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【Pitanga】螺旋階段のたもとで

今宵はPitangaへ。
https://www.pitanga-paris.com/
ブルス・ド・コメルスにほど近いミシュラン掲載店。

ブルス・ド・コメルスにあるミシェル・ブラスの店についてはすでに書いた。


ブラスのレストランがあまりにも素晴らしかったので、その近くにある店も素晴らしいに違いない。
何の根拠もない連想にしたがって予約してみた。
たまにはそんな思考のジャンプがあってもいいだろう。

事前の情報は特になし。
行きの地下鉄のなかでホームページを初めて見てみる。
ブラジル出身のシェフによるフレンチとブラジル料理をフュージョンしたタパス料理とのこと。
フュージョンかあ。
好きな方向性ではなさそうだけど。

予約した19:30に行くと、すでに席は半分くらい埋まり、にぎわっている。
12:00から夜までノンストップ営業のようだ。
夜の始まりが遅いパリでは、19:30にこんなにぎやかな店は珍しい。

サービススタッフもシェフも見事なタトゥーをいれている。
ポルトガル語で話している。
みんなブラジル出身なのだろうか。
和気あいあいと楽しそうに働いているのが伝わってくる。

狭い店内は2階もあるようだ。
2階にあがる螺旋階段のたもとの席に案内される。

今宵はちょっと奮発して、シャンパンから始めよう。

タパス料理がご自慢とのことなので、前菜をやめてタパス2品をとることにする。

まずはこちら。

チーズをタピオカでくるんで揚げたものにマーマレードが添えられている。

どこをおいしいと思ったらよいのか、ポイントを見つけにくい味。
塩気がなく味がしない。
タピオカのスカスカした食感に疲れる。
マーマレードの苦みがうるさい。
チーズを揚げているので重たい。
(文句ばかりで申し訳ない。)
半分だけ食べて残す。

次はこちら。

牛肉のミンチを団子にして揚げたものに粒マスタードがのっている。
これはおいしい。
肉の旨味が感じられて、粒マスタードの酸味がさわやか。
オーソドックスなおいしさ。
でも量が多いので少し残す。

残しているのか、まだ食べている途中なのか、こちらの食べ方がまぎらわしいのだろうか。
なかなか下げてくれない。
ということは、次の料理もなかなか持ってきてくれない。
待ち遠しいような、待ちくたびれるような、そんな時間が流れる。

螺旋階段のたもとの席。

客やスタッフが階段をせわしなく上り降りする。
その度に自分の目線の高さに人の足が見える。
頭の上から人が降りてくる。
圧迫感と慌ただしさで落ち着かない。
優雅な時間とは言えない。

ようやくメインが来た。

久しぶりの鴨だ。
焼き加減、塩加減ともにとても上手。
人参のペーストもマイルドで鴨を邪魔しない。
おいしい。
腕が確か、ということはわかった。

音楽の音量が大きく、週末ということもあり、わいがや系の若者たちで店内は盛り上がっている。
ドアも近くて寒い。

デザートを食べるか、デザートワインを飲むか、どちらにしようかなと考えていたのだけど、これ以上この店にいても楽しめないような気がしたので会計をして退散。

記録用にと思って店の概観の写真を撮ったのだけれど、寒さのせいかピントがぼけてしまった。

なんだか色々と嚙み合わない夜だった。

フレンチに飽きた人なら、この店のタパスでブラジルっぽさを満喫できるのかもしれない。
僕はまだ、フレンチに飽きてはいない。



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