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2020/05/02

東向きに付いた窓から流れる風は、夏を誘うかのように嗤いながら、艶かしく白いレースカーテンを揺らす。

久し振りにnoteを書きたいと思ったのはなぜだろう。
学校に行くことも出来ず、唐突に部屋の大掃除をし、新しくパソコンと煌々と輝くモニターを前にして改めて、無心で文字を生成するこの時間がどうしようもなく恋しくなってしまう。

僕の書く文にはまともな段落も、はっきりとしたタイトルもなく、ただただ頭の中からでてきたぐちゃっとした思考の塊みたいなものを噛み砕いて文章に近い形でアウトプットしている。
前後の文章が繋がっているわけでもなく、かといって全く関係の無いわけでもない。とめどなく溢れてくる謎の感情を自分なりに形にすることで多少の整理ができている気分になりたいだけかもしれない。

夕食を食べて、入浴の準備をするために、電気の消えた自室に戻ってくると、そこにはさっきまで使っていて、まるでそこだけ時間が進んでいないかのように同じ画面を映し続けているパソコンと開いた窓から吹き抜ける風に揺られているカーテンがあった。

つい1分前まで、さっさと風呂からあがってゲームでもしようかと思っていた僕の心は一瞬で移り変わり、灯りを消した浴室に熱いお湯を張り、顔の半分までズブズブと浸かり、じっくりと身体をあたためた。
誰かに読まれるかわからないこのnoteを何十分もかけて書くことと、自分を慰めることしかできない自分の突起物を入念に洗うことに少し同じような感覚を覚えながら、身体を洗い流し、汗と水滴が入り混じった身体を拭き部屋に入ると、まるで自分が最初からそこに向かうべきとでも言いたげなパソコンがそこに鎮座しており、自分自身も何も迷わずnoteを書き始めた。

途中から流しているIndigo la Endも、Lo-Hi Hip Hopも、すべてがこの場にいるのが当然かのごとく、違和感無く存在している。

文章を書くのも読むことも、きょうはとても良い日だと思う。
夏になり窓を開けると、どこからとも無く漂ってくる蚊取り線香の匂いと、夕立が明けた後に匂う雨にぬらされた、湿った土の匂い。それに誰かが吸っている、甘さと煙さが混ざった煙草の匂いもどこか調和して、ファンタジー、エッセイ、小説から神話まで、どんなものを読んでも絶対に外れない最高のロケーションとなる。

そんな事を考えていたら、なぜか急にとても虚しくなった。
例えればそれはまるで、自慰行為をした後の虚無感や現実に引き戻される感覚。

小説は現実よりも奇なりというが、現実よりも奇であることで、現実に戻されたときのどうしようもない繋縛感が増す。どうせなら一生戻らなければいいのに。しかしそんなことはない。

こうして僕は現実世界に引き戻される度に、何かを失った感覚を覚えながらまた明日を迎える。

昼に買った炭酸が、元気の無くした音を立てて喉に流れる。

手間をかけて洗って干した布団は、どんな僕も平等に包む。


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