甘めでウェット!釜炊き「クラフトお塩」のおはなし
農家さんとお仕事をしていると「お野菜、まずはつけ塩だけで召し上がってください」と言われることが良くある。お米も「まずは塩むすびで」、ジビエも「まずは塩だけで」。
どうやら食感や風味を邪魔せず、その食材の味をぐっと引き立たせてくれる「いいお塩」の存在は生産者にとって心強い存在のようだ。
そんな生産者さんたちが絶大な信頼を置いているお塩があると聞いて、和歌山県御坊市塩屋町を訪れた。「塩屋」??という町の名前とも関係ありそう・・・!
生産者支持率No.1のお塩が和歌山県の塩屋町にあった!
お野菜、お米、そしてジビエの生産者さんたちが愛してやまないお塩が和歌山県御坊市の「塩屋町」にあると聞いて、早速行ってきた。和歌山市内から高速で1時間少し。御坊ICを降りて更に10分弱。海沿いを走ると心地よい!
お塩の釜を見学してみた
県道からすこし内側の道に入るとまもなく、煙突と煙突から立ち上がる煙が見えてくる。どうやらこちらで有名なお塩が作られている模様!!煙を目印に近づくと、お塩を作っているその建物が手作り感満載な見た目であることと、くべられる薪が廃材の木材であることに気づく。
青い小屋の周りはほんのりと温かい。この日は東京からIターンで来られたボランティアさんがすでにお塩を炊き始めていたので、その方にお塩のおはなしをじっくり教えていただくことができた。
早速入り口から案内していただく。
引き戸を開けると、その瞬間にふわっとした湯気に身体を包まれる。50℃近くという釜のお部屋はとにかくサウナのような熱さ。
こちらで炊かれている海水は、もともとお魚出荷タンクに入れるために海の底からくみ上げられていたものらしい。山間部を大きく蛇行して流れる日高川の淡水と、海水が混ざり合うスポットから採水されたこのお水は、山のエキスがたっぷり含まれており、ナトリウム成分が少ない。そのため、そのまま舐めてもお塩特融のかどかどしさが感じられず、後味がなんとなく甘い!
ちなみにこの「塩屋町」では1500年前からお塩が作られていたらしく、塩をつくるための土器等もたくさん出土しているそう!!
昔から塩づくりの産地であったことから、町の名前も塩屋と名付けられた。
そもそもお塩はどうやって作られる?
そんな質の良い海水ならば、水分を蒸発させればそれだけでおいしいお塩が出来そうな気がするが、どうもそういうわけではないらしい。平たいお鍋を3つ並べて、海水を煮詰めながら鍋から鍋へと水をうつしながら炊き上げ、脱水してから最後は天日で干して仕上げる。この脱水した水のほうが「にがり」となり、お豆腐や湯葉づくりに使われる。
塩を炊き上げている間のお塩の世話はすべて人が行う。この作業をされているのはこの日お会いしたIターンのボランティアさんと、障害福祉サービス事業所「菜の花作業所」の皆さん。フローは多くないが、それぞれの工程で細やかな調整が必要なので、チームワークも大切だ。
山のエキスたっぷり塩「天塩」
通常お塩は、ボイラーで一気に蒸発させ、結晶化させて作られる。「天塩」は、その結晶化のプロセスをじっくりと釜炊きで行うことで、風味や旨味を閉じ込めている。塩っ辛さのパンチはあまり感じられないので、調味料としてのお塩として使うのはあまり向かないかもしれない。
おすすめはやはり、生産者さんたちの言っていた通り「つけ塩」としていただくこと!蒸したお野菜につけると、本当にお野菜の甘味がアップする!和牛やイノシシの脂にはお塩が良く合うという話も以前伺った頃があるが、こってりとしたお肉にあわせるのも、天塩のような風味豊かなお塩がぴったりだ。
最近人気の県内のおむすびやさんでも、「天塩」が使われているらしい!塩辛さが少ないので、塩むすびにしてもピリッとしない。このおむすびやさんについても、またレポートしたい。
さいごに
化石燃料を使わずに、薪でしっかり炊き上げたクラフト塩。
もちろん、添加物や人口調味料は何も使われていない。それなのに味があって少し甘みすら感じられるのは、山から流れ出したお水をくみ上げ、ゆっくりと時間をかけて塩化させているからだ。
塩はどこも同じ、と思っている人にこそ食べていただきたい、本当に特別で素敵なお塩だった。お塩は60gで¥650(税込み)。レターパックやスマートレターを使って、一番安い方法で発送していただける。
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