧客ターゲット層があまりに狭く、店舗を構えるにしても採算が取れないだろう。西松屋やアカチャンホンポに「パパ応援コーナー」なる一角ができて、そこに売られるに違いない。

デザインも、可愛いらしい柔らかな雰囲気のものではなく、カッターシャツに響きにくい形かつ消臭、蒸れにくいなどの機能性が最も重視されるんだろう。
恐らく定番色は、黒かグレー。見えない場所へのお洒落にこだわるメンズが選ぶのは、ネイビーか茶色か濃いグリーン。

ちょっといい男性用下着といえば、ラルフローレンやクロコダイル。
そこでも男性用授乳ブラを取り扱うようになるかもしれない。黒地にワンポイントの馬とワニ。
うん、なかなか、いかしている。

「斉藤、お前もパパになったんだな、おめでとう。」
親しい友人から送られるのは、そんなちょっといい男性用授乳ブラ。
自分で買うにはちょっとお高いそれは、使うならもらったら有難いだろうけど、夫婦で母乳もしくはミルク、と決めていたならば、いい迷惑な贈りものランキングトップに君臨すること間違いない。


女性だけだと余程親しくない限り、公の場で話題に上りにくかったデリケートかつセンシティブな授乳問題。男女どちらにも関わってくることになり、話題のハードルは多少下がるかもしれない。

「おい、山田、乳の出はどうだ。」
男性から女性に言えば、一発即アウト爆発セクハラ案件でも男性同士ならお酒の席などで、話題に出してくる人もいるかもしれない。

「昔、俺はなあ、1回あたり200(ml)は出たんだ。」
なんて数字大好きマンは、友人や後輩に搾乳量マウントをかましてくる輩も出てくるだろう。

「そんな栄養偏ってちゃ、いいおっぱいが出ないわよ!」
とお昼をおにぎりだけで済まそうとする若手男性社員に言う、おせっかいな年配女性社員も出てくるかもしれない。

一部デリカシーのない人々による、乳ハラスメント、「チチハラ」も社会問題になるのも時間の問題だ。


また、産後の健診では、母子の状態を知る項目の一つとして医師や助産師に、赤ちゃんの栄養補給法は何か問われる。
今は、完母(完全母乳)、完ミ(完全ミルク)
混合
、の3パターンだけど、
そこに父乳も加わるとなると、完母、完父、完父母、母ミ(母乳とミルク)、父ミ、完ミ
の6パターンになる。それは少し、ややこしそうだ。

また、母乳と父乳の成分の違いについても
研究が進むに違むかもしれない。


授乳という選択肢が広がったことにより、より育児が身近になった父親たち。会社でも父親になったら、全員最低2か月男性も育休は当たり前、街中でも快適な授乳スペースがさらに増えるだろう。(もちろん男女別)
そうなると、ワンオペ育児にならざるを得ない家庭も随分減るかもしれない。

親の体力的・精神的余裕は、子の生育環境に密接につながる。よく笑う親の元で育った子は、よく笑うようになるらしい。

もしも母乳だけではなく、父乳があったならば。
結論…この世界は、今よりさらに平和になるに違いない。




…ところで話は変わるが、わたしには、ずっとnoteで言ってみたかった言葉がある。今や本当に多くの人たちがタグをつけて楽しんでいる、例のあの言葉だ。

今が、まさにそのときだと思いません?
ねえ、コニシ木ノ子さん。

なんのはなしですか。



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#なんのはなしですか

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