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『スーパー戦隊 Official Mook 20世紀 2000 未来戦隊タイムレンジャー』 感想
概要
編者:講談社
初版発行:2018年
デジタル版発行:2021年
発行者:鈴木 章一
発行所:株式会社 講談社
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発行者による作品情報
「スーパー戦隊」20世紀作品の魅力をすべて集めた大全集マガジン。
今号は、2000年の「未来戦隊タイムレンジャー」を特集!
◎作品解説
◎世界観&アイテム
◎おもな登場人物
◎キャスト&スタッフインタビュー
永井大(浅見竜也/タイムレッド役)
日笠淳(プロデューサー)
坂本太郎(監督)
小林靖子(脚本家)
◎特集 20世紀Vシネマ路線の魅力
◎連載
LEGEND SONGS
デザインブラッシュアップ
スーパー戦隊玩具史
ほか
感想
とにかく濃厚な作りになっています。ページ数は少ないですが、1ページ2分でも読み切れないくらい情報てんこ盛りで、ファンにとっては激熱なこと間違いなしの一冊です。
「世代的には見ていた…かもしれない(テレビ絵本は持っていたから多分見ていた…はず)」ってくらいの僕でも見入ってしまいました。
本書を読んで最も強く感じたことは、作風や裏事情などで、同年に放送された『仮面ライダークウガ』と通ずるところがあるな。ということです。
所謂"お約束"に甘んじず、ストーリーや展開の整合性を重視した作り。それ故にSFやサスペンス作品としても高い評価。物語としては「パターン崩し」に挑みつつも、どこか"王道"を踏襲したキャラクター。彼らの間で交わされる重厚な人間関係の描写。
2000年代のスーパー戦隊シリーズと平成仮面ライダーシリーズ、それぞれの第1作が両者で良かったなと、改めて感じました。
また、キャスト、スタッフへのインタビューも胸が熱くなるものばかりでした。まだ俳優としては駆け出しだった永井大(放映当時の名義は"永井マサル")さんの苦悩と努力や、実際に空手経験者でもある彼から見た「実戦的な格闘」と「魅せるアクション」の違い、坂本太郎さんの様々な脚本家らとタッグを組んだ感想、小林靖子さんの緻密な脚本作りへの想いなど、戦隊ファンなら必読と言っても過言じゃないくらい熱くて深いものばかりです。
個人的に、ブイレックス(本作に登場する、恐竜型の巨大ロボ)がペットロボットから着想を得たものというのは驚きました。そういったヒーローものと直接関係なさそうなトレンド事情に対するアンテナはもちろん、現実では犬型など"かわいい"方向性のそれを恐竜という"いかつい"系統にアレンジする発想力にも脱帽です。
ユウリ/タイムピンク(絵が凄く下手)の描いた迷い犬の似顔絵に対して「こんな犬がいたらむしろ怖い。」というコメントなど、クスリと笑える小ネタもあるので、楽しく読み進められます。たしかにアレは怖い(オオカミとゾウのキメラみたいになっていました)。