バーティカルSaaS立ち上げ期に行ったこと、そして感想戦
HousmartのCPO宮永です。
2019年に不動産仲介向けバーティカルSaaS「プロポクラウド」をリリースし、約2年で不動産仲介会社の上位20社のうち30%に導入されるほどにまで成長することができました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000117.000012645.html
今回はそんなプロポクラウドの立ち上げ期に行ったこと、そして感想戦を述べていきたいと思います。
プロダクトの立ち上げ期の方に参考になればと思います。
# ドメイン、プロダクトの特徴
・不動産売買仲介をターゲットドメインとする
・業界特化型かつハイエンドモデルのMAとして販売
・高額の商材を扱うため検討期間が長期化しやすく買主、売主に対するフォロー(追客)も長期化するという課題がある →これを解決するプロダクト😃
# 立ち上げ期に行ったこと
Running Leanを教本として進めました。
※こちらはSmartHRの宮田さんもおすすめしていました。私は擦り切れるほど読みました。
このフェーズはProblem/Solutionの設計、これがすべてです。
課題の特定にはジョブ理論を用いました。
こちらは正直結構難しいです。何度も本を読むだけでなくメンバー間で解釈のすり合わせをおこなったり、実際にヒアリングを通して試行錯誤しながら実践していきました。
約1ヶ月を費やして10社20人の仲介営業へ行いました。(駆け回る感じが青春の1ページ感😇)
その中で出てきた50以上のジョブを「課題感の強さ」「Housmartの強みを活かせるか」「競合性(代替品がすでに溢れていないか)」の3軸で評価し取り組むべき課題「長期追客」にたどり着きました。
その後、ソリューションをプロトタイプの形にしてProblem/Solution fitのためのヒアリングを1ヶ月かけて行いました。
# 感想戦
何事も振り返りが大事です。ということで当時を振り返って感想戦。
トライが多かった分、今思うとこうやっておけばよかったみたいな内容が多いです。
## ヒアリングは工夫が必要
できるだけすべてのジョブを洗い出そうと必死になり、こまかく質問をしました。
それは時に不快感を生んでしまい、ズケズケと聞かれることに対して強い抵抗を示した方もいらっしゃいました。
細かく聞く場合は予めヒアリングの背景や目的の共有を丁寧に行うことをおすすめします。
## ヒアリングは何人まで聞けばよいのか問題
このフェーズのヒアリングはよく質問にでる話です。
ずばり何人にヒアリングすればよいのでしょう?
私は「チームが納得いくまで」が解だと思います。
つまり数の決まりはないと思ってます。
ジョブ特定の際は5社ほど聞いた段階で回答パターンが出尽くした感があったのでこの辺りを区切りにした記憶があります。
## nice to haveではなく、must haveであるか
これについては正直当初失敗してました。つまりnice to haveで作ってしまったなぁと。
今振り返ると「ないと不便になるか」はソリューションヒアリングの1項目として足しておきたいところです。
ちなみにnice to have, must haveについて詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
## プライシングは最初から強く意識する
SaaSにおいてプライシングは重要だとよく言いますが、特にバーティカルSaaSは市場を限定する分だけ、より重要です。
プライシング設計は下記記事を参考にしました。
本当にお金を払ってくれるか、払ってくれるお金はどの程度になるか細心の注意を払う必要があります。
また聞き方も重要です。
私はひとしきりプロダクトの説明をした後、価格表を見せて言葉ではなくまずどんなリアクションを取るか注視してました。目を丸くした、うんうんと頷いた、などなど
決して「いくら払いますか?」と聞いてはいけないと思います。
すでに競合がいるプロダクトであれば参考程度にはなりますが、価格を客観的に評価できる人はほぼいません。
具体的な数字をあてて直感でどう思ったのか、何と比較してその反応に至ったかを確認しましょう。
## プロトタイプはUVPを感じられる程度に作り込む
プロポクラウドはデータのクオリティを武器にしたプロダクトです。
にもかかわらず、このUVPを表現できていないレベルのプロトタイプでヒアリングをしてしまった過去があります。
これは失敗でした。素直な感想を引き出せなかったのです。
裏を返すとUVPを感じられる程度に作り込まれていればほかはさほど作り込む必要はないということです。
いかがでしたでしょうか?
これからバーティカルSaaSプロダクトを立ち上げる方などに少しでもお役に立てられれば幸いです。
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最後に。
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